「ねえねえ、三人で、ギターコンサートをしよう」
身のほど知らずに、思いつくのはいつも風子ばあさんである。
「ええっ! いやあ、無理無理……」
慎重なのが、クミちゃんである。
「やってみましょうよ」
上品な声でささやくように決断するのが、お姉さまこと、カナちゃんである。
コンサートやれたらいいねえ、の思いつきは願望にかわり、
もとライブハウスの会場を 「一応」 下見に行った。
素人のばあさんたちのお遊びには、もったいないような立派な会場だった。
ほの暗い入口に絨毯の敷かれた段差があった。
「ここ、誰かきっと転ぶねえ」
「骨折したら大変ねえ」
「お気をつけくださいって、声かけないとねえ」
ばあさんたちのコンサートには、バアサンたちが聴きに来てくれるのだから、
これぞ老婆心というものである。
まだ実現までには紆余曲折、多難です。