風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

コショー (バアチャンの迷言2)

2019-01-05 11:53:24 | 家族

 結婚して初めて、夫の故郷で正月を迎えたときのことである。

バアチャンに数の子の味付けを教えてもらった。

「醤油と酒と砂糖と出し汁と、最後にちかっとコショーば入れるとたい」

 東京もんのわたしは、文字通り、仕上げにコショーをぱっぱと振りいれた。

ヨメに来たばかりのわたしに遠慮があったか、気がねがあったか、それで誰からも文句は出なかった。

しかし、どうも味がおかしい。それもそのはず、九州では唐辛子のことをコショーということを

後から知った。では、コショーのことは何というか? 洋コショーという。

いまでもお正月の用意をするとき、数の子に唐辛子を入れながら、ちかッとコショーね、とひとり呟く。