風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

九州くんだり (バアチャンの迷言)

2019-01-07 15:22:25 | 家族

 わたしが東京から九州へ転居したのは、バアチャンの介護が必要になったからである。

 誰も看るひとがいないバアチャンが倒れ、東京でサラリーマンをしていた夫が、

まず長期休暇をとって半年、その後退職して一年、ひとりで看護した。

献身的な介護で、近くに住む年寄りが、新聞記者さんに知らせてやりたか……

と言われるほどであった。

 しかし、いつ終わるか分からないのが老人介護である。

50年前の85歳は超高齢である。実をいえばすぐに亡くなると思っていたのだ。

だから夫は全力で介護し、わたしは東京で仕事を続けた。

しかし、一年二年と続き、三年めに覚悟を決めてわたしも東京から九州に移転した。

 バアチャンが長患いさえしなかったら

わたしは九州くんだりまで来ないですんだのにというのが、

いまでも夫の身内に言えない本音である。

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする