風子ばあさんのフーフーエッセイ集

ばあさんは先がないから忙しいのである。

旅 アンコールワット ストロー

2010-04-09 23:29:40 | 旅行
 今回、添乗員なし、女二人だけのアンコールワット。
現地ガイドのサンボーさんのお世話になった。
 ばりっと糊のきいたクリーム色の半袖開襟シャツ、黒いズボンにもきちんと折り目があり、清潔感マンテン、ハンサム、長身、ほれぼれ。
 
 世界で最も貧しい国のひとつであるカンボジア、未就学児童が三割もいるといわれるから、日本語が喋れてガイドとして活躍するサンボーさんは、あちらでは、いわばエリートなのかもしれない。
 
 迷子になったときは、日本語ガイドなら誰でもいいから、サンボーさんを探してと言いなさいとのこと。
 ただし、サンボーさん、同じ名前多いから、足の長いサンボーさんと言いなさい。
ワカリマスカ? このあと何回も、ワカリマスカ? が繰り返された。
 自分の日本語がこちらに通じているかどうか、確かめているようだった。
 
 急勾配で有名な寺院の階段は、落ちたら病院でなくお葬式よ、と脅され、これ登るの、自由行動、ワタシ責任ないねと念を押された。

 そのあと、夕陽を見るための丘へ向かう途中、サンボーさんは、私たちを旅行者相手の高級カフェとおぼしき店へ連れていってくれた。

 トイレも水洗だし、店の造りも立派だった。
器もセンスがよかったが、ストローだけはこれまでどこでも見たことのないものだった。
親指くらいの太さの緑色のプラスチック製で、何度も洗いなおして使用したらしく、古びていた。
 
 現地の暮らしむきに比べて、旅行者があまりに特別待遇を受けているらしいことに恐縮していたので、このストローにはささやかな安堵をおぼえた。

 貰っていいかと店員に確かめて、日本へ持ち帰り、今も唯一カンボジアのお土産として手元に置いて眺めている。                      続く
コメント
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