BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA・WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ

2013-04-14 13:22:30 | Boxing
WBA王者 ギジェルモ・リゴンドー VS WBO王者 ノニト・ドネア

リゴンドー 3-0判定勝利

考察 ~リゴンドー~

第一の勝因は戦略。
その中でも直接かつ最初に掴んだ流れは初回、
いきなりカポーンと当てた左ストレート。
ドネアのゲームプランを全て吹っ飛ばした軽打だった。

カウンターに特化した精密機械というか、
少なくともリング内では人間らしい温かみや、逆に冷酷さなども感じられず、
かといって淡々としているわけでもなく、
与えられたコマンドを忠実に実行しようとするプログラム的なものを感じた。

瞬間のスピードや当て勘もそうだが、
それ以上にナックルで捉える技術でドネアを明らかに上回っており、
結果以上にそこに度肝を抜かれた。

C・ミハレスと同じく、前腕が明らかに長く、
肘を軸にしたパンチ(ジャブと巻き込むフック)に長けている。
間断なく突くぞ突くぞと見せかけるだけのジャブのフェイントではなく、
やりにくさを脳裏に刻み込むフェイントとジャブ。

フットワーク、体捌き、静・動の切り替わり、メンタルコントロール。
全てが一級品だったと思う。


考察 ~ドネア~

初回のfeeling outの段階で、先に相手に精神的な主導権を握らせた。
それが結果的には最後まで響いた形。

試合直後に連発していた"I got stupid! I got stupid!"は
心の叫び、魂の叫びそのものだろう。
左をもらって眼窩底骨折(?)を食らったことよりも、
初回の時点でnervousになってしまったことを悔やんでいた。

左フックが機能しなかったというよりは、
それ以前の右のリードが封じられていた。
左右のジャブの差し合いでドネアが完全に譲る場面を脳内で描けず、
予想も大外れ。

テクニカルな試合になるとは思っていたが、
どちらかというとゲームプラン面で修正と調整が必要な展開だった。

相当に綿密なプランを練り上げない限り、
リマッチなっても結果は同じ。
恐れ入りやのCuban Marvel。

WBA・WBOスーパーバンタム級タイトルマッチ予想

2013-04-14 02:59:43 | Boxing
WBA王者 ギジェルモ・リゴンドー VS WBO王者 ノニト・ドネア

ドネア 中盤KO勝利を予想

直感8割、根拠2割。
根拠とは、ドネアが左殺しだということ。

ただ、ドネアのresumeの中にリゴンドーレベルの左はいなかった。
西岡はタイプが違う。
ナルバエスも毛色が異なる。

もうひとつドネア有利の根拠として挙げるならば体格の違い。
海外ニュースサイトで写真を見たときは、
SフライとSバンタムくらいの差に一瞬見えてしまった。

息詰まる技術戦に終止符を打つのは、ほんの一瞬の綾。
そこにきらめくは【フィリピンの閃光】だ。


WBC世界バンタム級タイトルマッチ

2013-04-09 01:44:10 | Boxing
王者 山中慎介 VS 挑戦者 マルコム・ツニャカオ

山中 12ラウンドKO勝利

考察 ~山中~

『神の左』は完全にhype=誇大広告だ。
なんでもかんでも派手なネーミングで売り出せばいいもんでもない。
西岡引退後の日本のボクシングシーンを牽引せねばならない一人として、
『モンスターレフト』ならぬ『日本一の左』ぐらいでいいのでは?
または『ワイルドレフト』とか『クラッシャーレフト』とか。

その左は相変わらず硬質で、一撃でダメージを与える力が発散されている。
ただし、あまりに左の威力に頼りたがるためか、
チャンスでじーっと相手を見つめてしまう悪癖(と敢えて呼ぼう)が付いている。

徳山ではないが、常に必要なパンチはジャブ。
チャンスの時こそジャブ。
丁寧に、意図を込めたジャブを間断なく打ち続けれられれば、
3ラウンドまたは9ラウンドに試合は終わっていた。

ディフェンスはブロック主体で堅く、足さばきと体捌きで
打ち易さと打たれにくさを両立させるポジショニングを取ろうとしているが、
不用意な被弾が目立った。
おそらく防御技術がどれも高域にあるために、一貫性が無いのだろう。
興毅までとは言わないが、ブロック主体で行くなら、
それをぶれない軸にすべきだ。
今のままでは、どこかで一発を食って沈んでしまう可能性が否定できない。

WBAと統一戦?
亀田三男相手に防衛戦?
どちらも不要、というか試合自体決してまとまらないよ。
断言する。


考察 ~ツニャカオ~

セレスが「爆発力はなくなったが技術が格段に付いた」と評していた通り。
しかし、ダウン後、そして流血後とエンジンは全開だった。
大場や本田など、かつての日本トップ勢を破ってきた実績や
長谷川のスパーメイトであることなど、山中の左を警戒することはあっても、
恐れていたようには見えない。

しかし、最初のダウンは左の踏み込みに左を合わされた。
王者はワン・ツーを得意とするが故に、ワン・ツーにカウンターを合わせてくる。

それを見抜いてからは左の返しの右を上下に散らし、
とくにスマッシュ気味の軌道で飛んでくるパンチは、
ボディとブロックの上を叩いていたものの、見栄えは良かった。
また視界の外から巻いてくるいきなりの右のフックもダメージングソース。
王者のタフネスに譲ったが、威力は秘めていた。

フィリピーノボクサーには印象に残るジャバーはいないが、
日本で10年やっていると毛色も変わってくる。
それでも体のflexibilityは素晴らしく、
この体の柔らかさがあれば、俺も小中学校の体操でもうちょい良い選手だった、
とあらぬ感慨に耽ってしまった。

最終ラウンドのダウンとストップに胸に去来したものは家族の顔か。
もう3試合は戦えるよ。


PS.

WOWOW実況・解説陣と日テレの実況・解説なら日テレの方が
帝拳べったり度は低いのか。
まあ、そりゃそうだ。
前日の同階級のタイトルマッチと比べてAction-Packedな試合だったことよ。
飯田とセレスのコンビはまた聞きたいね。

WBA世界バンタム級タイトルマッチ

2013-04-07 20:50:24 | Boxing
王者 亀田興毅 VS 挑戦者 パノムルンレック・カイヤンハーダオジム

亀田 2-1判定で勝利

考察 ~亀田~

私的採点では115-114で挑戦者。
8Rまでは奇数Rを興毅、偶数ラウンドをパノムとし、
9Rはパ、10は亀、11はパ、12はドロー採点。

相変わらずラウンド序盤だけに出るジャブ。
脚と同時に前に出る頭(B・ホプキンスほどではないが)。
真っ直ぐ後ろに退くフットワーク。
トレーナーをどれだけ変えても、
親父に叩き込まれた悪癖は抜ける気配がない。
というか、今も親父に指導を受けてるのでは?

褒められる部分は少ないが、2Rのアッパー合戦を譲らなかったのは見事。
今までで一番まともな試合だった。
実況がね。
相手のパンチにちゃんと言及していた。


考察 ~パノムルンレック~

序盤早々にKOの期待を抱かせ、中盤まで持続したが、
結局、終盤に押しきれなかった。
8~9Rの勢いを持ち込めれば、敵地で僅差判定を手にできたはず。
どうしても久高の右がスパーンと決まった印象しかないが、
実況・解説はそこにもちゃんと触れないと。

タイプ的にはトータルに完成されたポンサクレックではなく、
ボディに弱点を持つテーパリットという感じ。
実際にボディを効かされた場面が3度あった。

右ジャブはポンポン出せたが、王者のスピードに完全に譲ったため、
左のストレートにはまったくつながらなかった。
さらにロープ際での攻めも稚拙。
有無を言わせぬ連打で息の根を止めるチャンスは複数あったが、
どれひとつ活かせなかった。
J・アルセの映像を観て研究すべし。

大毅の世界前哨戦にふさわしかったのはこの男。
対戦が実現すれば、壮絶な打ち合いの末のKO決着が見られそうだ。