18世紀欧米小説最大のヒット作は、
ジャン・ジャック・ルソー(1712-1778)の
「ヌーヴェル・エロイーズ」でした。
1760年の年末に、オランダで印刷され、
61年の1月28日に発売されました。
英国のロンドンでも売られたのだそうです。
スイスに住む男爵令嬢ジュリは、
家庭教師のサン・プルーと恋愛関係になり、
子供も授かりますが、
両親の反対で引き裂かれ、流産の後に、
父の友人で30歳近くも年上のロシア人貴族、
ヴォルマール男爵の妻となり、男の子が2人生まれます。
世界旅行から帰ったサン・プルーは、ヴォルマール家に
迎えられ、子供達の教育係となります。
サン・プルーはヴォルマール氏と互いに尊敬し合いつつも、
ジュリへは未練があり、危険と背中合わせの生活でした。
やがて、サン・プルーは恩人の英国人ボムストン卿の
イタリア行きに同行しますが、
その間に、ジュリは湖に落ちた子供を助けようとして
亡くなります。
サン・プルーの元へは、愛の告白が
書かれたジュリの遺書が届くのでした。
手紙形式で書かれたこの恋愛小説は、1761年から1800年までに、
約70版を重ねました。
英国では、当時増加して来た女流作家達にも大きな影響を与え、
ジェイン・オースティン(1775-1817)の6大恋愛小説へと繋がって行くのでした。
マルセルは、カフェ・ブルトンが主催する「英語の会」へと、
ゲストとして招かれ、好意を持つマリアンヌに接近しますが、
彼女が大好きな「ヌーヴェル・エロイーズ」を知らなかったために、
連れなくされた上、彼女の取り巻き達にもバカにされてしまうのでした。