欠陥建築バスターズ

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池上彰さん風に『コンクリートの謎解説』No.2

2013年10月22日 08時44分49秒 | 建築のうんちく




『コンクリートは、なぜ、固まるのか?』



「コンクリート」は、なぜ、固まるのでしょうか?

「水を加えるから固まるのさ!」と、思われるでしょう。

その通りです!


では、なぜ、「水を入れると固まるのでしょうか?」




…実は、この現象は、完全にメカニズムが、解明されて居ないのです!



そもそも、コンクリートには、「セメント」に「砂利」の様な「骨材」と、

呼ばれるものを入れて、そこに、水を加えて「練る」事によって、

「石灰岩」を原料につくられた、「セメント」が水で化学反応を起こし、

「硬化」するものです。



よく、一般の方は、水で練った「コンクリート」は、添加した「水」が、

乾いて固まると、勘違いされて居られる方が、居られますが、違います。




さきほど、「コンクリート」が固まる、メカニズムが、完全にはわかって

居ないと、書かせて頂きましたが、もう少し、わかり易く補足致します。


…「コンクリート」が硬化する反応を、模式的に説明しますと、

コンクリートの成分である「セメント粒子」が、水と反応して、丁度、

お菓子の「こんぺいとう」の角が、成長する様に、「針状結晶」が出来ると

考えられています。


「セメント粒子」の中心の「核」から、「針状結晶」が伸びて、「針状

結晶」同士が、絡み合い、「固まる」と、考えられています。



「コンクリート」は、硬い、脆い材料です。

又、光も、通しません。



…ですから、「顕微鏡」を使って、反応の経過を、肉眼で確認する事が、

困難な訳です!



…しかし、この「模式的モデル」が、理論的に正しい証拠があります!




「セメント」には、「セメント水比」と言う、セメントにどれ位の「水」を

混ぜれば良いか、と言う目安があります。

その「セメント水比」を変化させる事で、先ほどの「モデル」が正しい事を

証明出来るのです。



もし、「セメント」に若干多めの水を入れたとします。



それでも、水を添加した「体積」と、固まった時の「体積」は、ほとんど

変わらないのです。


…その理由は、水を多少多めに加えても、その分、「セメント」の核から

成長する、「こんぺいとう」の角にあたる「針状結晶」が、より大きく成長

する為に、硬化後の体積に、目減りが目立たない訳です。


では、うんと水を加えたら、どうなるでしょうか?



その場合は、硬化後の体積が、目減りします!

…その理由は、水が多い分、「針状結晶」が、良く成長するのですが、

結晶の成長にも限度があり、体積が、目減りしてしまう訳です。




では、、極限まで、添加する「水」を少なくしたら、どうなるでしょうか?


…一応、理論上の必要最小限の「水」を加えても、固まります。


この場合は、「水を入れて練った直後の体積」よりも、「硬化後の体積」が、

大きくなってしまいます。



…その理由は、「針状結晶」が、成長し、「結晶」の入り込む隙間が、極め

て少ない為に、成長した「結晶」同士が、おしくらまんじゅう状態で、

盛り上がり、「体積が増加」する訳です。




建築で使う「コンクリート」は、適正な「セメント水比」で練る必要が、

あります。



さきほどの「模式的モデル」で、ご説明した通り、「水が多い」と、

「針状結晶」が良く成長しますが、この「針状結晶」の部分は、機械的

強度が低い特性を持っていますので、「弱いコンクリート」になります。



ですから、出来るだけ、「硬化後のコンクリート」が膨張しない程度に、

「少ない水」でセメントを練った方が、「硬いセメント」をつくれる事が、

お分かり頂けましたでしょうか。




…「化学」を専攻された方ならともかく、普通の方が、「コンクリート」

の「硬化メカニズム」を、理解される事は、難しいと思います。



また、「コンクリート」の善し悪しを決める「要因」は、「セメント水比」

だけでなく、「コンクリートの練り方」にも大いに左右されます。


最近では、昔の様に、職人がコンクリートを「練り回す」事がなくなり

ました。



…どちらかと言うと、「機械で、コンクリートと水を、混ぜてる」様な

イメージがあります。




「コンクリート」の硬化反応は、セメントの「針状結晶」が成長すると、

説明しましたが、「練る」事で、一旦成長した「針状結晶」が、一旦

破壊され、「コンクリート」を打ち終わった後に、再び「結晶化」が、

始まります。



この様な状態で、「硬化」した「コンクリート」は、非常に硬く、

滑らかな感じの仕上がりになります。



昔の建物の「コンクリート」は、「良く練って」ありましたから、

ヒビが入りにくく、表面も、滑らかな感じなのです。



…他にも、一杯、「コンクリート」の出来を決定する「要素」があり

ますが、今日は、このあたりで…



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