車内インテリア制作の続きです。ミッコの居る操縦室と、その背後の空間の側面と底面の部分を作ってゆきます。この範囲の様子は、劇中においては上掲のシーンでしか見られませんので、ガルパンアハトゥンク2の公式設定図も併せて参考にします。
劇中シーンでは、左右の壁面に計8本の円筒形弾薬ケースが懸けられ、操縦席背後に砲弾収納ラック、その後ろに箱形の弾薬ケースが二つ並んでいるのがみえます。箱形の弾薬ケースは、砲塔内空間の床面にもあたっていて、ミカやアキはその上に立って各作業をしているようです。
このような内部構造は、BT系列のみならずT34系列でも同様なので、ソ連戦車の一般的な構造であるようです。T34系列では壁面に懸けられる円筒形弾薬ケースが無くて砲弾がそのまま懸けられていたりしますが、なかには半円形のケースに砲弾をはめこんで懸ける事例もあったそうです。今回のBT-42の弾薬ケースは実物が残っておらず゛ガルパン仕様の一環として推定的にデザインされたものだそうです。
事前にノートにまとめておいた、インテリアの各部品の見取り図および設計図です。赤字で寸法が書いてある図面が実寸図で、円筒形弾薬ケースと砲弾収納ラックと箱形弾薬ケースの組み立て見取り図を横に添えています。これを見ながら、各部品をプラ板やプラ材で適当に作りました。
一応、それなりの形に仕上げた円筒形弾薬ケースと砲弾収納ラックと箱形弾薬ケースです。円筒形弾薬ケースは、キットのランナーをカットし、紙テープを巻いてベルトを簡潔に表現しました。砲弾収納ラックは、プラ板とランナーで外から見える部分のみを再現し、上面のリベットもつけました。
箱形弾薬ケースは、プラ板を組み合わせて作りました。底面までの寸法が砲弾収納ラックと異なりますが、上面は一致しますので、高さも同じになるように側面材のみ合わせました。
これらの部品の細部は、忠実に作り込んでも結果的にはあまり見えなくなりますので、適度に省略しておきました。
自作した部品を車内に組み込みました。実寸図を作ってその通りに部品を作りましたので、一発でピッタリおさまりました。ガルパンアハトゥンク2の公式設定図と見比べてチェックしましたが、違和感はありませんでした。
こんな感じで、狭い空間が余計に狭くなりました。さきに作っておいた転輪の軸部が、空間内に意外な比率を占めているのが分かります。この軸部で空間がほぼ二等分されており、前がミッコの、後ろがミカとアキの居る場所にあたります。
円筒形弾薬ケースを左側の壁面に貼り付けました。片側に二列二本が並びます。その位置は、砲弾収納ラックや箱形弾薬ケースとの関係で決めました。実寸図を作っておくと、このようなパーツの取り付け位置もズレたりすることがありません。
続いて右側の壁面にも円筒形弾薬ケースを取り付けました。劇中ではこれらの弾薬ケースから砲弾を取り出すシーンはありませんでしたが、それは試合での対戦時間が短く、発砲数も少なくて砲塔内の装備分で間にあったからでしょう。
記憶している限りでは、カール護衛隊との対戦にてBT-42が発砲したのは、最初のパーシング撃破、橋梁下での射撃、最後のパーシング撃破、の三回ではなかったかと思います。
とりあえず、弾薬収納関連のパーツはこれで完成としました。自作だけに手こずるかと予想しましたが、思ったよりもあっさりと仕上がりました。寸法の手直しや位置のズレが生じなかったのが良かったです。
何かこう、劇中のシーンがリアルに思い出されて良いです。やっぱりインテリアも再現するという作業は、付加価値の一部であることに相違ありません。同時に制作のやりがいが増して作業が楽しくなってまいります。
プラッツから発売されている、継続高校チームの三人のフィギュアを乗せるのも楽しそうですが、その場合はポーズなどを若干修正する必要があるようです。またフィギュアに付属するデカールには、BT-42用の校章マークがワンセット含まれています。
続いて、ミッコの操縦シーン等を参考にして、操縦席の各パーツを再現する作業に移りました。
上図に示したように、右履帯のレバー、ギアシフト、アクセルペダル、ブレーキペダル、ハンドル、ハンドルシャフト、の6つのパーツが見えます。このうち、ハンドルとハンドルシャフトを除く4つのパーツはソ連戦車共通のパーツであることが分かります。
さらに、ミッコの左脇に、エンジンスターターと思われる部品が見えます。これはBT系列のみならずT34系列にも見えますが、T34系列ではブレーキペダルとクラッチペダルの真ん中に位置します。BT系列では同位置にハンドルシャフトがありますから、左脇にセットされているのでしょう。
このパーツは、最初は消火器のように見えたのですが、T34系列のインテリアキットで見ると消火器は別にあって形状も異なります。ではこれは何か、と模型サークル仲間に問い合わせ、たぶんエンジンスターターじゃないか、との答えをいただきましたので、それにしたがいました。
さらにミッコの足元のシーンを見てみましょう。左側にハンドルシャフトの基部、右方に左履帯レバーやエンジンスターターと思われる部品が見えます。
ミッコの足がかけられているのがクラッチペダルですが、T34系列ではこちらに先端の延長部がつきます。劇中車ではブレーキペダルの方に先端の延長部がつきますので、ペダル全体の形状が逆になっていることが分かります。ペダルに繋がるロッドの取り付け部もT34系列とは逆で外側になっています。
パロラ軍事博物館に現存する実車がこのようになっているかはまだ確認していませんが、ガルパン独自の設定も混じっているのではないかと思います。
とりあえず、操縦席の各パーツを一通り揃えました。ソ連戦車のパーツは基本的に共通なので、履帯レバー、ギアシフト、ペダル類はAFVクラブのAF35145番のT34/85のフルインテリアキットから転用しました。使用したパーツは、履帯レバーがC54、ギアシフトがC52、アクセルペダルがC28、ブレーキおよびクラッチペダルがC59、ロッドがC66とC67、エンジンスターターと思われる部品がC40とC41です。
そして劇中車仕様にあわせて、履帯レバーの形状は修正のうえプラ板で支柱を追加、クラッチおよびブレーキペダルは逆にしてロッドの取り付け位置も変更しました。エンジンスターターと思われる部品はランナーで長さを変更し、ハンドルシャフトはプラ材で自作しました。
なお上図には、アクセルペダルとハンドルがありませんが、ハンドルのほうは、ピットロードの公式キットのカモさんチーム九五式小型乗用車に入っている不要パーツのA22を改造して使う予定です。
以上の部品を、操縦席パーツを仮組みした上で配置して取り付けました。
こんな感じでパーツが密集しています。大部分は、車体を組み立ててしまうと見えにくくなりますので、以前にウサギさんチームのM3中戦車リーを作った時と同じように、車体天板を取り外し自在に出来ないものか、と考えました。
ですが、それで良いかどうかはこの時点では判断がつきませんでしたので、車体天板の取り扱いについては後でまた検討することにしました。
アクセルペダルもちゃんと写っています。ギアシフトは、形状が完全に一致しますので、T34系列のそれと共通する部品であることが分かります。
エンジンスターターと思われる部品も、劇中車と同じ位置に斜めに立ててあります。転用パーツはT34系列の短いタイプでしたので、ランナーを追加して長さを合わせました。
あとはハンドルをつければ完成です。ハンドルのパーツは、ピットロードの公式キットのカモさんチーム九五式小型乗用車に入っている不要パーツのA22を転用しますが、それは支持フレームが三本(Y字形)なので、劇中車の四本(十字形)に修正する必要があります。
かくして、困難なステップであるかに思われた操縦席インテリアの製作がほぼ完了しました。プラウダ高校チームのT34/85の一輌を作ってみようと買っておいた、AFVクラブのAF35145番のT34/85のフルインテリアキットがこんな形で役に立つとは思いませんでした。
AFVクラブのキットに関して参考までに紹介しておくと、劇中のT34/85とは砲塔の溶接ラインの一部とキューボラハッチの形状など四ヵ所ぐらいが異なりますが、それらを修正すれば、ほぼ劇中車を再現出来ます。またT34/76のキットも確保していますが、そちらもほぼ劇中車に近いので、今夏に発売されるプラッツのドラゴン系公式キットといい勝負になるのではないかと予想しています。
AFVクラブのキットは、ある意味タミヤやドラゴンのキットよりも作り易い面があるなと思いますが、T34系列のキットはみんなフルインテリアキットなので、全部組み立てたら大変です。私の制作ではインテリアは省略する予定なので、今回のBT-42の製作に幾つかのパーツが転用出来た次第です。 (続く)