僕が子供の頃は、少年マガジン等の少年誌の裏表紙には、いろいろ怪しげな(笑)通販広告が載っていました。映画スターやアイドルのポスターも人気でしたが、僕が最も興味を持ったのが「シーモンキー」のこの広告でした。
通販というだけでも何か惹きつけるものがあるのに、その上に「アメリカですごい人気」と煽られては、興味が湧いてしまうのも仕方がないところ。インターネットも何も無い時代、海外情報はほとんど皆無。海外で大人気と言われると、それだけで食指が動く。それだけ流行は、海外から黒船の如くやって来る時代でした。
友達は学校の門前の駄菓子屋で日々買い食いをしているので、こういうものに興味を持っても買うお金が無い。僕は親が「買い食い」を厳しく禁止していましたし、ガチャポンのように何が出るか分からないものも買わせてもらえず、本当に欲しい物にお金を使いなさいと言われていたので、こういうものを試すお金はありました。
小学校に行ったか行っていないかの時代、さすがに僕一人で通販に挑戦するのは敷居が高く、親に相談するしかないのですが、却下されないか不安でなかなか言い出せず、「これが欲しい」と広告を見せるまでに随分時間が掛かった記憶があります。親は「じゃあ、今度の日曜に買いに行こうか」と、あっさりと承認。
え?通販じゃなくどこで買ったの?と思われる方も多いと思うのですが、何と大阪・梅田の阪急百貨店本店の玩具売り場に現物が売っていたのです。こんなに怪しげな品物なのに!(笑)それだけ当時は人気があったのかも知れません。
皆さんご存知とは思うのですが、このシーモンキーは何かの粉が入った袋が2つか3つ入っていて、それを水に溶かせて放置しておくだけ。すると24時間くらいで上の広告のような風変りな生き物が生まれて来る・・・はずもなく、変なエビの子供みたいなものが出て来る。今はネットで調べればすぐに分かりますが、1億年前から変化していない生きている化石とされる「アルテミア」という小型の甲殻類を、愛玩用・観賞用に改良した品種です。
60年代僕が子供の頃は、図鑑をいくら探してもこいつが載っておらず、謎の生物として友達の間でも話題になりましたが、すぐに飽きてしまって最後はどうなったか覚えてもいません(笑)今もこの商品は販売されていると聞き驚きました。アメリカの通販業者ブラウンハットによって1957年に「インスタントライフ」、1962年には特許を取得した上で「シーモンキー」と名付けて売り出された、それなりに歴史のあるモノだけに、僕の知人のアメリカ人達もこれを知っていて、お互いに「え?これを知っているの?」と笑い合ったものです。