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オペラ、バレエ、歌舞伎、文楽などの鑑賞日記です

東京バレエ団の「ジゼル」

2021-03-01 11:03:32 | バレエ
2月28日(日)の昼に、東京文化会館で東京バレエ団の「ジゼル」を見る。午後2時開演で、20分間の休憩をはさみ、終演は4時20分ごろ。新国立などのバレエ公演と比べると、若い女性がかなり多い印象。非常事態宣言前に売れていたのか、1階席のセンターはほぼ埋まっており、3階以上は空席も多いが、全体として6割ぐらいは入っていた印象。

主演のジゼルは沖香菜子、アルブレヒトは江本弾という、強力なコンビ、ヒラリオンは鳥海創で、ミルタは伝田陽美という配役。3日間の公演で、主要キャストは二人の交代制。オーケストラは東京交響楽団で、指揮は井田勝大だった。

東京バレエ団の振り付けは、ラヴロフスキーが1950年代にボリショイで復元したもので、最もオーソドックスで標準的なものだから、美術も含めて安心してみることができる。奇をてらうような演出がない分、踊りの実力がよくわかるが、今回の公演はソロ・ダンサー、コールドともに充実しており、素晴らしいものだった。

単に踊りをきちんと踊っただけでなく、演劇としてのバレエも意識して見事に物語表現、心理表現の行った点は素晴らしいと思った。今やビデオで世界中のバレエ団の踊りが見れる時代だが、東京バレエ団の水準は間違いなく世界の一流レベルといえる気がした。

井田勝大の指揮もよく、よく踊りに合い、美しい響きを聞かせた。欲を言うと2幕でミルタがジゼルを墓から呼び出して、最初にジゼルを回転させる場面の音楽はもう少し早くして、回転を速くしたほうが良いのではないかと思われる。2幕のチェロのソロは美しく聞かせたが、管楽器はちょっと荒っぽいところもあったものの、全体としてはとても良いという部類。

「ジゼル」は現在上演されるバレエの中では最も古いものではあるが、ロマンチック・チュチュの優雅な動きもよく、何度見ても飽きることのない名作で、見るたびに新発見もあり、楽しめる。何度も見れば見るほど面白くなるという点では、なんとなく歌舞伎に似ているとも思った。

帰りは少し早いが、いつものスペインバルで軽い食事。トルティージャ、生ハム、鳥ときのこのソテーなど。