身延駅前の「しょうにん通り」商店街は、駅の南側ではすぐに切れますが、北側はずっと伸びて町並みが富士川に沿って続きます。
アニメ第8話にて、野クルの三人がこの「しょうにん通り」を北へと歩いていきます。劇中の設定では、その北にアウトドア用品店の「カリブー」があることになっていますが、実際の身延町にはそのような店舗は実在しません。
「カリブー」のモデルとなったのは、静岡県浜松市東区にある「SWEN浜松店」であることが、建物外観の一致によって知られています。
「しょうにん通り」のほぼ中央辺りに、細長い園地区間が設けられていて、富士川を望む展望所の役目も果たしています。ベンチが二つ設置されていて、その間には水飲み場もあります。
この園地からは、富士川の景色が180度広がり、北には身延橋の鉄橋が望まれます。下に遊歩道とおぼしき舗装路が通り、園地の北側から階段で下りられます。
この景色が、アニメにも登場しています。
このシーンです。園地のベンチに野クルの三人が並んで、「みのぶまんじゅう」を楽しく食べています。面白いことに、原作コミックの同場面は方角がアニメとは逆になっていて、南向きに描かれています。
三人が座っていたベンチは、上図の左側のそれです。町内散策の休憩スポットという感じの園地なので、駐車スペースなどは無く、車で来ても付近に停める場所がありません。
劇中では、水飲み場との間隔もあけられ、灰皿や樹木が除かれて広々とした空間が演出されています。三人の真ん中で楽しげに上体を横に揺らす各務原なでしこの後姿が印象的です。
既に、梅も山桜も咲いていました。あと二週間もすれば、全国に桜の花びらが舞うことでしょう。
アニメ第8話は、身延駅前の「しょうにん通り」を舞台にしているため、他にも色んな景色が登場しています。上図のアングルなどは、よく知られていると思います。
まんじゅうを平らげてしまい、追加を買いに走り出す各務原なでしこの後姿が、このアングルで描かれます。原作コミックでは、追加購入に行ったのはなでしこだけでしたが、アニメでは犬山あおいも続いて走り出していました。
「ゆるキャン△」は、アニメが原作に沿って忠実に再現される度合いが、他のアニメ作品に比べて非常に高いですが、時にはアニメ独自の場面や表現が織り込まれます。それが原作の世界により深みを与えて物語の世界観を親しみやすいものに成しています。
そういう点に、製作スタッフ陣の並々ならぬ力量とこだわりを感じ取ることが出来ます。
三人が座った位置から、通りを見るとこんな感じになります。建物自体もアニメにそのまま出ていますから、場所の特定は容易です。
下の遊歩道から、例のベンチを見てみました。
似たようなアングルで劇中にも出ています。三人の楽しげなひと時が、夕日に染まる景色の中に一種の温かみを添えてほのぼのと迫ってまいります。青春真っ只中の女子高生たち、ですね。
園地から北へ進むこの道を、三人は「カリブー」へと向かったわけです。その途中に橋があり、そこを通るシーンもありますが、その北にある交差点と身延橋は登場せず、いきなり「カリブー」の建物が出てきます。
なので、園地の北側の町並みは、アニメでは殆ど出ていないという気がします。
したがって、園地区画から南、身延駅までの範囲が、劇中のメインになっていることが分かります。
ほぼ同じアングルで、友達の荷物も抱えて「栄昇堂」へと走る大垣千明の姿が描かれます。これもまた、なぜか余韻をともなって印象に残るシーンですが、実際の景色がそのまんまですから、現地に行けばアニメの雰囲気をリアルに楽しめます。アニメ聖地巡礼の醍醐味ですね。 (続く)