私的美遊空間

美しく愛しいものたちへのつぶやき

競馬学校と茶道の教え

2015年08月05日 | 茶の湯便り
ー 画像は小学館ホームページより ー

先日行われた学校茶道研修会において、競馬学校で茶道の授業を受け持たれる
原千代江(宗江)先生の、競馬学校での体験に基づく貴重なお話を伺って来ました。



この競馬学校は、今でも第一線で活躍されている武豊さんなど
著名な騎手を輩出している日本中央競馬会競馬学校(JRA)のことです。

このご講演は、先生の著書であるーなぜ競馬学校に「茶道教室」があるのかー
副題ー勝利はきれいなお辞儀からーをベースにしたものです。



まず、なぜこの学校に茶道が持ち込まれたのか?

その答えは、中学校を卒業し、わずか15歳で親元を離れ入学してくる生徒達は、全寮制の
生活の中で厳しい体重管理がされ、お菓子の持ち込みが禁止されている。だから、せめて
月のうち何回かは公に甘いお菓子を食べさせてあげたい、との学校側の親心があったとのこと。
ですので、茶道の修養をするという目的は当初なかったということでした。



それでどうなったか?

初めこそ反発していた生徒達だったけれど、徐々に先生を信頼するようになり、
今では先生に会える茶道の授業を楽しみに待っているとのこと。

授業で最も大切に考えている作法の一つが「お辞儀」
15歳で自らの将来を決めた生徒達に必要なのは、お茶の技術ではなく「お茶の心」。
その信念から礼儀作法や美しい所作を身に付けるように指導したこと。

ある時、競馬場によく足を運ぶ方が「騎手はお辞儀がきれいだ」と言われたことを
知人から聞いて、自分の指導に対する最高のお褒めの言葉と思い嬉しかったこと。



この著書が反響を呼び、今ではラジオでお話させて頂いたり、講演会で皆さんと
お会いできるようになり嬉しいと話しておられました。
また、武豊さんからは自ら帯を書かせてほしいと申し出があり嬉しかったとも。

長い間の先生のご努力が実り、所作の美しい競馬界のプリンスを生み出していることに
深く感動し、尊敬の念を抱かずにはおれませんでした。

このご講演は、後進の私たちがこれから目指すものへの道標として、今後も大いに役立ち、
また、挫けそうな時には力強く背中を押してくれるものとして心に深く留めておきたいと思います。

※詳しくは小学館出版の著書をご覧下さい。

コメント (2)
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