欠陥建築バスターズ

土地・建物の調査研究が専門。日本の地震や災害に備えた建築や、不動産市場や世界経済の未来鳥瞰について述べています。

欠陥建築(欠陥住宅)…『大手住宅メーカー代理店の事件』

2013年02月27日 17時02分48秒 | 欠陥建築(欠陥住宅)レポート




『ユーチューブにも投稿されている欠陥住宅事件』



皆さんも、ある人物が大手住宅メーカーの代理店に建ててもらった住宅が、

「欠陥住宅」だと言って、ブログやユーチューブで騒いでいる事件をご存知でしょうか?


私も、ユーチューブの画面で、問題になっている住宅の映像や、ブログで主張している

内容を検証してみました。


この事件は、あるメーカーの「ツーバイフォー工法」の住宅において、家の「耐力壁」を

構成する「構造用合板」が腐ってしまい、外壁が崩落したと言うものです。


実は、昔から「ツーバイフォー工法」の家には、この様な問題は、以前からありました!


もともと、日本古来の建築工法ではなく、比較的空気が乾燥した「欧米」で発達した建築

工法です。


…この工法は、日本古来の家のように、「柱と梁」で構成される構造ではありません。

トランプを並べてつくる「カードの城」みたいに、少し厚めの「ベニヤ板」に細い柱とい

うよりも、もう少し頼りない「角材」でフレームを付けた壁を連続して「家」にしたもの

です。


これは、「耐震性」も良く、「断熱性」も高いことから、バブルの頃を中心にはやりまし

た。


…しかし、これは早い話が、「ベニヤ板の家」です!

薄いベニヤ板は、腐りやすい「欠点」も、持っているんです。


「欧米」の様に、空気が乾燥した場所においては、長持ちするのですが、日本の様に、

梅雨時になると、湿度が80%を超える風土には無理があります。



…問題になっている家は、20年で住むことが出来ない位、ボロボロになってしまった

と主張している訳です。


私が、ユーチューブのビデオ映像から検証した結果、原因の一つは「壁体内結露」です。

そして、もう一つの原因が、窓周辺の防水が不完全な為の「雨漏り」です。


被害者は、ビデオ映像の中で、「雨漏り」が原因であると強く主張していましたが、

被害状況をよく見ると、それだけで説明出来ない箇所もありました。



…現在、被害者側では、裁判を起こしている様ですが、あまり良い結果は得られないの

ではないかと、思われます。


その理由は、被害者側の証拠資料だけでは、建築の素人である「裁判官」を説得するに

十分とは言えないからです。


また、既に建築から20年以上経って居り、住宅としての価値を「かなり減価償却」し

て居る事から、裁判所は「和解」を勧める可能性が高いと思われます。


被害者は、裁判をすれば、新しい家を建てられる位、「損害賠償金」を取れると勘違い

しているのかもしれません。


…これは、私の予想ですが、数百万円の和解金でチャンチャンになると、考えています。

被害者側では、既に家の一部解体や弁護士費用等で500万円以上の出費が出て居ると

思われます。


結局、裁判をやっても、プラスマイナスゼロ或はマイナスになる可能性が高いと言えま

す。


…私の推測ですが、「弁護士」が強く裁判を勧めたのではないかと、思います。

「欠陥住宅」は「弁護士」にとって、最もおいしいネタなんです!


…「弁護士」だけが大きな利益をあげて、「被害者」が損をする事を心配しています。

また、それだけで済めばいいですが、相手の住宅メーカーは、当然この被害者を、逆に

裁判で訴えて来ると思われます。


「企業」と言う所は、「組織防衛」の為に攻撃を受けたら、必ず反撃してきます!


「欠陥住宅」問題を「裁判」で解決しようとするのは、「最も下手クソ!」な手法なの

です。


また、「くやしい!」からと言って、ブログや動画投稿サイトに「◯◯会社の欠陥

住宅」等と言って、その会社の信用を損なう様な、一方的主張をすべきではありません。


その事自体が、「裁判官」の心証を著しく悪くするでしょう。



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欠陥建築(欠陥住宅)…『柱が光るとは? 大工用語の怪』

2013年02月26日 15時52分12秒 | 建築のうんちく




『大工用語(業界用語)は意味がわからん!』



「あの柱はよく光ってるね!」

「さすがにあの棟梁は腕がピンだね。」


…皆さんは、こんな会話を、木造建築現場でお聞きになった事はありませんか?

特に、神社やお寺を建てる「宮大工」が、こんな表現をします!


もし、貴方が、こんな会話の意味を理解できたら、もう、「建築通」です^^


…この会話の意味は…

「あの柱は、基礎石にぴったり接合していて、微動だにしないね!」

「さすがにあの大工の親分は、腕がいいね。」

…と言う意味です。


神社やお寺の基礎石は、昔は「自然石」を使う事が一般的でした。

「自然石」の表面はデコボコしていますので、柱の基礎石と接する部分を、

石のベコボコに合わせて、調整しないといけなかった訳です^^


日本の「宮大工」と言うのは、本当に一流の職人が多かったのですね。

普通の「大工」とは、くらべものにならない位の「腕」を持っていました。


…「腕」だけが一流じゃないのです!

自分たちの仕事に対する「誇り」は半端ではなかったです!


そう言えば、昔の「宮大工」が建てた建物に「欠陥建築」と言うのを、

全く聞いた事がありません。




欠陥住宅(欠陥建築)は、無くならないのですが、もしかすると、制度を

厳しくしたところで、あまり意味が、ないかもしれません。


大工や建築家が、初心に返って、自分たちの仕事に、「誇り」を持つ事

こそが、欠陥住宅を撲滅する唯一の道だと思うのです。




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欠陥建築(欠陥住宅)…『東京ラブストーリーと建築の関係』

2013年02月26日 15時23分56秒 | 建築のうんちく





『カンチ・レバーとは? 織田裕二との関連は?!』



昔、奈良の信貴山に行った時、お寺さんの横に鉄の橋がかかっていました。

そこには、立て札があって、「カンチレバー橋」と書かれて居りました。


はて? この「カンチレバー」とは? …と思い、しばらく考え込んでしまいました!


「カンチ!」と言えば、東京ラブストーリーでカンチ役だった織田裕二君を思い出し

てしまいます。

実は、織田裕二君は、私の卒業した高校の後輩であります^^


…でも、その古めかしい橋は、どう考えても東京ラブストーリーの放映よりも、ずっと

以前に造られているのは確かです。


…5分ほど思い悩んで、やっと、気が付きました!

もしかして、この「カンチレバー」は「キャンティー レバー」の事ではないのだろう

か?


…「キャンティー レバー」と言うのは、日本語で「片持ち梁」の事を意味します!

橋も建物の「梁」の一種ですので、普通は両端に加重を支える「支点」が存在します。


ところが、色々な制約から、片側にしか「支点」を設けられない事がよくあります。


私たちが腕で荷物を持つ時に、片腕を水平に伸ばして、手で荷物をつり上げた状態こそ

「キャンティー レバー」なのです。

ちょっと無理が掛かるので、設計が難しい訳です。


建築において、「キャンティー レバー」は至る所に応用されています。

特に狭い敷地に、建物を建てる場合、「駐車スペース」が問題になるケースがあります。

そんな時に、「キャンティー レバー」を取り入れた設計で、問題をクリアする事が、

可能になる場合が多いです。


よく、一階部分よりも二階の方が床面積が大きい建物がありますね。

そう言う建物は、狭小地に建つ二階建てとか三階建て住宅で、一階玄関わきに駐車する

スペースがあって、二階は一階の壁よりも外側にはみ出していて、オーバーハングに

なっていると思います。


この場合の、二階部分の床を支える部分が「片持ち梁」、つまりは「キャンティー

レバー」なのです。


…先ほど、片腕で荷物を支えるのと同じと、説明しましたが、実際に「支点」には

大きな力がかかります!


一つ設計を誤ると、建物が「崩壊」する危険性もはらんでいます。


…事実、この様な建物には、長い間に「狂い」が来る事が多いです!

そして、「欠陥」が生まれやすい構造でもあります。



結局、「東京ラブストーリー」や「織田裕二」とは何の関係もなかった訳ですが、

「キャンティー レバー」の設計における難しさを考えさせる出来事でありました。



…皆さんの大切なお家は「狂い」が来ていませんか?


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欠陥建築を生む原因…『斜面に建つ家』

2013年02月26日 10時53分53秒 | 欠陥建築(欠陥住宅)レポート





『傾斜地を造成した場所の家は、傾きやすい』



最近は、あちこち開発が進んで、「平地」に大規模な住宅地は造成しにくい状況

です。

どうしても、山の斜面を削って、「造成」し、住宅地をつくる場合が多いです。


こういう場所は、宅地が「雛壇」になっていて、居住環境が良い場所が多いです。

また、場所によっては海が見えたりして、眺望が良いのが、「売り」だったりし

ます。


…でも、ちょっと、待った!


実は山の斜面を造成してつくった「宅地」には、問題も多いんです。

山の斜面を「造成」するには、山を削り、その削った土砂で谷側を「盛り土」す

る必要があります。


こうやって造成する以外に方法はありませんから、この工事手法そのものには、

問題がありません。


しかし、この場合、造成された「宅地」は山側の地盤がかたく、谷側の地盤が、

やわらかくなる致命的な欠陥を持っています。


これは、どんなにブルトーザーやユンボで踏み固めても、完全には解決できませ

ん。


もし、この「宅地」に家を建てたらどうなるでしょうか?


答え…建てた家は、家の谷側に向かって傾いて行きます。


別荘地みたいに、山の中に建っている家にも、谷側に滑り落ちる様な感じで、

傾斜している家を多く見かけます。


先日も、神戸市内の傾斜地に建つ、ある中古住宅を調査しに行ったのですが、

そこの家も、谷側に大きく建物全体が傾斜しており、建物の山側と谷側のレベル

差(高低差)が15センチもありました。


この調査は、地元の不動産業者の依頼で行ったのですが、最終的に私が下した

結論は、「危険なので、今すぐ建物を解体してください。」と言うものでした。


結局、この危険な建物は、解体されずに、今もどこかの不動産屋で「中古住宅」

として売られています。



世の中、こんな背筋が寒くなる物件が多いです。


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欠陥建築(欠陥住宅)の現場…職人の恐るべき無知!

2013年02月25日 19時58分10秒 | 欠陥建築(欠陥住宅)レポート




『水道屋がダブルトラップ(二重トラップ)禁止を知らなかった!』



皆さんは、「排水トラップ」と言うものを、ご存知でしょうか?

これは、排水管の途中に(主にU字型)設けて、排水口から排水管の悪臭が

上がって来たり、虫やネズミの侵入を防ぐ仕掛けです。


この「排水トラップ」にはいつも水がたまる様に出来ています。


水洗便所の水がたまっている部分も、この「排水とラップ」なんです。

後は、洗面台の下についている、トランペットの管みたいに曲がりくねっ

た部分も「排水トラップ」です。


この「排水トラップ」は、同時に二つ付けてはいけない決まりがあります。


こんな事をしたら、水の流れるスピードが遅くなり、いつかは配管がつまっ

てしまいます。

しかも、一旦配管がつまったら、配管をバラバラにしないと、配管のつまり

を取る事はできません。


…まさか、プロの「水道屋」がこんな事をする訳ないと、思っていたのです

が…


先日、近所の方から相談を受けて、現場を見に行くと、まさにこの「排水

トラップ」を二つ付けた「ダブルトラップ」だったのです。


これは、この家の廊下につけた「洗面台」における欠陥ですが、この問題

の「洗面台」は家を増築した時に、付けられたものだそうです。


工事は地元の「大工」に依頼したとか…


「欠陥」は「職人」の「無知」から生ずる事も多いのです。

この様な、初歩的な工事ミスは、「増改築」した家の多くに見られます。



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