BOXING観戦日記

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WBA世界クルーザー級タイトルマッチ フィラット・アルスランVSギレルモ・ジョーンズ

2008-11-04 23:09:28 | Boxing
ジョーンズ 10ラウンドTKO勝利

図体の大きさに振り回されることなく、ショートレンジからポンポン手が出るジョーンズ。
はっきり言って観ていて非常に面白かった。
Sウェルター上がりがナチュラルクルーザーよりも体格面で圧倒的に上というのも面白いし、
左右を繰り出すリズムがヒップホップになっているのも面白い。
普通は左右、あるいは下からコツコツと打撃を積み上げていくところに
インサイドからショートストレートで反撃されると嫌なものなのだが、
この選手はそれを全くと言っていいほど意に介さない。
黒人選手にありがちなメンタルのひ弱さはなく、
逆にパナマ人らしい(?)というか、自分のフィジカルをよく理解したボクシングを展開する。
そう、ちょうどアンセルモ・モレノのように。
彼も自らの足首、膝、腰、肩、肘、首の柔らかさを熟知していた。
ジョーンズも同じく、肩、腰、膝で奏でるヒップホップのリズムに
ノリノリという感じに見えた。
もちろん戦ってる最中は常に緊張感を持ってはいるのだが、
リズムから生まれる”ノリ”はそれとは別次元にある。
筋肉は収縮と弛緩により機能するが、呼吸を一定に保つことでその疲労を回避することができる。
さらに、身体的にノッた状態を作り出すことにより、メンタルもノッた状態に持っていくことができる。
精神的にノッてくると肉体的にもノッてくると思われがちだが、実はその逆も多い。
これは最近の自閉症や発達障害の子供たちの研究で判明してきていることだが、
こういった子供たちの教育には知育よりも体育の方が効果的なようだ。
ボクシングは手を出すこと、パンチを避けることでリズムが生まれると言うが、
単なる格言ではなく、実は医学的・科学的根拠があったわけだ。

敗れたアルスランだが、良いところが見つけにくかった。
というよりジョーンズにかき消されたという印象。
あれだけフックとアッパーを叩き込まれれば、出血は当然。
ガードの置き所に間違いはなく、自身のパンチングレンジの測定も問題なし。
では何故打たれるのか、あるいは打ち返せないのか。
その理由は「打たれずに(≠打たせずに)打つ」という
ドイツをホームにするボクサーのポリシー所以だ。
コットがマルガリートに攻略を許した要因の一つがアッパーカットだったが、
これはアルスランにも当てはまった。
遅咲きの王者だったが、ちょっと休養すれば闘い続けられるはず。
グレンコフ・ジョンソンみたいなポジションのベテランとしてまだまだ続けてほしい。

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