外国へ行ったとき一番不愉快なことはふとしたことで差別されることである。初めてヨーロッパへ行ったとき、ロンドン空港へ夜中に到着した。たまたま機内で臨席にいた若い方が、京都R大学仏教学科の大学院生であった。彼も初めての外国旅行だった。大学の生協で旅行の手続きをしてきたとかで運良く同じホテルに宿泊することになっていた。彼は事細かにいろんなことを調べてきたメモ用紙を持っていた。それのお陰で彼を迎えに来ていたリムジーンという自動車に初めて乗ることが出来た。そしてホテルに到着することが出来た。宿泊手続きをして翌朝一緒に朝食を食べに行く約束をしてそれぞれの部屋に入った。
そして翌朝、2人で食堂へ行った。さすがに立派な食堂だと思って感心していたところ、ウェイターがつかつかと寄ってきて”ルームキーを見せろ”というので鍵を見せた。するとウェイターはお前さん達の行く食堂へここではなくこの通路を行ったところだと言って暗いローカを示した。今見た食堂は背広をきちんと着たりドレスを着た紳士淑女が静かに食事をしながら小さな声で話をしていた。
仕方が無いので我々はウェイターに指示したローカを歩いて行った。そこはなんだか薄暗い食堂だった。そこにいる人たちはそれと解る有色人種だけであった。私は何故か納得してしまった。イギリスはもっと自由の国だと思ったがとんでもない話だと言うことを知った瞬間だった。
私は初日のホテルを予約していただけなので次の日から泊まるところを探さなければならなかった。ホテルのフロントで聞いて3カ所ばかり探してもらった初めのホテルへ行った。ピカデリーサーカスと言うところにあったそのホテルはありふれたビジネスホテルのようで気さくなおばさんが受付にいて快く宿泊させてくれることになった。そこで5日ほど滞在した。ただ閉口したのは数え切れないほどの数のネコがいることだった。初めてヨーロッパへ着いた翌日に人種差別にあい気分を害したのは事実であった。
数回ヨーロッパへ行った経験からフロントマンの話を良く聞いておかなければならないということを肝に銘じてミュンヘンへ行った。ミュンヘン駅の直ぐ脇にあるユーロスターズグランドセントラルというホテルを予約しておいた。宿泊手続きをしたときに朝食は6階のレストランでとるように言われた。翌朝、6階のレストランで食事をしようと食堂へ入った。非常に明るく静かな雰囲気の食堂であった。すると東洋人と思われるボーイが急いでやって来て「お前さんが入る食堂は7階の食堂だ」という。私は昨日チェックインの時に6階だと確認してあるというと、少し待ってくれと言ってルームキーをもってフロントへ行った。少時してフロントマンと2人でやってきた件のボーイは申し訳ないことを言ってしまった。許してほしいとフロントマンの前で謝った。ちなみに7階の食堂は東洋系の人たちでごった返すように騒々しかった。そのとき、はからずもロンドンでのことを思い出してしまった。
ボーイの頭の中には何か自ら差別するあるいはされる習慣があり、それに従ってしまったのかも知れない。こうして私は世界の国には未だに平然と差別が日常的に行われている現実を見た。
最近の報道によると、ある宗教に属する人たちは厳格な身分制度に縛られていて、下の身分の人との結婚は大変困難であるらしい。身分違いの結婚相手が行方不明になってしまうことがしばしば起こるという。科学技術の発達した世の中で身分の低い階層の人たちも収入が増加して収入に見合った生活(上層階級の人と同じかそれ以上の生活)をしているというのに、結婚というのは別の考えをもった年配者に多くいるようである。過去の習慣を乗り越えられる日はいつ来るのだろうか。
私は与論島の海岸で夜空に輝く無数の星を見ながら学生に人間の世界から戦争を無くすことができるかと問うたことがある。これを読んだ皆さんはどうだろうか?
世界に本当の平和が来るのはいつの日だろうか。若い人たちの希望を叶えてあげたい。
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