―なんてタイトルでしみじみ言っていますが。(^~^;)。
本当の所、作者は「トリストラム・シャンディ」を高校生の時に、
朱牟田夏雄さん訳・筑摩世界文学大系収録ので読破に挑戦したのですが、
たった1ページ目で、
「ふざけんじゃねぇ、てめぇ!」
―とやめてしまいました。
それから6年後の1990年の事、隣町の大きな書店へと
葛飾北斎の画集「北斎美術館」を買いに行った時、
「トリシャン」が岩波文庫のコーナーに平積みになっていました。
作者の心に「げっ、この本ってばさー…。」
―と上記の思い出が蘇りました。
ところがこの本と来たら、
そんな事おかまいなしのように、
「買ってくれー!!」
―と選挙の立候補者のごとく、周りに叫んでいるのです。
その少し前に、当時勤めていた職場の先輩で、尊敬するデザイナーの方が、
「書店や図書館に行くと、『読め』とか『買え』とかと言って来る本があるので、
それには素直に従うといい。」
という話をしてらっしゃったのです。
「―さて、どうしたらいいんだろう。」
―と作者はたじろぎました。
「北斎美術館」は1冊3800円もして、5巻のシリーズ物なのに、
全く迷わず買えたのです。
一方「トリシャン」は上巻620円/中巻570円/下巻520円で、
3巻合わせても、「北斎―」1巻分の半分以下の金額ですが、
置いてある棚の前で、迷いに迷いまくったのです。
書店内で迷い続けて、ウロチョロと他も回って戻って来て、
やっと買う事にしたのでした。
…それでも、買ってから半年は放っておいて、
存在すら忘れてしまっていて、埃を被ってすらいました。
精神的にいろいろと滅入る事があって、
「自分を不幸だって言っているヤツの話があるから、読んでみるか。」
―と思い出して読んでみると、
「結構オモシれーじゃんかよー、これ!」
と今度は全部続けてすらすらと読破できたのです。
「真面目さと責任感が取り得」という、
周囲からの評価と期待が重圧になっていた時期でした。
出世はしたいものの答えきれずに、
イヤになっていました。
そこん所で需要と供給が一致したんでしょうな。
…それでも、若い頃、トリストラム・シャンディは
「イヤミの強い性格で、キライな主人公№1」
でしたが。
自分も年を取って来ると、段々このキャラクターの思考回路のからくりとか、
自分を不幸だと思っている心の成り立ちについても、分かるようになって来たので、
しだいにキライではなくなり、
「本当に気の毒な人」と今では思っています。
明日は、マー坊とカフェ併設の読書室で再会。この子が出て来ると場が和らぐからスキやな~っ。
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「スターン文学のコンテクスト」/法制大学出版局/伊藤誓さん著
「ローレンス・スターン研究」/晃洋書房/松雄力雄さん著
「18世紀イギリス出版文化史 作家・パトロン・書籍商・読者」
/彩流社/A.S.コリンズさん著/青木健さん・榎本洋さん訳
「正しい史実」については、↑上記の3冊などに書かれているので、
あくまで「自己責任で調査」して下さい。
「スターン文学のコンテクスト」183~210ページを読むと、
ハリソンさんの言っている事の意味がよーく分かります。