家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

無人販売所を世界遺産に

2008年05月22日 | その他
当地方には近隣の農家が出店する無人販売所というものがある。
販売所といっても大概半畳ほどの大きさの小屋で、みかんとか芋とか農作物をビニール袋につめて100円か200円の値札をつけて置いてあるだけ。買いたい人は、据え付けてある箱やペットボトルにお金を入れて商品を持って帰るという仕組み。
他県でも見たし、ずいぶん前だが東京の世田谷区でも見かけたことがあるので、日本のそこかしこにあるのではないか。
これを見るたびに「日本って良い国だ」ってしみじみ思う。
売る人がいなくとも、買う人がお金を支払ってくれると信頼することが前提なのである。

他国では屋外に自動販売機すら置けないらしい。トラックでやってきて自動販売機ごと商品とお金を盗まれてしまうからだという。そんな土地柄では、無人販売所などという存在は想像すらできないだろう。
無人販売所を設置できるという環境は世界的に誇りに思っていいことだ。

それでも最近は不心得者が増えてきていているという。100円なのに10円玉とか1円玉を1枚入れて立ち去る輩や、お金を入れるフリをして商品を持ち去る輩が後を絶たないとの話を聞く。ある無人販売所は商品を並べた後しばらくの時間は有人化せざるをえなくなったという。ろくにお金も払わずにいいモノをより分けて持っていく人間が頻繁に出没したらしい。
もし、そのような不心得者が全体の1割以上にもなったら、無人販売はむしろ損になり販売所自体を閉じてしまうことになりかねない。
農家の高齢化進行もあるのだろうが、無人販売所が徐々に減っている理由が不心得者の増加であってほしくはないものだ。

思い切って無人販売所を世界遺産として登録したらいいと思う。
山小屋に向かう道すがらは、さながら「無人販売通り」(ちょっと大げさだが)。この風景は癒し効果すらある。
世界遺産となれば、無人販売所を守れるということもさることながら、そのようなすばらしいものであると社会的に意識させることで、不心得者を減らすこともできるし、日本という国の民度の高さと治安の良さを世界に知らしめ、民族の国際的信用力をさらに高めることができるのではないか。
将来、日本全体の高齢化が進み、外国人労働者を多数流入させざるをえないような状況になったとしても、目の前にある小さな小屋が世界遺産なのだということを教えれば、窃盗の抑止につながると思う。
私は、もしかしたら、世界遺産を認定する立場にある民度の高い外国人ですら、無人販売所が成り立っている事実に驚くのではないかと思っている。

世界遺産化の第一歩として、まず、行政で地域ごとの無人販売所の統計を取ってみたらどうだろう。
農地がそもそも少ない地域もあるので、農地面積当たりの数とか、道路の通行量と比べた数とか、取扱品目数なども補足的に算出するといいかもしれない。
その統計で高い数値が出たならば、地域の誇りとなるはずだ。
政治家は箱物を作ったことを自慢するより、そういう数字を自慢するほうがよほどいい。
税金の使い方として私は賛成する。
GDPや景気動向指数のような既存の統計より、はるかに豊かさを表現できるはずだ。きっと世界に向けて発信したくなる。そんな統計を出せる国は世界にいくらもないだろう。堅苦しく愛国心教育などをやらなくても、健全な愛国心を育む効果もあるのではないか。

はれて世界遺産となったあかつきには、我が家も(自給率100%の)クレソンを無人販売で売ってみることにする。我が家の軒先に世界遺産があるなんてステキじゃないか。そうしていろんな人が無人販売を始めたら、とてもいい社会になるだろうなあ。