平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

日立 HA-007の修理

2011-10-07 17:34:05 | アンプ製作と修理
 大震災の影響で日立のデバイス工場(現ルネサス)も操業停止に追い込まれましたが、僕が愛用するMOS-FETの大半は日立製です。しかし、往年の日立のアンプには異端児が多く、ナジェか東芝製のデバイスを使った製品もありました。名前はHA-007という、いかにもたこにも怪しげな名前です。



 実は、日立はデバイス工場だけではなく、DENONやSonyなどの製品を組み立てる工場もあったようです。実際、Lo-D HA-9000DとDENON PMA-780Dは中身が一緒ですし、Sony製のアンプのパーツは日立と同じものが多いのです。だから、日立のアンプの修理が出来れば、Sonyのアンプの修理も同じスキルで可能となります。

 このような日立の性格から、おそらくは東芝などの海外向け製品を請け負い、その製品の技術を自社の製品に応用したのが件のHA-007なのではないかと推測します。ビデオ入力もあるAVアンプの性格を持っていますが、パネルやツマミはいかにもローコストで、お世辞にも高級感があるとは言えません。また、回路も全段ディスクリート(トランジスタで組む回路)ではなく、前段は三洋のICで簡便に設計されています。



 修理はヒューズ抵抗を一本交換しただけで音が出たのですが、落札価格1000円とは思えない高品位な音。さすがはクリスタルガラスのようだと讃えられた、サンスイのMOS-FETアンプと同じ石ですね。僕がよく修理するソニーのアンプは、この石のモデルチェンジ版で、サンスイが気に入らなくて使わなかった石だそうです。ちなみに、この当時のサンスイの音を決めていた社長兼技術者が、小型風力発電のヴェンチャー企業(ゼファー株式会社)を設立しています。

 このアンプのICで組む回路は、『MJ無線と実験』誌に執筆している、土屋赫(あきら)氏の97年ころの作品を連想させます。あるいは、土屋氏は日立の技術者だったのでしょうか。いずれにしても外見とは裏腹に良いアンプなので、パーツを少し高級品に入れ替え、接点を磨いて修理完了、と思ったら音が出ません。三たび分解してハンダ修正。今度はちゃんと音が出ました ホルホル。

 HA-007を検索しても、海外サイトの方が多いという物悲しい位置付け→ロシア語サイト。写真のヒートシンクには、2SJ115(緑)と2SK405(黒)という東芝のMOS-FETが見えます。秋葉原ではこの石だけでペア2000円前後ですから、ステレオで4000円近くの高級品です。落札価格の千円は送料を入れても馬鹿安でしたね。ボンネットと底にガムテープが付いていたので、剥がした痕の再塗装が必要みたいです。



 というわけで、僕の作ったスピーカーを使っている読者の中で、このアンプを使いたい方はご連絡ください。普通のアンプに比べれば小型(幅370mm、奥行300mm)ですが、アイワの超小型アンプなどに比べれば大きく感じるかもしれません。音は繊細でクラシック向き。パワーは余り有りませんが、聴き疲れしないので本質的に良いアンプだと思います。なお、脚は最初からなかったので、縁取りが金色のを取り付けました。

      エフライム工房 平御幸
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