風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

弓 透子さん

2011-03-04 11:55:14 | 読書
 弓透子、平成9年に芥川賞候補になった作家である。
 まだ彼女が芥川賞候補になる以前、いわば無名のころ、たまたま「ハドソン河の夕日」という彼女の作品
を目にした。

 風子ばあさんはこれを読んで、いたく感動した。
小説としての面白さを十分堪能させてくれた。抑制のきいた美しい作品であった。
世間で評判になる前に読んだ興奮を伝えたくて、友人知人の誰彼にこの雑誌を回して読んでもらった。

 そのあと、芥川賞候補になったので、風子ばあさんは、多いに鼻を高くした。
受賞にはいたらず、惜しかったなあ、とあのときは、我がことのように残念でならなかった。

 しばらく忘れていたが、昨日、近くのブックオフで「ハドソン河の夕日」の単行本を見つけた。

 芥川賞候補になった直後に出版されたものである。定価は2500円だった。
ブックオフでは1500円の値がついていた。
100円、200円というような極端な安値になっていなかったので、嬉しかった。
関西の方の作家らしいが、この九州でも彼女の小説が好きで読んだ人がいるんだよね、と懐かしかった。

 ネパールの婚礼、ロックフェラーの館、ハドソン河の夕日の三作が収録されている。
ハドソン河は、あのとき何度も読んだはずなのに、また一気に読みとおした。

 作家と読者という関係は面白い。
いわば見ず知らずながら、読んでいるこちらは親しい。
弓さんは、こういう読者がいるのを知らないだろうと思うと、それもまた勝手に愉快なのである。
 


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