題名は、自転車に乗って旅をしたら、下り坂になるとラクなので、
そうか、人生も下りになるのがいいんだと思うところからついた。
以下、脈絡なく、本分から。
「原稿はすべて手書きである。忘れた漢字は辞書を引いて調べ、一字一字原稿用紙に書きつけていく。
思考するときは文字を書く。パソコンを使うと思考が蒸発してしまい、蓄積されない。文字を書いて思考する」
謝罪会見について。
申し訳ありませんでしたというところでいっせいに頭を下げる。
「このとき、頭の下げ方が揃っていないと見栄えが悪い。
ひとりが下げ遅れると、見ているほうは、ダラケておるな、と腹をたてる。
ぴたりとあって頭を下げればすっきりする。まだらはげもいい。
あれは、控え室で予行演習をしているはずだ。
頭を下げるきっかけを責任者が、セーノと声をかけるわけにはいかず、アウンの呼吸でいっせいに頭を下げる。
それには稽古が求められる」
「男と女が、短い一生のあいだに幸福でいられる時間は限られている。
どれほど仲のよい夫婦でも、賞味期限があり、期限切れを我慢しているうちに家庭内離婚となる」
「さて、あと何年生きるかわからぬが、風雅に行きたいと考えた。
ところが風雅というのは、やってみると退屈する」
というような事が書いてありました。