風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

父のこと

2019-02-18 15:52:28 | 家族

 わたしの実家では、バナナは洗ってから皮をむき、卵も洗ってから割った。

それが当り前と思っていたら、大人になってから、みんなに笑われた。

 今になって、あれは父の衛生志向だったのだろうと考える。

明治生まれの父の父(私の祖父)はキリスト教の牧師兼英語教師だったと聞く。

新しい西洋思想にカブレたかと思えば、父の刺身嫌いも沢庵きらいも多少納得がいく。

 父は、ただ、キライだ! と食べなかっただけで、理屈は言わなかったけど。

いずれにしても、我が家で沢庵は厳禁、父が留守の日は、今日はお父さんがいないからと

母親がいそいそと沢庵を食卓に並べた。父は見るだけでもいやがった。

 青魚も一切食べなかった。肉もおよそ食べなかった。漬物類もダメだった。

 もっぱら卵と豆腐と芋の煮っころがしを好んで食べて、82歳まで生き、たいして患わずに逝った。

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