風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

客観性

2012-05-05 13:58:37 | 家族
             物を大事にする、と言えばカッコいいが、
              うちのじいさんは、つまりケチである。

               なんでも捨てるのが嫌いである。
           古い洗面器など、ふちが黒ずんで洗っても落ちないから、
              ばあさんが捨てると拾ってきたりする。

                 まだ使える、が口癖である。

             家具はいうに及ばず、靴でも、シャツでもパンツでも、
               着なれた物、使い慣れたものに執着して捨てない。

   自分が使い慣れているからと言って、客観的に見たらもう捨てる時期なんです! 
         あなたには客観性がないんです、と風子が金切り声をあげたら、
                じいさん、にやりと笑った。

         「そこが俺のいいところ……だから、あんたと40年もいた」

                    くそ!

                もうたいがいで捨てられたい。