北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない
「士農工商」について考えた。--------
“士農工商”は身分を表すものではなく/職業名です。元々は古代中国の四字熟語で/全ての職業/民衆一般と云う意味です。日本に入って来たのは/未だ武士のいない奈良時代ですから/“士”は“武士”を意味してはいませんでした。中国での使われ方と同じで/“士”は知識人や役人を指していました。現在でも弁護士/博士/栄養士など“士”のつく職業が沢山あります。---------
長い間/小中高校の社会科の教科書では/江戸時代の身分制度を“士農工商”のピラミッド型で記述していた。では/子どもたちはどのように学んでいるのか。今の小学校の教科書には次のように書かれている。“江戸時代の社会は/支配者である武士を始め/百姓や町人など様々な身分の人々によって構成されていた。--------
ではどうして/“士農工商”が江戸時代の身分制度だと考えられてきたのか。それは/明治初めの身分制度の改革を誤って/“四民平等”と捉えてきたことが大きかったようです。---------
近代社会では/科学が進歩し/人類の手にした知識は膨大なものがある。一般人がその全てを使いこなし/操ることは不可能である。----------
TVを観たり/スマホを使ったり/PCを利用するが/その仕組みを詳しく知る人はとても少ない。作れる人はもっと少ない。---------
其々の分野で其れを設計し作れる人材を養成するのが/大学の工学部なのであろう。学部4年間学んで漸く今の市販品の製造に携われる位であり/新製品の開発となると/大学院(修士課程)を修める必要がある。それ位に獲得すべき知識が多いのである。-------
また大学の理学部は科学の先端を追求する研究者/教授から小中高の先生/教諭までを養成することになる。--------
医学部は、理系の偏差値最高位だが/研究医として大学/研究機関に残る人と/臨床医として勤務医となったり開業する人が大半である。余談になるが臨床医の中には手技に長けて/伝統工芸の人間国宝のような人もおられる。---------
江戸時代の“士農工商”の“工”に相当する職業人を養成する分野が理系と云えるのではなかろうか。