朝、花の水やりに玄関からひょいと出た。
続いて外出する家人が、私が外に居ることに気づかずに鍵を閉めて出かけた。
家に入ろうとして、締め出されていることに気づいた。
我が家は二人暮らしである。家の中には誰もいない。ありゃりゃ、である。
電話……と連絡をとろうにも、携帯は家の中。着換えもすまぬ起きぬけで、
つっかけを穿いたままの身一つである。
庭に回るがあいにく窓も施錠されている。
家人は深夜まで帰らない。
ご近所で電話を借りるにしても、家人の電話番号も覚えていない。
家人どころか、スマホだのみの今日、誰の番号も記憶していない。
ああ、むかしはこうでなかった!
親しく電話する誰彼の10や20の電話番号はソラで覚えていて
なんどきでもスラ~っと出てきたものである。
パソコン、スマホ頼みの暮らしは、ひとたびこれを失えばどれだけ無力か思いしらされた。
続きはまた書きます。