戦争を風化させない~戦後61年目の遺骨収集~

2006-08-03 01:21:37 | 独り言&拾いもの
「103回が2つあるぞ、104回では?」
数が数えられないトシ子に(だからニワトリだって言ったでしょ)
親切にメールしてくれた友人がいました。
彼は「自分がコメントすると、雰囲気を壊すかもしれない」と躊躇していましたが、題名を読んで、すでにドン引きされた方もいらっしゃるかもしれません。

我が家の夕食時間は7時です。片付けまで入れて約一時間、
藤田まことさんの「剣客商売」や、北大路欣也さんの「大岡越前」を見る以外は、NHK総合テレビが何となしに流れています。
ニュースに引き続いて「クローズアップ現代」を「流し見」してますが、
(日曜日は「ダーウィンが来た!」ですね)
今日は思わず、食器を洗う手が止まりました。

歴史オタクな私には、にわかに信じられない話なのですが、
大学生(と言ったと思う)の二割が、8月15日の終戦記念日を知らなくて、
四分の一が、日本がアメリカと戦争をしたことがないと考えているらしい・・・。

日中戦争~太平洋戦争終結まで日本が一方的な戦争被害者だったわけでは勿論ないのですが、海外約240万人(内軍属210万人)+国内約70万人、合計310万もの尊い命が奪われてしまったこの戦争で、番組が今日取り上げたのは、海外戦没者の半数近い114万もの人々が、今日遺骨がないまま埋葬されていることでした。戦後61年経った今も、DNA鑑定による人物特定や、現地での遺骨回収作業が行われていることに、少なからずショックを受けました。

21歳の大学生は、戦争体験を語ることなく二年前に他界した祖父のことを知りたいと思い、遺骨収集団にボランティアで参加し、ガダルカナル島に向かいます。
ガダルカナル島はパプア・ニューギア以東のソロモン諸島にある島です。昭和17年8月~昭和18年2月、この島を巡って日米両軍は激しい戦闘を繰り広げましたが、制空権・制海権のない日本軍は食料・弾薬の補給を断たれてしまい(いつしかこの島は「餓島」と呼ばれるようになった)、戦没者2万人のうち1万5千人が餓死&病死する悲惨極まりない結果に終わりました。かろうじて撤退した1万人の将兵も、国民に敗北の事実を知られないように「転進」という理由で、そのまま激戦地にとどめ置かれてしまいます。
ボランティアの大学生は、熱帯のジャングルを三日間歩き、祖父が食料も弾薬も持たずどのような苦しみを味わいながらこの道なき道を行軍したことだろうと、思いを馳せます。そして、同行した八十代の方や遺骨収集のため二十回もこの島を訪れている方から戦争の話を聞かせてもらい、今回収集することができた十九体の骸を荼毘にふします。
(六十年以上も雨ざらしにされた遺骨なのでDNA鑑定ができない)
髑髏が語りかける無言の言葉に耳をすませて泣きました。

ガダルカナル、インパール、ニューギニア、ウェーク、サイパン、レイテ・・・
先の戦争で、戦死者の七割近くが直接の戦闘ではなく、飢えや病によって命を落とし、彼らの半数は未だに日本の土を踏むことが叶わぬ現実。
戦争は本当に終わったのか?
これから達彦達が向かうかもしれない戦場にも、今もなお彼らの骸が眠っています。

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4 コメント

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Unknown (まめちゃん)
2006-08-03 16:27:06
重い表題ですね。

風化された戦争。そして教訓を忘れた愚か者達が歴史を繰り返す。まあ、今の時代、われら女がものをいう事が当たり前になってきたことが、戦争回避につながればな、と思っています。

イラク自衛隊派遣のとき、わたしの周りに、仕方ないよ、お国の決めた事だもの。と言った母親がいました。私も彼女もあの時代なら戦争に行かされた年齢の男の子がいます。

<もし、自衛隊じゃなくて年齢的に見合ったうちらの子たちに国から行けといわれたらどうする?>と言っちゃいました。

先日、TOSHIさんが書いていらしたように、60年間のなかで少しづつ大事なものを失ってきてしまったような気がします。これだけメディアが発達しているのにニュースを見ない、読まない、家族で話し合わない。伝えることを忘れていく日本人。戦争で国のために、という大きな名分のために亡くなった方々はどんな風に見るだろうね、現在の私たちを。今晩、子供達にうまく戦争の話できるといいなあ。
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コメント、ありがとうございます (Toshi)
2006-08-03 18:34:41
〈まめちゃん〉さん、コメントありがとうございました。

実は、本当に重たい内容なので、

「こんなことは書くな」とか「聞きたくない」

なんて言われてしまうだろうと、覚悟してました。

実際、遊びに来てくださる方の数がぐんと減りましたから。

でも、このコメントを読んで勇気がでました。

〈まめちゃん〉が書いてくれたように、

女性の発言だけがこの繰り返しを止めることができる、と私も考えています。

この件については、オトコという生き物は本当にどうしようもありません。

それについては、「純情きらり(106)」で書きたいと思います。
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ここで勉強させて下さいね (びわちゃ)
2006-08-03 19:43:59
Toshiさん、私も純きらを通して戦争の悲惨な現実を学び

微力ながら今後に生かせれば……と考えている1人ですので

こういうお話はとても勉強になります。



>ニュースを見ない、読まない、家族で話し合わない。



これは私もすごく感じていました。

でも、同じように疑問に感じている方がいらっしゃるのだと

まめちゃんさんのコメントを読んで救われた気持ちになりました。
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コメント、ありがとうございます (Toshi)
2006-08-03 20:08:44
〈びわちゃ〉さん、こんばんは。

何というか、ここ数日の胸のつかえが取れました。ありがとうございます。

番組を見ていた人はおわかりでしょうが、ガダルカナル島へ遺骨収集のボランティアに行ったあの学生さんや、

自分も含めて戦争を全く知らない人たちが、戦争について何らかのアクションを起こしていることに対して、深く感動したもので・・・

いつか自分もきっと・・・そう気持ちを新たにしました。
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