金属ナトリウム(以下単にナトリウムと呼びます)はど
れほど危険な物質かをご存じの方はそんなに多くはない
でしょう。ナトリウムの性質をみますと、融点97.72℃
と水の沸騰する温度近くで溶液になります。融点付近で
の密度は 0.927g/㎤ となっています。水の4℃の密度
とほぼ同じと言えるでしょう。またナトリウムは、自
然界で同位体つまり原子番号の異なるトリウムはほと
んどないという物質です。
おそらくこのような性質が原子炉の冷却剤として使用
されたのでしょう。もちろん他の利点もあったのでしょ
うけれどもね。
金属ナトリウムで忘れてはいけない性質があります。
それは非常に腐食性が強くいろいろなものを腐食させま
す。また水が存在すると激しく反応し高熱を発生します。
同時に水を分解して水素を発生します。この水素は高熱
で爆発的に酸化します。ナトリウムは酸化物となり、水
に溶けると非常に強いアルカリ性を示します。これもま
た厄介な性質(もちろん扱い方をきちんとすれば良い性
質になります)を持っています。このような性質を持っ
ているナトリウムを原子炉の冷却剤として使用すること
も一つの大きなリスクとなりますね。
モンジュが実験炉であるということですから、どんな
成果があり、またどんな改善点があったのかを検証して
いることと思いますが、その辺のことは一般的には報告
されていません。これが問題なのかもしれません。高度
に専門的な話といえども、事故発生時に隠蔽してきたこ
とが報告できない要素があるのではないかという疑いを
抱かせるのではないでしょうか。そして2年後には新し
い一段進んだ原子炉の策定を始めるというのですから
いろいろな問題が発生するのは当然のことでしょう。
私個人としては、十分に利害を検証してそれを公表し
国民の理解を得ることが必要ではないかと思います。何
しろ膨大な予算を必要とする事業ですからね。
高速増殖炉が安全に運転されると将来懸念されてい
るネルギー問題はかなり緩和されるという夢を再び見
たいと思います。
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