平御幸(Miyuki.Taira)の鳥瞰図

古代史において夥しい新事実を公開する平御幸(Miyuki.Taira)が、独自の視点を日常に向けたものを書いています。

パイオニアとヤマハ、MOS-FETの復活

2015-09-24 18:41:46 | アンプ製作と修理
 僕が修理するアンプの殆どは、終段のパワーデバイスがバイポーラ・トランジスタではなく、MOS-FET(電界効果トランジスタ)を使用したものです。その理由は、MOS-FETの繊細さと透明感に惚れているからです。回路がシンプルで音場感に優れるというのもありますが。

 しかし、MOS-FETはトランジスタに比べて高価で種類も少なく、コストを重視するメーカー品では絶滅に近い状態でした。DENONのアンプや、高級品メーカーとされるアキュフェーズのパワーアンプに使われる程度。しかし、ここに来てMOS-FETに戻るメーカーが増えてきました。

 2000年初頭までMOSを使ってきたパイオニアが、価格は高めですが、伝統のダイレクトエナジーMOSを復活させました→こちら。ダイレクトエナジーMOSとは、熱として消費される無駄が少ないという意味です。要するに、MOSの内部抵抗が小さいから熱にならないでスピーカーを駆動できる。DENONのUHC-MOSと考え方は似ています。

 熱が小さいから、ハイパワーでも放熱器を小さく出来るし、結果的にスペースに余裕ができる。メリットが多いですが、音は旧式の発熱の多いタイプに劣ります。また、ダイレクトエナジーMOSはアメリカ製なので、壊れた時に自分で修理できません。

 バブル時代にMOS-FETアンプの高級品(MX-2000など)を出したことのあるヤマハも、新しい回路でMOSを投入してきました。パイオニアと同じように、型番はトランジスタアンプのマイナーチェンジですが、どちらも中身は新製品です。

 ヤマハの新型MOSアンプの回路は、普通は上下(プラス・マイナス)でコンプリメンタリーを組むMOSの片方だけ使う、準コンプリメンタリーになっています。2SJと2SKの片方しか使わない。自作では金田式アンプなどが有名ですが、昔のヤマハB-1というV-FETアンプも同じでした。今でも、B-1を最高と言う人もいます。

 でも、今回のヤマハのMOSアンプは、昔の回路とは違って、自作派には上條アンプとして有名な、上條信一氏のCSPPパワーアンプに近いと思います→上條氏のサイト。CSPPパワーアンプは真空管の回路の応用で、オリジナルはソニーのV-FET 2SK60を使用したものです→こちら

 この上條アンプを、デバイスを取っ替え引っ替えして実験した人がこちら。この中で、日立のMOS-FET 2SK312を使用したものが最高と評価されています。元々は真空管ファンみたいで、真空管を超える音質に戸惑い、素直に評価できていないもどかしさも感じられます。だから真空管ファンはナルシシストだと…(;´Д`)

 2SK312を使用したCSPPアンプは、実はソニーのV-FET 2SK79を前段に使っています。この2SK79と日立のMOSの組み合わせは、僕が作らせたオールFETミニアンプと同じです。透明で繊細で切れがあって艷やか。作った人は驚いています。ただ、調整が難しいのがネック。おそらく、僕がコピーした窪田アンプは、2SK79の電流値が適切でなく、それで設計者本人の評価が低かったのだと思います。

 上條氏のCSPPアンプに近いのだから、ヤマハのA-S1100A-S2100の音は期待できます。ただ、ちょっと高いアルネ ( `ハ´)

 アンプというものは高いのが当たり前で、自分で作ってみれば高価な理由が分かると思います。中くらいのケースだけで1万円はする。メーカー品は、大量仕入れによって、自作品の半分のコストだとして、利益などを考えたら安いのです。

 だから、ローンを組んだりの無理してでも買うものであって、スマホの馬鹿高い料金を考えたら20万円のアンプでも安いもの。そのように考えないと、メーカーに金が回らないから倒産する。経済を回すという考えと神経があるなら、少し無理して新製品を買うのがベスト。僕が修理するからといって、そこを勘違いしないように。勘違いしている人が多すぎる (-_-;)

    エフライム工房 平御幸
コメント (8)
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