全く経理とは縁のないような元某知事さんが、いかにも訳知り顔で「日本国家の会計を複式簿記にして公認会計士の監査を受けろ!」と仰っている。もちろんこれは正論ではあるが、ただ単に複式簿記にして公認会計士の監査さえ受ければ解決する問題ではないと言いたい。
逆に複式簿記で得られた「利益」を妄信してしまうと、とんでもないことになる場合がある。つまり「勘定合って銭足らず」と言われるように、資産ばかりあっても、実際にお金が入ってこなければ破綻する事になりかねない。実際に利益が出ているのに倒産している上場企業があとを絶たないではないか。
また固定資産の減価償却費のように、その年に支出したものを数年に渡って費用配分することも、ある意味損失の先送りとなり、国の予算制度にはそぐわないのではないか。だから単純に複式簿記にすれば良いというものでもないのだ。もちろん公共事業のようなものには複式簿記が適しているので、単式簿記と複式簿記を巧に組み合わせて運用して行くことが肝要なのではないだろうか。
そして公認会計士の監査だが、監査現場は社会経験のほとんどない若者たちで占められており、実態よりも形式だけに拘るような青臭い監査が多いのが実情である。そして監査報酬は年々上昇している。せっかく会計検査院があるのに、わざわざ監査法人に監査させて、さらに税金を使うこともないじゃないの。もちろん現状の会計検査院の監査に満足している訳ではなく、その監査の仕組みを大幅に見直し、監査結果を詳細にわたり国民に報告することが重要なのだと言いたい。
いずれにせよ、「日本国家の会計を複式簿記にして公認会計士の監査を受けろ!」と大声で叫ばれるのは結構だが、それよりも何よりも、まず国も地方自治体も、もっともっとコンピューターを有効活用して、その膨大な事務作業を合理化してもらいたい。もし国と全ての地方自治体の情報がネットワークで結ばれれば、もの凄い事務の合理化どころか、脱税や犯罪などの摘発や防止にもなるだろう。
そして一番大切なのは、税金の使われ方である。例えば「福祉のために使う」と言っても、福祉センターに天下りになった高級官僚の退職金に使われるのでは、全く意味がないというようなことである。従って複式簿記云々という前に、歳出の中味を十分把握して、それを詳細にチェックしたうえで、問題があれば早急に是正させるというような仕組みを、もっともっと充実させることではないだろうか。
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