家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

「作品」という呼び方

2005年06月26日 | 家について思ったことなど
 建築家が設計した家のことを作品という言い方をすることを気に入らないという人は多いようだ。自分の家ではないような表現に感じられてカチンとくるらしい。
しかし、私はそんなには気にしていない。家というものは、ハウスメーカーでは「商品」「製品」と呼んでいるし、不動産屋では「物件」なんて呼び名になっている。「作品」という言葉にだけ過敏に反応する人はだれかに刷り込まれた変な思い込みがあるのではないかと思ってしまう。
「作品」であれ、「商品」であれ、「物件」であれ、その家に住む施主からみればしっくりこない表現だ。建築家が「あの作品は・・・」って会話をするのと、ハウスメーカーの営業マンが「あの商品は・・・」って会話をするのを比べて、施主の「しっくりこなさ」加減に違いはないように思う。

「作品」も、「商品」も、実は施主のいない場面で使われている言葉だと思う。建築家だって、施主がいる目の前でその施主の家を「私の作品」なんて言いやしないだろう。営業マンがその家の施主を目の前に「わが社の製品」などとは言わないように・・・。
それらの言葉は主に第三者に提示するときに出てくる言葉ではないだろうか。

「作品」はもろ手を上げて賛成とはいいにくい言葉とはいえ、建築家・設計事務所が何がしかの呼び方を考えれば「作品」というのは妥当な線だと思っている。他に置き換える言葉が思いつかないのだ。
ある工務店では自分のところでやった案件を「施工作品」として紹介していた。それから考えると「設計作品」というべきであろうか。事務的に「設計案件」でも間違いではなかろう。ただ、これらは言葉としては収まりが悪い。「作品」でも許してしまう。

以前私は「建てたのは誰か」というエントリを書いた。それは、建築物に関わったそれぞれの人間が所属するカテゴリによって、建てたのは誰かということがさまざまな言われ方をするだろうというような内容だった。
同じように、家を「作品」とか「商品」とか「物件」とか呼ぶのは、それぞれの人間の集合で使い分けられているのではないか。
そうであれば、さほど気にすることもないように思う。