だいぶ前から米国の金利は上昇しているのに、相変わらず我が国の金利は上昇する気配が全くない。そのために国際資金は金利の高いドルへとシフトし、円相場は6年10か月ぶりの円安水準で推移しているのである。
しかしこんな状況下にあっても、日銀が一向に腰を上げないのはなぜだろうか。そもそもアベノミクスでは、インフレ率2%という目標を掲げ、それを達成するために「量的・質的金融緩和」とともに、新規に国債を発行する財政出動も行ってきた。本来なら国債を新たに発行すると、国債の価格は下落して金利は上昇するはずである。ところが「量的・質的金融緩和」により、日銀が国債を買い取る量が増え国債価格が上昇し、結果的に金利下落状況が続いている仕組みなのだという。
ところがここにきて、急激な円安に加え原油高やウクライナ戦争の影響により、食料品をはじめとする値上げのオンパレードが始めっている。その値上げ率は2%を遥かに凌駕しているはずだから、インフレ率2%は完璧にクリアしてしまうだろう。それでも日銀は全くもって頑として金利を上げようとはしないようだ。もしこのまま放置しておけば、円安だけではなく急激なインフレ大波が押し寄せ、さらに物価は急上昇し、預貯金は実質半減してしまうかもしれない。
それでも日銀は何も手を打たず、相変わらず馬鹿の一つ覚えの様に「量的・質的金融緩和」を続けるつもりなのだろうか。この原因の最たる理由は、一説によると、黒田総裁が現在の物価上昇率の高まりは持続的なものではないと判断し、金融政策の変更は全く考えていないためらしい。また自身の任期中は2%の物価目標が安定的に達成でき、かつ景気が回復し賃上げされるまでは、このまま緩和を貫き続けるだろうとも囁かれている。やれやれ黒田総裁の意地と面子のために、多くの国民が犠牲にならなくてはいけないのだろうか。
円安と言えばかつては、輸出の多い自動車産業などの利益が増加するという常識が大手を振ってのし歩いていた。だが昨今では海外からの部品調達をドル建てにして為替リスクをヘッジしている企業が多いため、円安イコール輸出産業のぼろ儲けには繋がらなくなっている。
それよりも食品をはじめとする生活必需品やその原材料は、かなりの部分を輸入に頼っているため円安が続くと、すぐに物価の上昇に繋がってしまうのだ。従ってほんの一部の企業の利益確保のため、国民全体が痛めつけられてしまうことになる訳である。
またかつては、100万円預金すれば最高で約8万円程度の利子がもらえた時代も存在した。だが現在では2千円にも満たない、もし普通預金なら10円とほとんどゼロ利子状態なのだ。「もういい加減勘弁してくれ、もう少しまっとうな利子に戻して欲しい」だがこんな悲しい叫びも、黒田総裁の任期が終了する来年4月までは、絶対に届かないであろう。
作:蔵研人
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