国立天文台三鷹キャンパス ~近くにあった秘密基地(その1)

2008-08-14 21:17:05 | 日常&時間の旅



 15時も過ぎたので、はな子やリュウゼツランに別れを告げて、国立天文台に向かいました。ジブリの美術館前を通って大八道路を戻ること10分、「天文台北」の交差点を左折すれば正面入り口に着きます。
 向かって右側にある受付(赤頭巾ちゃんが住んでいそうな木造の建物だけど、写真を撮り忘れた)で見学申し込み用紙に記入すれば、数々の歴史的施設を見学することができます(10:00~17:00。入館は16:30まで)。


 国立天文台の前身である東京天文台が、大正3~14年(1914~1924)にかけて、それまでの麻布飯倉から現在の三鷹キャンパスに引っ越してきました。国立天文台は、目的に応じて活動の拠点を国内外においていますが(45m電波望遠鏡のある野辺山とか、標高4200mの山頂に設置した8.2mの望遠鏡「すばる」のあるハワイ島マケナウアとか)、三鷹キャンパスが心臓部に相当し、つい最近まで様々な観測も行われていました。各施設の中で一番古いものが、写真の第一赤道儀室です。ドームは1921年に建設され、1927年に設置したカール・ツァイス製の口径20cm屈折望遠鏡を用いて、何と1999年の三月まで!太陽黒点の観測を行っていました。ドームが開くと、トーチカから覗く大砲にも見えますね。


 普段はドームの中に入ることができないのですが、「夏休みスペシャルウィーク」ということで、この日はドームが開けられ、内部も特別公開していました。口径20cmの屈折式望遠鏡の赤道儀(望遠鏡が天体を追尾する仕組み)を動かすのに、おもりを動力源とした「速度調節機構付き重垂式時計駆動」を用いています。
(但し書きではチンプンカンプンだったが、係員が親切に説明してくれた)
 支柱の中に吊るされているおもりを人が最上部まで巻き上げると(係員が実際巻き上げてくれたけど、ハンドルを回すのに結構力がいる)、おもりは重力によって自然落下しますが、それを「ガバナー」と呼ばれる速度調節装置で加減して駆動部分に伝えることで、望遠鏡を一定の速度で動かすことができる仕組みとのこと。
 説明を受けても依然としてチンプンカンプンですが、使用法はわかりました。おもりを一回上まで巻き上げれば、1時間半ほど太陽や惑星など動く速さの違う星にも対応して目的の天体を自動追尾してくれる(非常にエコで)便利な装置です。


       

(左)これが、「ガバナー」と呼ばれる部分。四つの分銅が風車が回るみたいにぐるぐると水平に回転し、下のボックスでは各種の歯車が噛み合いながらゆっくりと垂直方向に回転していた。メカフェチにはたまらない?
(右)接眼レンズ部分には直視分光器(理科の授業で覚えがありません?)を取り付けて太陽を記録紙の上に映し出し(白い丸が太陽)、黒点の黒い影を上からなぞる(スケッチ観測)という単純なやり方(記録を取るのはベテラン観測員)で、60年間も黒点観測を行っていた。黒点の数は11年周期で増減し、今は最も少ない時期とのこと。自分も記録紙に写った太陽を見せてもらったが、黒点は1個もなかった。


 続いて、1926年に造られた大赤道儀室(外観は冒頭の写真。今では、天文台歴史館と呼ばれている)に向かいました。ドームの高さ19.5m、直径15mもあります。半球ドームには、屈折式では国内最大となる口径65cmの巨大な屈折式望遠鏡が、口径38cmの副望遠鏡と共に設置され(カール・ツァイス製)、1998年まで星の位置測定などを中心に天体観測を行ってきました。その大きさには、ナバロンの要塞に出てきた「列車砲」も驚いた~? 現役を引退しましたが、今でも観測可能とのこと。一度観てみたいなあ~♪




                   

(左)口径65cmの屈折式望遠鏡を仰ぎ見る。その上に付いているのが口径38cmの副望遠鏡。巨大なドームの観測窓が開いたら、さぞかし格好いいだろう。ここから夜空を眺めるイベントを開催してほしい~♪
(右)観測床は定員20名のエレベーター。望遠鏡の角度によって上下するため、いつても楽な姿勢で接眼レンズを覗くことができる。2000年に、現在のように固定されてしまった。1階に相当する床下部分(写真右)は展示室になっていて、三鷹キャンパスの四季折々の写真や、65cm望遠鏡で撮影した天体写真などが飾られている。


      

(左)アインシュタイン塔に向かう小道。武蔵野の面影を残して、情緒がある。
(右)木立の中に唐突に出現するアインシュタイン塔。塔全体が望遠鏡の筒になっている。高さ18.6m、地上5階地下1階建て。屋上のドームから入った太陽の光を垂帳に取り込んで半地下に導き、スペクトル(虹の七色)に分けて観測する。


 三鷹のアインシュタイン塔は1930年に建てられた。アインシュタイン博士が一般相対性理論を実証するためドイツのポツダムに建設したアインシュタイン塔と全く同じ構造をしているため、同じ名前で呼ばれている。うっそうとした森に佇む廃墟といった趣で、しばらくここに立っていたら、屋上のドームやバルコニーに、ヴィンセント・プライスとピーター・カッシングの姿が見え隠れした。
(実際は、さんざん蚊に刺されただけ・・・長くなってきたので、次回に続きます)


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