今日は”真空管”について日記にしたい。
絵日記の絵(写真)は、私の真空管の(形状)コレクションである。
大きな形状のものは、電気信号を空中に送出できる周波数まで持ち上げ(周波数を高くする=電波にする)た信号を、相手に届くように”増幅”する「送信菅」である。
ST管・MT管・GT管の他に板極管もある。
しかし、残念ながら「メタル管」が私のコレクションにはない。
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私が、幼少の頃に「NHK」の新諸国物語を聞いていたラジオが”並四ラジオ”であった事など知る由もなかった。
この当時の受信機(ラジオ)に使われていた真空管が「ST菅」という”茄子の様な形状のモノ(真空管)であった。
そして、使われては居なかったが”ラッパ”の様なスピーカーが木箱の上に載ったラジオもあった。
悪戯をしてバラバラに分解して、父のお叱りを受けた。
今も現存していれば”骨董的価値も高かったものと思う。
父の自転車競技の賞品であったと、記憶しているが定かではない。
当時のラジオを聴く為には、少しばかり”コツ”が必要であった。
放送局を選択(チューニング)し、もう一つのツマミを調整して、心地良く聞こえる様に調整しなくてはならなかった。
現在の様な、リモコンで””ピッ”と言うわけにはいかなかったのである。
調整を誤ると”ピィー”という、大きな音(発信音)がした。
「並四ラジオ」の後「スーパー・ラジオ(スーパー・ヘテロダイン受信機)」となった。
そして、使われる真空管も、ST管からMT管・トランジスターへと移行されていった。
因みに「並四」とは? 不思議なネーミングではないか?
真空管は、三つの電極(陰極・格子・陽極)の三極菅から五極菅(格子を増設し高効率化)へと進展した。
五極菅を”高級(高額・ランクが上)と言い、三極菅を”並”といって、差別化して居た様である。
このことから「並(三極)の真空管を使ったラジオ」と呼称した様である。
しかし、後継機として「高級(五極)な真空管を使ったものでも”並四ラジオ”と(呼称を)継承したようである。
そして、素子も真空管から、トランジスターとなり、持ち歩く(ポータブル・ラジオ)ように成っていった。
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トランジスターを使った製品が出始めた頃、私は、研修所で研修を受けた。
そして、衝撃的な講演(授業)を受けた。
「近い将来・電話機(当時の一般的な黒電話機)の送受話器程度の大きさで、ワイヤレス化する」と云うものであった。
トランジスターと言う素子の存在はあったが、私のアタマは、真空管である。
取り扱う機器は、真空管の集合体であり、大きな電源も必要としていた。
「(黒電話機の機能を)持運べる様に”送受話器”程の大きさにする」という授業は衝撃的であったことを、今も鮮明に思い出されるのである。
私の想い(当時の知識)が、今では(胸の)ポケットに収まる形状で、ワイヤレスとなり”何時でも・何処でも・誰とでも”の通信社会と成っている。
物置を整理していて、若かりし頃に”憧れた真空管”を見付け、四十数年前が想い出され、今ある通信手段に思いを馳せている。
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注:写真・左で、右端の細長いモノは、小口径の”ブラウン管”である。電気信号の波形等を観測する測定器に使われていた。
原理的には、アナログ放送のTV受像機に使われていた、ブラウン管と同じである。
冒頭の「(形状)コレクション」としたのは、使用不可(性能上)なモノが多く”カタチ”を観て(往時を)楽しむものであるため。