今発売中のオール讀物2月号の巻末の「おしまいのページで」は、村松友視先生の「フライの謎かけ」というエッセイでした。
お店で出されたフライの中身を食べて当てるお話ですが、口に入れて噛んで舌で味わっても皆目見当がつかなかったというそれは一体何だったのか。
弾力があって、どこかなつかしい味で、何かわからないけど旨い。
何を食べているかわからないのに旨いというのは、いささか不気味だと書かれているのを読んで、思い出したことがありました。
仕事で知り合った違う会社の先輩に連れて行ってもらった、「国境の南」というテキーラバーでのことでした。
トナカイの糞、食べてみる?
と訊かれて一瞬たじろぎましたが、食べることには人一倍の情熱があり、テキーラに合う旨いつまみだと聞けば、どんなものなのか気になって素直に頷いてしまいました。
恭しく出て来たものは、プラスチックのトナカイのおもちゃ。
尻尾を指で押すと、ポトリと出てきた小さな塊。
その匂いはまさしく、一心寺から恵美須町へ下りる坂道の、天王寺動物園の横を通る時に漂ってくるアノ匂いであります。
けれど色は茶色がかった飴色で、動物の糞には見えません。
恐る恐る口にして噛んでみると、見た目ほど固くはなく、アッこれは魚だ、と思いました。
それは噂に聞いたことはあるけれど、それまで食べたことのなかった、クサヤという魚の干物でした。
クサヤ液という独特の匂いの魚醤に漬け込んだ、伊豆諸島の特産品の魚の干物です。
その匂いから好きな人は大好きだけれど、全く受けつけないという人も多いクサヤ。
家では私は前者、夫は後者なので、家で焼くことは許されないのですが、久しぶりにクサヤが食べたいなぁとあの風味を思い出した、村松先生のエッセイだったのでありました。
焼いたものの瓶詰めを、買ってこようかしらん。
お店で出されたフライの中身を食べて当てるお話ですが、口に入れて噛んで舌で味わっても皆目見当がつかなかったというそれは一体何だったのか。
弾力があって、どこかなつかしい味で、何かわからないけど旨い。
何を食べているかわからないのに旨いというのは、いささか不気味だと書かれているのを読んで、思い出したことがありました。
仕事で知り合った違う会社の先輩に連れて行ってもらった、「国境の南」というテキーラバーでのことでした。
トナカイの糞、食べてみる?
と訊かれて一瞬たじろぎましたが、食べることには人一倍の情熱があり、テキーラに合う旨いつまみだと聞けば、どんなものなのか気になって素直に頷いてしまいました。
恭しく出て来たものは、プラスチックのトナカイのおもちゃ。
尻尾を指で押すと、ポトリと出てきた小さな塊。
その匂いはまさしく、一心寺から恵美須町へ下りる坂道の、天王寺動物園の横を通る時に漂ってくるアノ匂いであります。
けれど色は茶色がかった飴色で、動物の糞には見えません。
恐る恐る口にして噛んでみると、見た目ほど固くはなく、アッこれは魚だ、と思いました。
それは噂に聞いたことはあるけれど、それまで食べたことのなかった、クサヤという魚の干物でした。
クサヤ液という独特の匂いの魚醤に漬け込んだ、伊豆諸島の特産品の魚の干物です。
その匂いから好きな人は大好きだけれど、全く受けつけないという人も多いクサヤ。
家では私は前者、夫は後者なので、家で焼くことは許されないのですが、久しぶりにクサヤが食べたいなぁとあの風味を思い出した、村松先生のエッセイだったのでありました。
焼いたものの瓶詰めを、買ってこようかしらん。