風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

土下座

2011-05-15 21:07:50 | 時事
土下座ばやりである。

世が世なら、社長室でふんぞり返っていて、庶民には、
拝みもできない人たちが、罵声を浴びながら土下座をしている。
申し訳ない……と跪づく胸のうちはどんなであろうか。

 多分、俺だけが悪いわけじゃないんだけどなあ……
と思っているに違いない。

 先代の社長、いや、先々代、
いや、もっとずっと前の社長のしたことなんだけどなあ、

 あの時の首相だって、いいよ、いいよ、と
言ったはずなのになあ、と思っているかもしれない。

 実際、そうなのである。
たまたまこの時期に社長となった巡り合わせの悪さを、
彼はきっと心の底から嘆いているに違いない。

 下げた頭を、いつ上げようか……、
あまり早く上げすぎないように、
ひい、ふう、みい、と数えているかもしれない。

 土下座をさせている方も、
そんなことは百も承知なのだ。
承知はしていても、そうさせねば胸が張りさけそうに、
切迫しているのである。

 十数年前、風子ばあさんは、
訴えれば勝てる無責任医療で母を亡くした。

 しかし、争ったところで、母は生き返らないので、
土下座して謝罪してくださいと、院長に頼んだ。

 母は戻ってこないが、そうでもしないと、
気のすむ方法を思いつかなかったのである。

 あの姿を見るのは、土下座をされても、
少しも収まらなかった胸の内をを思いだして、今もつらい。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿