奈良

不比等

古都奈良・修学旅行と世界遺産の街(その1012)

2019-06-02 08:15:00 | 奈良・不比等

北円堂を知らずして奈良の歴史は語れない

「戦前の日本のポピュリズム~日米戦争への道(筒井清忠著・中公新書2018刊)」を読んだ。筒井清忠(つついきよただ1948生れ)氏は、京大(文学部)卒で、同大学院博士課程を満期退学している。奈良女助教授、京大教授を務め、現在は帝京大学文学部長である。専攻は日本近現代史、歴史社会学とのこと。----

「戦前の日本のポピュリズム」は、タイトルの通り、戦後の政治がポピュリズムに陥っているとの言論が喧(かまびす)しいが、そんなことは日露戦争ごろから日本では十分に顕著であったのだと、日比谷焼打ち事件や夏目漱石の坊ちゃんの時代背景を解説しながら、日本の辿って来た近現代の病理を書き出してくれている。-----

副題の“日米戦争への道”の部分はそれ程に繋がりがなくて、読者としては少しがっかりするのだろうが、前半の部分で分かり易く書いてくれているので、後半の纏まりの無さは我慢あるいは諦めざるを得ない。そして筒井清忠氏があとがきに記しておられるように、この本を書いて宿願を果たした気分であるというのだから、ある種、筒井清忠氏の自己満足を得るために役立つ本であったことが重要なのだそうであり、戦前の日本人も充分にポピュリストであったことを知っておくだけで、現在の政治状況を嘆いてばかりいる必要は無くて、間違った判断を国民がしてしまった過去のダメ日本人を今後は再現しなくて済むように努力せよとの結論であったようだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする