土下座ばやりである。
世が世なら、社長室でふんぞり返っていて、庶民には、
拝みもできない人たちが、罵声を浴びながら土下座をしている。
申し訳ない……と跪づく胸のうちはどんなであろうか。
多分、俺だけが悪いわけじゃないんだけどなあ……
と思っているに違いない。
先代の社長、いや、先々代、
いや、もっとずっと前の社長のしたことなんだけどなあ、
あの時の首相だって、いいよ、いいよ、と
言ったはずなのになあ、と思っているかもしれない。
実際、そうなのである。
たまたまこの時期に社長となった巡り合わせの悪さを、
彼はきっと心の底から嘆いているに違いない。
下げた頭を、いつ上げようか……、
あまり早く上げすぎないように、
ひい、ふう、みい、と数えているかもしれない。
土下座をさせている方も、
そんなことは百も承知なのだ。
承知はしていても、そうさせねば胸が張りさけそうに、
切迫しているのである。
十数年前、風子ばあさんは、
訴えれば勝てる無責任医療で母を亡くした。
しかし、争ったところで、母は生き返らないので、
土下座して謝罪してくださいと、院長に頼んだ。
母は戻ってこないが、そうでもしないと、
気のすむ方法を思いつかなかったのである。
あの姿を見るのは、土下座をされても、
少しも収まらなかった胸の内をを思いだして、今もつらい。
世が世なら、社長室でふんぞり返っていて、庶民には、
拝みもできない人たちが、罵声を浴びながら土下座をしている。
申し訳ない……と跪づく胸のうちはどんなであろうか。
多分、俺だけが悪いわけじゃないんだけどなあ……
と思っているに違いない。
先代の社長、いや、先々代、
いや、もっとずっと前の社長のしたことなんだけどなあ、
あの時の首相だって、いいよ、いいよ、と
言ったはずなのになあ、と思っているかもしれない。
実際、そうなのである。
たまたまこの時期に社長となった巡り合わせの悪さを、
彼はきっと心の底から嘆いているに違いない。
下げた頭を、いつ上げようか……、
あまり早く上げすぎないように、
ひい、ふう、みい、と数えているかもしれない。
土下座をさせている方も、
そんなことは百も承知なのだ。
承知はしていても、そうさせねば胸が張りさけそうに、
切迫しているのである。
十数年前、風子ばあさんは、
訴えれば勝てる無責任医療で母を亡くした。
しかし、争ったところで、母は生き返らないので、
土下座して謝罪してくださいと、院長に頼んだ。
母は戻ってこないが、そうでもしないと、
気のすむ方法を思いつかなかったのである。
あの姿を見るのは、土下座をされても、
少しも収まらなかった胸の内をを思いだして、今もつらい。
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