奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その2068)

2022-04-22 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「つまらない住宅地のすべての家(津村記久子著・双葉社2021刊/初出2019.10~2020.5小説推理)」を読んだ。津村記久子(つむらきくこ1978生れ)女史は、大阪府立今宮高校/大谷大学(文学部/国際文化学科)卒。会社勤務する傍ら兼業作家として小説を書いていたが、2012より専業作家となった。2009“ポトスライムの舟”で芥川賞受賞/2011“ワーカーズダイジェスト”で織田作之助賞受賞/2013“給水塔と亀”で川端康成文学賞受賞。-------

この本「つまらない住宅地のすべての家」の紹介文は次の通り。とある町の路地を挟んで十軒の家が立ち並ぶ住宅地/そこに女性受刑者が刑務所から脱走したとのニュースが入る。自治会長の提案で住民は交代で見張りを始めるが/住宅地で暮らす人間それぞれの生活と心の中を描く長編小説。-------

一部抜き刷り文は次の通り。その日、丸川亮太が何時ものように中学の制服に着替えて朝食を摂っていると、テレビから二つ隣の県の刑務所から女性が脱走したと云う、少し前から話題になっているニュースが流れた。その逃亡犯は亮太の家の方に向かっているらしいとのことで、亮太の父親が住宅地を見張ろうと言い出した。そんな丸川家の向かいにある矢島家/小学生の姉妹と祖母母親の4人で暮らしているが母親は留守がちで、姉の美月が妹の面倒を見ていたのだった。そしてその隣の真下家では----------

津村記久子の芥川賞受賞作“ポトスライムの舟”を読んだ時の感想は、長い経済停滞の続く日本社会の実態を上手に切り出した作品だなと思った。今回の“つまらない住宅地のすべての家”では、日本の貧しい住宅政策のために、核家族しか住めない兎小屋が並び/過疎化が進展する一方の/個性のない本当に詰まらない住宅地の氾濫する地域社会/その小説舞台に降って湧いたような一撃/刺激を加えて小説化している。この小説を読んで若者が自身の人生の慰(なぐさ)めとするようでは、話にならないと思った。

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