Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ルーヴル‐DNPミュージアムラボ

2009年05月15日 | 美術
 国立西洋美術館で「ルーヴル美術館展」がひらかれている。入口にはフェルメールの絵やブリューゲルの絵のデジタル画面があって、私が行ったときには、何人かの人がそこにいた。私も何気なくのぞいてみた。ひとりが画面のどこかに指でふれると、その部分が拡大される。ちょうど拡大鏡でみるようだ。これは面白いと思って、私もやってみた。細部の描き方や絵の具の盛り上がり方など、細かいところがよくわかる。デジタル技術もここまでくるとたいしたものだと、情けないほどアナログ人間の私は感心した。
 会場でもらったチラシによって、この技術は大日本印刷(DNP)がルーヴル美術館と共同で開発しているもので、開発の成果が「ルーヴル‐DNPミュージアムラボ」として都内で公開されていることを知った。それから2か月余りたってしまったが、先日、夜間の時間帯の予約がとれたので(見学は完全予約制)、行ってみた。

 ミュージアムラボとは、ルーヴル美術館の所蔵作品をとりあげて、「マルチメディアを活用したコミュニケーションツールを配した観覧コースを通じて」(こういう言葉を私はよく理解できないので残念だが・・・)、時代背景、画家の人生、作品分析、隠された意味の発見、鑑賞者同士の交流をはかろうとするものだそうだ。

 会場では17世紀のオランダの画家ファン・ホーホストラーテンの「部屋履き」↑がとりあげられていた。私はこの画家を知らなかったが、フェルメールの同時代人で、レンブラントのもとで修行し、その後ウィーンやロンドンの宮廷で活躍した人とのこと。
 会場に入ると、絵の現物が展示されている。第一印象は、穏やかな室内というものだった。でも、じっくりみていると、なんだか落ち着かない。手前の壁に立てかけられた箒、床に脱ぎ捨てられた部屋履き、鍵をさしこんだままのドア、燃えさしの蝋燭、実物では意外にはっきりみえる画中画、こういった細部がいろいろあって、気になりだした。これらの意味はなんだろう。
 実は、その意味は、次のセクションの中の「作品の意味を考える」というコーナーで説明される。要するに、家事を放り出して逢引をしている、ということらしい。
 また「画家の技術を体験する」というコーナーもあって、私たち鑑賞者の視線の動きをトレースしたり、自分自身で遠近法のシミュレーションや光と影のシミュレーションをしたりすることができる。
 そのほかにもいくつかのコーナーやセクションが用意されていた。

 たしかに、これらの仕掛けによって、ある作品をより深く、多面的に理解することができるし、本で読むよりも簡単だ。今はまだ試作の段階だろうが、今後さらに精度を増すと思われるので、私もまた体験してみたい(作品はおよそ6か月ごとに変わり、次は7月18日からとのことです)。
(2009.05.13.DNP五反田ビル)

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