風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

ヘアースタイル

2011-02-18 11:06:26 | 俳句、川柳、エッセイ
行きつけの美容院が、改修のために10日ばかり休業している。
そんなときに限って髪が気になる。
そういえば、明日は、久しぶりの人たちとの会合がある。

通りがかった街角に、美容院を見つけた。
店の入り口に、受付係らしい女性が二人立っている。
 
 馴染みでない店でのカットには、ためらいがある。
切れば、いつもの美容師さんに、今度行ったときに気がねがある。
とっさの数秒に、それらのことが頭の中をよぎった。

迷いながら口をついて出た言葉は、
「この髪、おかしくないでしょうか?」だった。

 突然現れて、おかしくないでしょうか、というへんなばあさんに、店員さんは、声をそろえて、おかしくありませんよ、と言う。

 じゃあ、やめとこうかなあ、と極めて優柔不断に頭を下げて引きさがった。

 だけど、どう考えても、ぼさぼさに伸びきっていて見苦しかったはずである。

 あの人たちは、お客様に対して、どんなにおかしくても「おかしいです」などとは言わないように訓練されているのだろう。
心にもないことを言わせて、気の毒なことをした。ごめんなさい。


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