Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

サミュエル・バーバー 歴史的録音集(1935‐1960)

2020年04月23日 | 音楽
 3月以降の演奏会は全滅だ。心残りなのは読響の4月定期で演奏されるはずだったサミュエル・バーバー(1910‐1981)の「ヴァイオリン協奏曲」。久しぶりに聴くので楽しみにしていた。演奏会は中止になったので、CDで聴こうと思ってナクソス・ミュージックライブラリーを覗いた。さすがに名曲だけあって、何種類ものCDが登録されている。その中に「サミュエル・バーバー 歴史的録音集(1935‐1960)」という8枚組のCDセットがあった。

 「ヴァイオリン協奏曲」には2種類の録音が収録されていた。一つはアルバート・スポルディング独奏、ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団の1941年2月7日のライヴ録音。これは初演時の録音だろう。濃密な熱気に包まれている。もう一つはルース・ポッセルト独奏、セルゲイ・クーセヴィツキ―指揮ボストン交響楽団の1949年1月7日のライヴ録音(改訂版)。こちらは冷静で抒情的だ。

 両方ともおもしろかったので、他のCDも聴いてみた。圧倒的に強い印象を受けたのはオペラ「ヴァネッサ」だ。1958年2月1日のメトロポリタン歌劇場でのライヴ録音。本作は同年1月15日に同歌劇場で初演されたので、その後の一連の公演の一つだろう。指揮は同歌劇場の実質的な首席指揮者だったディミトリ・ミトロプーロス(同歌劇場には当時、首席指揮者というポストはなかった)。歌手の名前は省略するが、いずれも同歌劇場の主要な歌手たち。

 息詰まるほどテンションの高い上演だ。オペラ公演はこうでなくては!と言いたくなるほどの興奮に包まれている。同歌劇場の黄金時代というか、アメリカの黄金時代の記録かもしれない。

 バーバーの代名詞的な名作「弦楽のためのアダージョ」も聴いてみた。アルトゥーロ・トスカニーニ指揮NBC交響楽団の演奏(1938年11月5日の放送録音)。言わずと知れた名盤だが、あらためて聴いてみると、これはすごい演奏だ。張りのある音と想像を絶するスケールの大きさ。トスカニーニが世紀の大指揮者たるゆえんだ。ついでに「管弦楽のためのエッセイ第1番」も聴いてみた(同上)。これも名演だ。

 わたしの好きな「ノックスヴィル:1915年の夏」は3種類の録音が収録されている。その中ではレオンタイン・プライスのソプラノ独唱、トーマス・シッパース指揮ニューヨーク・フィルの演奏が名演だ(1959年11月15日のライヴ録音)。

 その他にもブルーノ・ワルター指揮ニューヨーク・フィルのライヴ録音が2曲ある。CDセット全体から当時のニューヨークの活況ぶりが伝わる。
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