12月4日(金)は大忙しでした。昼過ぎに映画「みんなの学校」を見て、夜は戦争法廃棄を目差した小林節さんの講演会があったのです。清瀬の地に500人以上が参集し、ホールに入りきれなくて、ロビーで聞いている人も出たこの集会については今回は触れないでおきます。
映画「みんなの学校」の視聴は広報きよせの記事を連れ合いが見つけたところから始まります。在任中の白梅学園大学で関連の本(後掲)のチラシも見つけました。そうしたことから久しぶりに教育関係の映画を見てみたいと思ったのでした。
会場ののアミュー7階(清瀬駅北口徒歩1分)に着くと、受付をMさんがしていました。かつて清瀬・教育って何だろう会で一緒に活動した方でした。今回の映画会の主催は清瀬・東久留米社会福祉会です。
鑑賞時間は1時間40分ほどだったでしょうか、なかなか見応えのあるドキュメントでした。内容を要約することは難しいので、映画「みんなの学校」サイトからそのねらいや内容を引用してみましょう。
〔イントロダクション〕
*すべての子供に居場所がある学校を作りたい。
大空小学校がめざすのは、「不登校ゼロ」。ここでは、特別支援教育の対象となる発達障害がある子も、自分の気持ちをうまくコントロールできない子も、みんな同じ教室で学びます。ふつうの公立小学校ですが、開校から6年間、児童と教職員だけでなく、保護者や地域の人もいっしょになって、誰もが通い続けることができる学校を作りあげてきました。
すぐに教室を飛び出してしまう子も、つい友達に暴力をふるってしまう子も、みんなで見守ります。あるとき、「あの子が行くなら大空には行きたくない」と噂される子が入学しました。「じゃあ、そんな子はどこへ行くの? そんな子が安心して来られるのが地域の学校のはず」と木村泰子校長。やがて彼は、この学び舎で居場所をみつけ、春には卒業式を迎えます。いまでは、他の学校へ通えなくなった子が次々と大空小学校に転校してくるようになりました。
*学校が変われば、地域が変わる。そして、社会が変わっていく。
このとりくみは、支援が必要な児童のためだけのものではありません。経験の浅い先生をベテランの先生たちが見守る。子供たちのどんな状態も、それぞれの個性だと捉える。そのことが、周りの子供たちはもちろん、地域にとっても「自分とは違う隣人」が抱える問題を一人ひとり思いやる力を培っています。
映画は、日々生まれかわるように育っていく子供たちの奇跡の瞬間、ともに歩む教職員や保護者たちの苦悩、戸惑い、よろこび・・・。そのすべてを絶妙な近さから、ありのままに映していきます。
そもそも学びとは何でしょう? そして、あるべき公教育の姿とは? 大空小学校には、そのヒントが溢れています。みなさんも、映画館で「学校参観」してみませんか?
映画を見ていた人は2,30名というところで、もったいないなと思いました。この映画はもっと多くの人に見てほしいものです。
一番評価できるところは、教育現場に長期にわたってカメラを入れさせたことです。教師が苦悩する場面や、必ずしも上手くいっていない子ども同士のやりとりなどがリアルに映し出されます。生の現場を覆い隠すことなくカメラを入れさせたことに最大の拍手を送りたいと思います。
しかも、橋下徹元市長の大阪維新の会が力を振るうあの大阪の公立小学校が舞台です。上意下達が貫徹されているというイメージが強いところで、よくこれだけの実践が展開されたなという印象です。
映画が始まると、校長の木村泰子さんが学校中を走り回ります。全校児童200人ほどの学校に、さまざまな課題を抱えた特別支援教育対象の子どもが30人ほど在籍しています。決してたやすくない教育状況の中で、ひとりの不登校児童も出さない取り組みを進めているのです。職員全員で全員の子どもを見る姿勢を貫きます。
教師全員はすぐに子どものところへとんでいける服装をしています。基本的には名札などはしていません。
とりわけ感心したところは、次のような点でしょうか。
・校長や教師が子どもを固有名詞で呼べる。
・子どもの有り様をしっかり見ながらの指導を大切にしている。
私の実践体験に照らし合わせてみると、課題がないわけではありません。
・あまりに校長が目立つ学校になっていないでしょうか。私は「金八先生」を評価していますが、校長が金八先生になっています。教師こそが金八先生であってほしいのです。
・最後の暴力を振るった子どもの指導は感心しません。校長室の指導が中心で当事者同士の話し合いが後手に回っています。
・教師教育として大きな声での指導を否定しながら、校長自らが子どもを引っぱっていく指導のありかたはどういうものでしょうか。
多少の課題を指摘しながらも、私はこの映画を見ることを勧めます。教育についてみんなで話し合うには絶好の映画だと言えるからです。
最後に、今年で退職したこの校長が書いた本を紹介します。
●「みんなの学校」が教えてくれたこと
学び合いと育ち合いを見届けた3290日
著/木村泰子 著/島沢優子
〈 書籍の内容 〉
「みんなの学校」が教えてくれたこと
2015年2月から全国で公開され、大ヒットしたドキュメンタリー映画『みんなの学校』。この映画の舞台となった大阪市の公立小、大空小学校では、「自分がされていやなことは人にしない」というたった一つの校則と、「すべての子どもの学習権を保障する」という教育理念のもと、障害のある子もない子もすべての子どもが、ともに同じ教室で学んでいます。全校児童の1割以上が支援を必要とする子であるにも関わらず、不登校児はゼロ。他の小学校で、厄介者扱いされた子どもも、この学校の学びのなかで、自分の居場所を見つけ、いきいきと成長します。また、まわりの子どもたちも、そのような子どもたちとのかかわりを通して、大きな成長を遂げていきます。
本書は、この大空小学校の初代校長として「奇跡の学校」をつくり上げてきた、木村泰子氏の初の著書。大空小の子どもたちと教職員、保護者、地域の人々が学び合い、成長していく感動の軌跡をたどりながら、今の時代に求められる教育のあり方に鋭く迫ります。
【目次】
はじめに 『みんなの学校』とは
プロローグ 2015春 最後の修了式
第1章 「みんなの学校」の子どもたち
第2章 学び合い、育ち合う
第3章 私の原点
第4章 教師は学ぶ専門家
第5章 「みんなの学校」をつなぐ
エピローグ みんなが教えてくれたこと
映画「みんなの学校」の視聴は広報きよせの記事を連れ合いが見つけたところから始まります。在任中の白梅学園大学で関連の本(後掲)のチラシも見つけました。そうしたことから久しぶりに教育関係の映画を見てみたいと思ったのでした。
会場ののアミュー7階(清瀬駅北口徒歩1分)に着くと、受付をMさんがしていました。かつて清瀬・教育って何だろう会で一緒に活動した方でした。今回の映画会の主催は清瀬・東久留米社会福祉会です。
鑑賞時間は1時間40分ほどだったでしょうか、なかなか見応えのあるドキュメントでした。内容を要約することは難しいので、映画「みんなの学校」サイトからそのねらいや内容を引用してみましょう。
〔イントロダクション〕
*すべての子供に居場所がある学校を作りたい。
大空小学校がめざすのは、「不登校ゼロ」。ここでは、特別支援教育の対象となる発達障害がある子も、自分の気持ちをうまくコントロールできない子も、みんな同じ教室で学びます。ふつうの公立小学校ですが、開校から6年間、児童と教職員だけでなく、保護者や地域の人もいっしょになって、誰もが通い続けることができる学校を作りあげてきました。
すぐに教室を飛び出してしまう子も、つい友達に暴力をふるってしまう子も、みんなで見守ります。あるとき、「あの子が行くなら大空には行きたくない」と噂される子が入学しました。「じゃあ、そんな子はどこへ行くの? そんな子が安心して来られるのが地域の学校のはず」と木村泰子校長。やがて彼は、この学び舎で居場所をみつけ、春には卒業式を迎えます。いまでは、他の学校へ通えなくなった子が次々と大空小学校に転校してくるようになりました。
*学校が変われば、地域が変わる。そして、社会が変わっていく。
このとりくみは、支援が必要な児童のためだけのものではありません。経験の浅い先生をベテランの先生たちが見守る。子供たちのどんな状態も、それぞれの個性だと捉える。そのことが、周りの子供たちはもちろん、地域にとっても「自分とは違う隣人」が抱える問題を一人ひとり思いやる力を培っています。
映画は、日々生まれかわるように育っていく子供たちの奇跡の瞬間、ともに歩む教職員や保護者たちの苦悩、戸惑い、よろこび・・・。そのすべてを絶妙な近さから、ありのままに映していきます。
そもそも学びとは何でしょう? そして、あるべき公教育の姿とは? 大空小学校には、そのヒントが溢れています。みなさんも、映画館で「学校参観」してみませんか?
映画を見ていた人は2,30名というところで、もったいないなと思いました。この映画はもっと多くの人に見てほしいものです。
一番評価できるところは、教育現場に長期にわたってカメラを入れさせたことです。教師が苦悩する場面や、必ずしも上手くいっていない子ども同士のやりとりなどがリアルに映し出されます。生の現場を覆い隠すことなくカメラを入れさせたことに最大の拍手を送りたいと思います。
しかも、橋下徹元市長の大阪維新の会が力を振るうあの大阪の公立小学校が舞台です。上意下達が貫徹されているというイメージが強いところで、よくこれだけの実践が展開されたなという印象です。
映画が始まると、校長の木村泰子さんが学校中を走り回ります。全校児童200人ほどの学校に、さまざまな課題を抱えた特別支援教育対象の子どもが30人ほど在籍しています。決してたやすくない教育状況の中で、ひとりの不登校児童も出さない取り組みを進めているのです。職員全員で全員の子どもを見る姿勢を貫きます。
教師全員はすぐに子どものところへとんでいける服装をしています。基本的には名札などはしていません。
とりわけ感心したところは、次のような点でしょうか。
・校長や教師が子どもを固有名詞で呼べる。
・子どもの有り様をしっかり見ながらの指導を大切にしている。
私の実践体験に照らし合わせてみると、課題がないわけではありません。
・あまりに校長が目立つ学校になっていないでしょうか。私は「金八先生」を評価していますが、校長が金八先生になっています。教師こそが金八先生であってほしいのです。
・最後の暴力を振るった子どもの指導は感心しません。校長室の指導が中心で当事者同士の話し合いが後手に回っています。
・教師教育として大きな声での指導を否定しながら、校長自らが子どもを引っぱっていく指導のありかたはどういうものでしょうか。
多少の課題を指摘しながらも、私はこの映画を見ることを勧めます。教育についてみんなで話し合うには絶好の映画だと言えるからです。
最後に、今年で退職したこの校長が書いた本を紹介します。
●「みんなの学校」が教えてくれたこと
学び合いと育ち合いを見届けた3290日
著/木村泰子 著/島沢優子
〈 書籍の内容 〉
「みんなの学校」が教えてくれたこと
2015年2月から全国で公開され、大ヒットしたドキュメンタリー映画『みんなの学校』。この映画の舞台となった大阪市の公立小、大空小学校では、「自分がされていやなことは人にしない」というたった一つの校則と、「すべての子どもの学習権を保障する」という教育理念のもと、障害のある子もない子もすべての子どもが、ともに同じ教室で学んでいます。全校児童の1割以上が支援を必要とする子であるにも関わらず、不登校児はゼロ。他の小学校で、厄介者扱いされた子どもも、この学校の学びのなかで、自分の居場所を見つけ、いきいきと成長します。また、まわりの子どもたちも、そのような子どもたちとのかかわりを通して、大きな成長を遂げていきます。
本書は、この大空小学校の初代校長として「奇跡の学校」をつくり上げてきた、木村泰子氏の初の著書。大空小の子どもたちと教職員、保護者、地域の人々が学び合い、成長していく感動の軌跡をたどりながら、今の時代に求められる教育のあり方に鋭く迫ります。
【目次】
はじめに 『みんなの学校』とは
プロローグ 2015春 最後の修了式
第1章 「みんなの学校」の子どもたち
第2章 学び合い、育ち合う
第3章 私の原点
第4章 教師は学ぶ専門家
第5章 「みんなの学校」をつなぐ
エピローグ みんなが教えてくれたこと