Enoの音楽日記

オペラ、コンサートを中心に、日々の感想を記します。

ザルツブルク(1):ザンクト・フローリアン訪問

2015年08月14日 | 音楽
 8月5日の夜にザルツブルクに到着。いつもなら翌日からオペラやコンサートに通い始めるのだが、今回は一日空けておいた。体調がよければ、ブルックナーのゆかりの地ザンクト・フローリアンに行ってみたかったからだ。

 到着当日はよく眠れた。翌朝、すっきりした目覚め。これなら行けると思った。

 ザルツブルクから列車でリンツに向かった。1時間程度の車窓の旅。リンツからザンクト・フローリアンへはバスで。市街を抜けると、なだらかな丘陵地帯に出た。30分程度で着いた。静かでのんびりした村だ。

 修道院は写真で見ていたとおりだ。ちょうど昼食時だったので、修道院の中のレストランで食事をした。ブルックナーもこのレストランで食事をしたり、ビールを飲んだりしたのだろうか。そう考えると楽しかった。

 昼食後、付属の教会へ。ブルックナーの遺骨が埋葬されている教会だ。ブルックナーは子どもの頃にここの聖歌隊員になり、やがて教師になり、オルガン奏者になった。その後リンツに出て、さらにはウィーンに移った。でも、亡くなるまで、折に触れてはこの教会に戻り、オルガンを弾いていた。

 教会に入ると、オルガン奏者が新旧さまざまな曲をさらっていた。だれもいない教会の中でそれに耳を傾けた。腕のよさそうな奏者だ。14:30からオルガン・コンサートがあるので、人が集まってきた。メンデルスゾーン、バッハ、ブルックナー、クープラン、そしてジグー(1844‐1925)の曲が演奏された。手慣れた感じの演奏だ。コンサートもよかったが、その前の練習のほうが面白かった。

 バスでリンツ中央駅に戻る途中、アンスフェルデン方面を示す道路標識を見かけた。ブルックナーの生地だ。駅に着いて券売機で検索してみると、アンスフェルデンという駅があった。切符を買ってインフォメーションで尋ねると、ちょうど電車が出るところだった。急いでホームに出て飛び乗った。アンスフェルデンには10分あまりで着いた。食料品店が1軒あるだけの小さな村だった。

 アンスフェルデン、ザンクト・フローリアン、リンツの3地点は、リンツを頂点とする二等辺三角形を形成しているようだ。アンスフェルデンとザンクト・フローリアンとは直線距離にしたら近いだろう。ブルックナーにとってリンツに出るのは自明のコースだった。でも、ウィーンは都会で別世界だ。ウィーンに移るのは大変なことだったろう。そんな距離感がつかめた。
コメント
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