風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

お節介

2012-05-16 17:27:03 | ほのぼの

         自転車で走っていたら、すぐ横を車が通り過ぎた。
              見るともなく見ると、
      後ろのドアの下から、なにか黄色い尻尾のようなものが長々と飛び出している。

      地面すれすれにその細長い物体をひきずりながら、車は走り去ったが、
         その先の信号停車で風子ばあさんの自転車が追いついた。


         どう見てもあるべきところにある物体とは思えないので、
            信号待ちの車のドアを叩いて知らせた。

           運転席の若い兄ちゃんは、ナンダヨ! という顔で、
                じろりとばあさんを見た。
 
        お節介だったかなあ、知らん顔すればよかったかなと、一瞬、悔いた。

      しぶしぶというふうに下りてきた兄ちゃんは、黄色の尻尾を見たとたん、
          アハハハ、大事なタクワン! とドアを開けて、救出。

     アリガト スミマセン と笑顔でタクワンを抱えて、運転席に戻っていった。

           しかし、なんだろうねえ、あの兄ちゃん。
            居酒屋かなんかの仕入れだったかなあ。
            よほど急いで買い物をしたのかしら。

             まずはタクワンが無事でよかった。
             兄ちゃんが笑ってくれてよかった。
             やっぱりお節介をしてよかった。