カ・イ・カ・ン!

2009-11-05 23:59:55 | 独り言&拾いもの


 思わず『セーラー服と機関銃』(相米慎二監督)で、薬師丸ひろ子が呟いた台詞が出てしまったけれど、自分の予想どおりに事が運んだ野球の試合ほど気持ちの良いものはありません。
 野球放送を見なくなって久しくなりましたが(テレビ中継自体がなくなってしまった・・・)、最近のプロ野球は以前と比べると格段に面白くなっています。それはひとえに、唯一特別なチームだった「巨人」が他の十一球団と同じ「普通の」チームになったことに尽きるのですが、今年の日本シリーズも去年と同様、両リーグの覇者ががっぷり四つに組み合い、連日熱戦を繰り広げています。

 今日も帰宅するなり、テレビをつけてしまいました。0-1の緊迫したゲームでしたが、解説陣が何ともお粗末でした。監督の器ではなかった巨人の前監督と、オリンピックで何の仕事もできなかった広島の大打者&元監督と、現役時代から「絶好調」のワンフレーズしかなかった元選手&コーチ(この人もオリンピックで指揮を取らなかったっけ?)が何を偉そうに・・・なんて思ってしまったのですが、試合そのものは息詰まる投手戦で、非常に見ごたえがありました。

「それが、ファイターズの戦い方だ」と解説者は言ってましたが、ジャイアンツの攻撃陣を完璧に押さえていたファイターズの先発投手が降板してくれ、「これで逆転の可能性が生まれた」と思いました。ジャイアンツは昔から左投手を苦手としています。そのまま完封負けする可能性が高いのに・・・。にもかかわらず、解説者はジャイアンツの攻撃の際に「ファイターズの投手が変わる前に追いついておかないと・・・」とトンチンカンなことを言ってました。ファイターズの抑えの投手のことを考えてそう発言したのでしょうが、今は両リーグのチャンピオン同士が戦っているわけでしょ。(三人の解説者は全員巨人ファンの口ぶりでしたが)相手チームのエースや守護神を打ち崩すことができずに日本一になれると本気で思っているのでしょうか? 
 
 三番手に登場した元ジャイアンツの左投手は失投が多く、彼のジャイアンツ時代に何度も裏切られた苦い思い出があります。案の定、自ら失策を犯し、その後懸命に投げましたが及ばず、同点タイムリーを打たれてしまいました。ここで前巨人監督は「私だったらここでピッチャー換えますね」と発言。もちろん、ファイターズの監督は換えません。それでは彼の面子は丸つぶれだから。ここで交代させられたら、自信も喪失したままでは? シーズン中と同じように、監督はあれほど好投していた先発ピッチャーを交代させリリーフ陣に後を託したのだから、「結果論」にとらわれず、当初の予定どおり投げさせるべきです。彼も奮起して後続を断ちました(「私だったら換える」人が監督だったから、ジャイアンツは優勝できなかったのかな?)

 9回のファイターズの攻撃になりました。解説者たちは「もう巨人のゲームだと思って油断していました」とあっけらかんに発言していましたが、ファイターズは最下位に沈んだ球団ではありません。追いつかれたくらいで「これで今日は負けだ」なんて考える選手は皆無でしょう。彼らは何度もこうしたゲームを再度ひっくり返して勝ってきている筈。同点に追いついたことで、ジャイアンツの投手陣に別の緊張感が生まれました。そして、「一発だけは打たれてはならない」と思ったに違いありません。にもかかわらず、ホームランを打たれてしまいました。

 最終回のマウンドに、ファイターズの守護神が上がりました。解説者は、試合は終わったも同然のような口ぶりでしたが、私は「願ってもない状況が訪れた。リリーフエースはシーズン中と違って本調子ではないことだし、つけ入る隙がどこかにある筈。堂々打って逆転サヨナラ勝ちを見せてくれ!」と思いました。
 そして初球・・・打った瞬間、ホームランだとわかりました。どこまで飛んだかわからないほどの打球でした。名実共に「5番」に定着した、遅咲きともいえる選手の一発だけに、思わず「よっしゃ~~」と大声が出てしまいました。そして、興奮さめやらぬ解説者たちに「もう1本出るよ」と予告しました。一死後、出ました。こちらも、打った瞬間ホームランだとわかる当たりでした。「カ・イ・カ・ン!」

 外しまくった解説者は、「これでジャイアンツが有利になった」と言っていましたが、第6、7戦に登板予定の投手のことを考えると、「これでようやく互角になった」とした方が良さそうです。確かに劇的なサヨナラ勝ちではありますが、明日は移動日で試合がないことだし、残り2戦を相手チームのホームグラウンドで戦うとなると、今日の勝利でジャイアンツが決定的に有利になったと一概には言えません。もし第6戦を落とせば、第7戦には、手負いとはいえ日本球界を代表する投手が出てくるわけですし、あと一つ勝つことの困難さをどちらのチームも味わうことでしょう。広い札幌ドームは、ジャイアンツのようにホームランで点を重ねてゆくチームに不利とも言われていますが、4番打者をDHで使えるなど攻撃陣がより強力になります。好ゲームを期待しましょう~♪

 天の邪鬼なニワトリさん、王選手は神様でしたがアンチ巨人で、万年二位の阪神を応援していました。江夏に田淵、あるいは平松、星野、外木場といった「打倒巨人」な人が好きでした。巨人が最下位に沈んだ翌年から巨人ファンになりました。とはいえ、初めて日本一になったときのヤクルトや広島は、敵ながら実に素晴らしかったと思うなど、実はどこでもいいのかもしれません。パリーグでは(奈良から連想したのか)近鉄が好きで、「江夏の21球」で伝説になった広島対近鉄の日本シリーズほど興奮したシリーズはありません。今年のペナントレースは、巨人の連覇を確信していましたが(パリーグは最後に昨年の覇者の西武が来ると思っていた)、広島と楽天を応援していました。


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