中野笑理子のブログ

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トナカイの糞を食べた時のこと

2019年01月26日 | 日記
今発売中のオール讀物2月号の巻末の「おしまいのページで」は、村松友視先生の「フライの謎かけ」というエッセイでした。
お店で出されたフライの中身を食べて当てるお話ですが、口に入れて噛んで舌で味わっても皆目見当がつかなかったというそれは一体何だったのか。
弾力があって、どこかなつかしい味で、何かわからないけど旨い。
何を食べているかわからないのに旨いというのは、いささか不気味だと書かれているのを読んで、思い出したことがありました。

仕事で知り合った違う会社の先輩に連れて行ってもらった、「国境の南」というテキーラバーでのことでした。
トナカイの糞、食べてみる?
と訊かれて一瞬たじろぎましたが、食べることには人一倍の情熱があり、テキーラに合う旨いつまみだと聞けば、どんなものなのか気になって素直に頷いてしまいました。

恭しく出て来たものは、プラスチックのトナカイのおもちゃ。
尻尾を指で押すと、ポトリと出てきた小さな塊。
その匂いはまさしく、一心寺から恵美須町へ下りる坂道の、天王寺動物園の横を通る時に漂ってくるアノ匂いであります。
けれど色は茶色がかった飴色で、動物の糞には見えません。
恐る恐る口にして噛んでみると、見た目ほど固くはなく、アッこれは魚だ、と思いました。

それは噂に聞いたことはあるけれど、それまで食べたことのなかった、クサヤという魚の干物でした。
クサヤ液という独特の匂いの魚醤に漬け込んだ、伊豆諸島の特産品の魚の干物です。
その匂いから好きな人は大好きだけれど、全く受けつけないという人も多いクサヤ。

家では私は前者、夫は後者なので、家で焼くことは許されないのですが、久しぶりにクサヤが食べたいなぁとあの風味を思い出した、村松先生のエッセイだったのでありました。
焼いたものの瓶詰めを、買ってこようかしらん。

久松留守

2019年01月25日 | 日記
インフルエンザの猛威が日々報道されております。
ワクチンを打っていても型が違えば感染してしまうし、マスクをしていても防ぎきれないとは厄介です。

江戸時代、インフルエンザという名称がなかった頃、流行感冒をお染風邪と言ったそうです。
落語「愛宕山」のかわらけ投げの場面で出てくる、お染久松比翼舞いのお染さんのことであります。

婚約者のある丁稚奉公の久松と嫁入りの決まっているお染が恋仲になってしまい、仲を引き裂かれて実家へ帰った久松をお染が追って行き心中してしまうという歌舞伎「野崎参り」のお話です。

「久松留守」とは、ここにはあなたの恋しい久松さんはおりませんので入って来ないで下さいね、というお染風邪に向けてのおまじないなのです。

化学療法だ遺伝子治療だと日々医療技術が発展していてもインフルエンザの防ぎようがない現代、「久松留守」の貼り紙が案外効くのかもしれないなぁと半ば本気で思いながら、金柑と黒ニンニクを食べてビタミン剤を飲んだ夜でありました。

雀色時

2019年01月24日 | 日記
夕方、会社を出て家路に急ぐ時、空はまだ少し明るいけれど、電車に乗っている僅かな間に夜空に変わってしまいます。
夕焼けの空の色を茜色というのは知っていましたが、その後の言葉は今まで知りませんでした。
夕焼けの後、しばらくして薄暗くなった空の色を雀色といい、その夕暮れのことを雀色時というのだそうです。

雀色時なんて、なんとやさしい響きだろうか、と思いながら電車の中から外を見ていますが、電車が地下に入って再び地上に出ると空は真っ暗。
今日も雀色時を見逃してしまった、と残念な毎日です。

週末は寒くなるとのことですが、この土日は夕焼けから外に出て空を見上げて雀色時を待とうと思います。

風邪用心

2019年01月23日 | 日記
会社でも母の利用している施設でもインフルエンザの人がでて、インフルエンザでなくても風邪で休む人も多く、出社している人も皆、咳にくしゃみに頭痛など健康な人が見当たりません。

そういう私も、昨日から喉がヒリヒリしていたので眠る前にリペアショットをし、眠る時も通勤時にもマスクをして用心していたのですが、今ヒリヒリどころかハッキリ痛いです。
幸い今のところは熱も悪寒もなく、お風呂に入って温まり、咳もそれほどでていませんが、みかんを食べ金柑も買い、蜂蜜を舐めています。
インフルエンザ予防に良いと聞いたドリンクヨーグルトも飲んでと、気づくとなんだかいつもより飲食している気が。
それでも喉の痛みがこの先の悪い予感のようで、落ち着きません。
週末はさらに寒くなるというし、用心しなければ。

どうぞ皆さまも風邪にご用心下さいませ。

恵方巻きに思う

2019年01月22日 | 日記
スーパーやコンビニで、これでもかと思うほど「恵方巻き」の販促ポップが目につきます。
ニュースで食品ロスの問題が報道されていますが、コンビニ経営者の話では毎年その数は、店が発注数を決めるのではなくノルマがあるのだそうです。

そのお店では去年、家族や親類縁者、アルバイトやその家族、ご近所に頼み込み400本を売るも、今年は1割増の440本が送られてくるとのこと。
もしも今年200本しか売れずに廃棄処分になったと報告しても、調整は聞いてくれず来年また440本送られてきてノルマを達成すればしたで、次の年は更にその1割増の恵方巻きが送られてくる仕組みになっているのだそうです。

食品ロスだけでなくプラスチック問題もあり、もうやめたいと思ってもフランチャイズ経営者の立場は弱く、強制ノルマに毎年頭を悩ましておられるのでした。
その一方では貧困児童のための子ども食堂の呼びかけがあり、廃棄するなら余った恵方巻きを全国の子ども食堂に回せば良いのではと思うのですが、簡単には出来ないことなのでしょうか。

知り合いにも、かつてコンビニをフランチャイズで経営していた人がいましたが、その人は2年でやめて就職しました。
毎年の売上高増加のカラクリのしわ寄せは、こんなに酷い現場の状況にあったとは。
季節の風物詩だと思っていた恵方巻きが、とてつもなく重い食べ物のように感じてしまうのでありました。