欠陥建築バスターズ

土地・建物の調査研究が専門。日本の地震や災害に備えた建築や、不動産市場や世界経済の未来鳥瞰について述べています。

電気代0円、水道代0円…ゴミで造る家『アース・シップの話』

2021年11月29日 09時51分55秒 | 建築のうんちく

アメリカの建築家、マイケル・レイノルズをご存じですか?

 

 

彼は、今世紀、最も偉大な建築家の一人です。

 

そして、アメリカ政府と戦った勇気あるファイターなのです。

 

 

マイケル・レイノルズは、ゴミとなった古タイヤ、ペットボトル、空瓶で住宅を造ることに挑みました。

 

構造部分の木材も、全て、廃材を利用しました。

まさに、ゴミから生まれた家だったのです。

 

さらに、彼のすごいところは、このゴミから生まれた家が、何のインフラなしでも、人が生活できるように考えられていることでした。

 

 

この家は、雨が降ると、雨水を溜めるように造られていました。

 

その雨水を建物内部の浄水システムによって、人が飲んでも大丈夫な水にしていました。

 

要するに、水道代は0円です。

 

 

 

また、使用した後の水は、建物内でバクテリアが分解し、汚水は発生しないので、下水道も必要ありません。

 

 

バクテリアが、汚水の有機物を分解した後の水は、建物内部の菜園で野菜を育てる水にして利用されます。

 

 

トイレの水も全て、バクテリアで分解します。

 

 

 

 

そして、電気ですが、太陽光パネルで発電し、それを建物内の蓄電池に蓄電します。

 

エアコンも、冷蔵庫も洗濯機も、使うことができます。

 

従いまして、電力会社と電気の契約をする必要はありません。

 

 

 

このような夢の家を、マイケル・レイノルズは『アース・シップ』と名付けました。

 

”地上の船” のイメージなのでしょう。

 

 

何のインフラがなくても、必要な水や電気を自ら生み出し、地球環境に負荷をかけない理想の家です。

 

 

 

しかし、こんな夢の家が増えたら、困るという人たちがいました。

 

不動産会社、建設会社、電力会社、普通の家を設計する建築士…など

 

 

 

これらの人たちの嫌がらせで、マイケル・レイノルズは、裁判を起こされました。

 

 

さらに、アメリカ政府までも、マイケル・レイノルズを敵視し、彼から、建築士免許をはく奪しました。

 

 

 

それでも、マイケル・レイノルズは、怯むことなく、アメリカ政府と戦いました。

 

これに世界中の多くの建築家がマイケル・レイノルズを支持しました。

 

 

 

そんな時、インドネシアで洪水が発生し、多くの人々が家を失いました。

 

マイケル・レイノルズは、彼を支持する建築家とインドネシアに入り、家を失った人々のために『アース・シップ』を造り続けました。

 

 

このことが、世界中の人々から評価されました。

 

地球環境に負荷をかけず、どんな貧しい国の人々でも家を持つことができる『アース・シップ』は、絶賛されました。

 

 

 

世界中が、マイケル・レイノルズを、偉大な建築家だと認めたのです。

 

すると、この現象に驚いたアメリカ政府は、彼から取り上げた建築士免許を、再び彼に与えたのです。

 

 

 

この『アース・シップ』は、将来、人類が地球以外の天体に住むことになった場合、ヒントになる建物だと思います。

 

 

建物自らが、太陽光パネルで電気を発電し、水もバクテリアを利用して、きれいな水に戻して、この水で植物を育て、この植物の光合成によって、人間が生きるのに必要な酸素を作り出す…

 

 

 

こんなSF映画のような世界が現実になろうとしています。

 

 

白い四角い家を設計したり、タワマンを設計する建築士よりも、人間本来の生き方を考えるマイケル・レイノルズの方が、はるかに、素晴らしい建築家だと思いませんか?

 

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