志村三泉

2015年06月05日 | 東京のお散歩
板橋区の志村地区には、中山道沿い、もしくはその周辺に
三つの有名な湧水がありました。
志村三濫泉とも呼ばれた湧水は、「薬師の泉」「見次の泉」「出井の泉」の三泉です。

「薬師の泉」は志村坂上、住所でいうと小豆沢にあって、
かつて徳川吉宗が鷹狩の際に立ち寄った大善寺境内の湧水で
吉宗によって、本尊の薬師如来が清水薬師と名付けられました。

(薬師の泉)

寺は昭和初期に隣接する総泉寺に統合され、湧水の周囲は庭園となりましたが
戦後荒廃し、平成元年に板橋区が公園として整備公開したものです。

江戸時代には、中山道を行き交う人々の喉を潤した名水だった泉は
今でも地域住民の憩いの場となっています。

(薬師の泉庭園)


「見次の泉」は、見次公園として今でも湧水による池が親しまれていて
ボート遊びもできる公園となっています。
また北側の崖からも若干の湧水がありますが、以前崖上にある国内最大級の印刷会社が
有機溶剤であるトルエンの漏出事故を起こして
湧水からもトルエンが検出されるという忌まわしい事故もありました。

(見次公園の崖と噴水。湧水は池からのものが中心)

「出井の泉」は、現在の清水町や泉町の由来にもなっている泉で
前野町と志村の間に刻まれた谷には、かつて出井川という川が流れていました。

(出井の泉の谷頭)

現在の前野公園や見次公園といった谷頭からの、いくつもの湧水からの流れを集めて
新河岸川に注いでいましたが、出井の泉はその中でも最大の源流でもありました。

(出井の泉の井戸)

(出井の泉は紫陽花の名所)

宮本町(かつて清水町の一部)の清水稲荷は、この泉に由来しています。

(清水稲荷神社)
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