BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

フェザー級8回戦

2011-10-30 16:48:27 | Boxing
ホルヘ・ディアス VS ラファエル・ローラ

ディアス 3ラウンドTKO勝利

考察 ~ディアス~

明確な反則パンチを打っていく姿勢は、流れとか荒々しさのせいではなく、
意図的なものに思えてならない。
女性レフェリーだからとか、再起戦だからとかはお構いなしに
ファウルを犯すタイプと見る。
自身のリーチの短さとジャブへの意識の低さが
ミドルからクロスレンジでのselfishな戦い方に直結しており、
それが反則上等のファイトにつながっている。
世界の top contention 復帰後は、やはり勝ち星を伸ばせなくなる。


考察 ~ローラ~

これはルイス・サンタナを狙ったのか?
それともフランシスコ・ロレンゾと言うべきか。
反則打を浴びてしまったことは同情するしかないが、
不用意に相手に背を向けてはならない。
たとえば故E・バレロはラビットパンチを浴びる雰囲気があれば
必ず後頭部をガードしたし、同様のムーブは他にいくらでも見られる。
倒れる前から気圧されていたのだろうが、
ギブアップするのならせめて立ち上がってコーナーに目線を送るべき。
ボクサーとして最低限の矜持は示して欲しかった。

WBC米大陸Sフライ級王座決定戦

2011-10-30 16:47:52 | Boxing
カルロス・クアドラス VS ジョニー・ガルシア

クアドラス 2ラウンドKO勝利

考察 ~クアドラス~

過去の試合の感想でカウンターパンチに沈む予感ありと書いた頃と
印象はそんなに変わらない。
とにかく荒い、そして粗い。
リードないしはフェイントによらない攻撃姿勢は若さの特権ともいえるが、
若くして老獪なボクサーが増えている現状では、今後苦労しそうである。
確かアマチュア時代の亀田和毅のライバルだったか?
階級も近いし、無敗対決が近い将来あるか?
相手に正確にボクシングされると苦しいかもしれない。


考察 ~ガルシア~

世界ランカー対決というほどの緊迫感はなく、
互いが互いを格下と見下した立ち上がりは、ガルシアのものだった。
あの左のカウンターパンチは狙ったものというよりは
衝突した感じで、その証拠に2発目は決してヒットしなかった。
名城の世界戦が決まっているが、
こういうレベルの相手との査定マッチをクリアしてくれないと
勝利予想をするのはどうしても難しくなる。

WBA世界ミニマム級タイトルマッチ

2011-10-26 00:05:40 | Boxing
王者 ポンサワン・ポープラムック VS 挑戦者 八重樫東

八重樫 10ラウンドTKO勝利

考察 ~ポンサワン~

ニエテス、オーレイドン、ソーサと黒星を誇ってもいい戦績だ。
そしてTV東京の奉ったターミネーターという二つ名。
タイ人ボクサーというのは往々にしてメチャクチャ強いか、
それともさっぱり弱いかの二極化の傾向が、特に来日タイボクサーに見られる。
ポンサワンは条件付き後者。
八重樫に「逃げ回らないで欲しい」と注文をつけていたのは、つまりそういうこと。

スピードの無さ、そして反応の遅さに固有のものがあり、
high guard のまま前進しながら面白いようにフック、アッパーを浴びた。
特筆すべきはアゴの強さで、並みの打たれ強さの選手なら3回は倒れていただろう。
浴びるべきパンチを当然のように浴びてしまうそのディフェンスはしかし、
打たれ強さへの自身の裏返しでもあり、今回は自信が過信になってしまった。
オフェンス面で特に目に付くパンチはなかったものの、
気になったのは八重樫の顔の腫れと発赤。
イーグル戦ではより多くのクリーンヒットを食っていたが、
アゴ以外の損傷は目立たなかった。
より分かりやすい例を挙げるならば、パッキャオ戦後とモズリー戦後の
マルガリートの顔面の違い。
両者のパンチの質の違いがよく顕れていた。
ただしこれは長所短所ではなく、あくまで特徴と捉えるべきだろう。
一発の威力やキレがあるのは魅力だが、それらがないことは必ずしもマイナスではない。

しかしこの王者はプラスとマイナスの並存が著しく、
勝つにせよ敗れるにせよ、激闘とならざるを得ないのだろう。
最後のブロッキングに反撃の意志が感じられず、
最高のタイミングでのストップをチャンピオン自身が呼び込んだことで
2011年の日本の年間最高試合に決定したと言ってもいいだろう。


考察 ~八重樫~

イーグル戦の悪夢は払拭されていたようだ。
元々スピードは群を抜いていただけに、
そのスピードに酔いしれなければ
スキルフル、テクニカルな面を前面に押し出すことができる。
スキルフルとはパンチを当てること、パンチをもらわないを一義とし、
テクニカルとはそれを支える細かい技術を指す。
左のジャブ、フック、アッパーが効果的に当たったのも
スピードをテクニックに結びつけたから。
それができなければただの速いボクサー止まりとなる。
精神的な成長を感じさせる場面が6ラウンド以降は随所に現れた。
特に疲労とダメージから足を止めて打ち合いに応じざるを得ない場面は
観る者の背筋を凍りつかせる恐怖感をもたらしたが、
意地を捨て、ジャブの弾幕を張りながら後退する様は
初代ターミネーターに対峙したカイル・リースのヒット&アウェイならぬアウェイ&ヒット。
それにしても見事に『致命的な欠点』を突けたもの。
相手の特徴や癖に乗じるのは、相手のリズムやペースにハマる陥穽と裏表だ。
八重樫がこれだけの経験を手に入れたのは大きい。

大橋ジムの世界戦線戦略は防衛を勘定に入れない挑戦ありきの姿勢は
はっきり言って評価できなかったが、
次戦のオプションは?
タイで再戦は正直厳しい。
興行権買取の資金をテレ東やその他スポンサーでどれだけバックアップできるのか。
魅力的なカードの実現を保証すればいい。
すなわち世代を超えた大橋-井岡の実現。
井岡VS八重樫だ。
坂田-内藤が実現させなかった日本ボクシング界も、
そろそろ本気でベルトの権威というものを考えてみてもいい。

WBC世界ライト級王座決定戦

2011-10-18 00:48:12 | Boxing
ホルヘ・リナレス VS アントニオ・デマルコ

デマルコ 11ラウンドTKO勝利

考察 ~デマルコ~

アルファロ戦は参考にならず、我々の持っているイメージとしては
やはりE・バレロ戦のそれとなる。
タフネスと体型の利を活かしたボクシングに見るべき点は多かったものの、
相手の迫力に呑まれまいと正対して見すぎてしまい、
結果として beating を味わったあの試合の印象から、
この試合でもリナレスのスピードに見入ってしまうと考えられ、
実際に見入ってはいた。
が、プレッシャーという点ではさほどでもなく、
またダメージングブローも2発にとどまった。
これは持ち合わせたアゴの強さ、ディフェンス力、勘に加え、経験の要素も大きいと思う。
ボクシング漫画なんかだと「殺されるかもしれない」という恐怖感が描かれ、
その試合の結果如何で(フィジカルメンタル両面もしくは片面で)壊れるものもいれば、
一回り大きく成長するものもいる。
デマルコにおけるバレロ戦はどうやら後者として機能したらしく、
たたき上げの苦労人メキシカンのイメージを補強するとともに、
人を追い詰めやすい日本社会という環境への偏見をも管理人の中で助長した。


考察 ~リナレス~

長谷川のイメージがオーバーラップしたファンは多いと思う。
スタイルにおいてもそうだが、キャリアの進行とその先の試練という面においても、だ。

あれこれ書く気分になれないけれど、
育成過程のどこかでミステイクがあったのかもしれない。
E・バレロが帝拳で健在な頃、リナレスとのスパーは禁じられていたと聞くし、
この試合前のキャンプでのパッキャオとのスパーリングでも
一方的にボコられたという報道もあった。
バレロとガチスパ経験があれば……
パッキャオではなく無難なサウスポーとスパーしていれば……
たらればが尽きない。

効いた相手をどう仕留めるのかというのは重大なテーマ。
しかし、効かされた時にどう動くのかは巨大なテーマだ。
本能的にそれを知っている天才型(メイウェザーetc)もいれば
叩き上げのキャリアの中で身につける者たち(メキシカンに多い)もいる。
この試合のリナレスは5ラウンド終わり頃にもらった1発が試合の流れを変え、
6ラウンド中盤以降の打ち合いでそれを決定的にされたように思う。
手を出さない時には足を動かし、足を動かさない時は頭を動かし、
頭を動かしていない時には手を出すというリズムがそこから崩れたからだ。

天才とか黄金少年という枕詞を除こうではないか。
己が血の味と敗北の苦味を知った若者がそこにいるだけのことなのだ。
リング上の結果が真実だ。
それ以外のものは虚飾だったのだ。

WBC世界Lヘビー級タイトルマッチ

2011-10-17 23:16:56 | Boxing
王者 バーナード・ホプキンス VS 挑戦者 チャド・ドーソン

ドーソン 2ラウンドTKO勝利

考察 ~ドーソン~

おそらくファーストコンタクトで勝敗の予感を得たのでは?
ホプキンス対策を行うこと数年、右ストレート→ヘッドバットの
コンビネーションは充分シミュレーションを行なってきたはずだ。
しかし、自身のメンタル面のコントロールまでは度外視していたのか。
もしくは減点1なら蛙の面になんとやらの心持ちだったか。
ロングとクロース、どちらのレンジでも支配的だっただけに、
続きが見たかったし、リマッチの必要性も感じる。
ただ本人にその気はなさそう。
気になるのはMayweatherも使ったあのフレーズ、
"He started it!" = 『アイツが先にやってきやがった!』
リングで相対した者にしか分からないダーティさがあるのだろう。
あの英国紳士カルザゲも試合後のインタビューでホプキンスをこき下ろしていた。


考察 ~ホプキンス~

実はこの試合、とある現役医療従事者と観戦していて、
その人は管理人が気付かなかったホプキンスの肩の異状を一目で見抜いていた。
(具体的には肩の形状、表情、微妙な動きの総合判断らしいが)
筋力が衰えてくると、転倒時に手や肘をついた際に手首、もしくは上腕を骨折しやすいが、
これは高齢者の話。
ホプキンスはボクサーとしては高齢だが、一般社会では中年もしくは壮年。
後方転倒による肩の脱臼は、負傷としてはもっともありうるものかもしれない。
実際に医師の診断書も脱臼として出たらしい。

技術、戦術云々以前に、あまりにも過去の演技がすぎたために、
オオカミ少年の陥穽にはまってしまったようだ。
ただし、レフェリングにも疑問が残る。
取るべき(だった)手段として考えられるのは
①シューズの裏面以外のキャンバスへの接触ということでノックダウン
→カウントを取る
②スリップダウン扱いにする
→試合再開&続行
③レスリング行為によるダウンのためドーソンに注意
→コミッションドクターによる簡易診断の上で続行可否を判断
などなどがある(もっと候補があるかもしれない)。

最近のUSリングでは不可解なレフェリングが多過ぎる。
コルテスのよそ見、女性レフのアンタイムリーなストップ、
スリップの見逃し、ローブローの見逃し、そしてこの試合。
アメリカでは野球のアンパイアを指して≪必要悪≫と呼ぶらしいが、
ボクシングのレフェリーは何と呼ばれるべきなのだろうか。

PS.
すごくどうでもいいことなのだが、
同時通訳の人には「お疲れ様です」と同時に「もう少し精進を」と伝えたい。
インタビュアーとボクサーの間を一人称「私」で行ったり来たりしていたが、
ボクサーの言葉には意識的に「俺」を当ててはいかがか。
どうしても省略やラグが生じる同時通訳なのだから、
話者が誰なのかをはっきりさせるだけでも、ずいぶんと分かりやすくなる。
デラ・メイ戦の頃より(ボクシング通訳に関して)格段に進歩しているので
もう一つ上のレベルに登っていただきたい。
有料チャンネルには優良サービスを期待するのが視聴者というものだ。

IBF世界バンタム級タイトルマッチ

2011-10-16 19:30:33 | Boxing
王者 ジョセフ・アグベコ VS 挑戦者 アブネル・マレス

マレス 判定勝利

考察 ~マレス~

バッティングにローブロー、キドニーブローと反則の総合商社と呼びたくなるな。
大手プロモーターの有力な若手が黒人ベテランボクサーに不可解な勝利とか誰が見たがるのかねえ。

一発のパンチ力ではアグベコに格段に劣り、連打力ではタメを張っても、
リズム感ではやはり一枚落ちた。
7~8ラウンドにかけて突如精神的に失速したように映ったのは
フィジカル面での力の違いを感じ取ってしまったからに見えたが、さて。
帰るべきコーナーも何回か間違えたのはダメージで頭がボワーっとしていたからだろう。
最終回以前にも細かいローブローを放っており、どこまで事故でどこまで故意なのか。
それは誰にも分からない。
おそらく本人にも分からないのではないか。
なればこそ、第三者が厳格に適正に裁く必要があるのだが、
最近どうも各方面でレフェリーのパフォーマンスに陰りが見えるような気がする。

ボクサータイプに強く、ファイターにあまり強くないボクサーファイターだ。
以前はこれとは逆の印象だった。
元々のスタイルが完成されているので、自身の調子の出来、相手の力量・スタイルが
そのまま評価に直結するだろう。
具体的な穴を複数見せた瞬間にトップ戦線からは脱落しそうだ。
そしてリマッチでは完敗を喫すると予想する。

考察 ~アグベコ~

黒光りする肉体に逆三角形の上半身、ほっそりとした脚、平均より明らかに長い前腕。
ボクサーになるべくして生まれたと言うべきか。
初回、最終回とある意味理不尽なダウン裁定。
注目すべきは初回のダウンだ。
オーソドックスが左フックを放つ際には単発のそれとワンツースリーのスリーに大別される。
日本のボクサーには概してスリーがなく、単発の左フックは肘をあまり曲げないスイングとなる。
川嶋勝重のスイング後、沈み込むようなフォームの左フックを思い浮かべていただければ解りやすい。
ボディメカニクスではなく、根性で放つパンチと言うべきか。
対照的にアグベコのあの左フックは、足首、膝、腰、肩、肘を体幹の軸に沿って伝わったパワーが
左フックの回転終端まで乗り切ったその運動エネルギーが対象に空振りしたことによるバランスの崩れ、
それがすなわち転倒につながった。
運動美という言葉があれば、是非使ってみたいようなシーンだった。
美はそれだけにとどまらず、マニアの中のマニアなら
後半になるほど肩口からスッとまっすぐ伸びる左ジャブに徳山のシルエットを見た人もいるかもしれない。
とにかく見ていて決して飽きないタイプのボクサーだ。

ペレス戦でも眼にパンチが入ったか何かでしゃがみこんでしまったけれども、
なにか根本的にメンタルのひ弱さがあるのだろうか。
いつも黒人選手はメンタルが弱いと言っているが、
これはイコール、黒人選手のフィジカルは素晴らしいの裏返しなのである。

Sバンタム級10回戦

2011-10-16 19:20:41 | Boxing
フェルナンド・モンティエル VS アルバロ・ペレス

モンティエル 3ラウンドKO勝利

考察 ~モンティエル~

長谷川戦を思わせる一瞬の左の交錯。
科学者のように戦うというコメントをその前に発していたが、
こういう試合を見せられるとリングIQの高さに改めて嘆息させられる。
メキシカン全般に言えることだが、敗北後のメンタル面のダメージが少ないことを
我々は往々にして「潔くない」と断じてしまいがちだ。
しかし、日墨の立ち直りを比較するに、
単なる民族的な精神構造の違い云々以前に
日本人があまりにも自分を追い詰めすぎているのではなかろうかとも思える。


考察 ~ペレス~

ニカラグア人というのはロマゴンやマヨルガのような柔軟さと硬質さが両居する民族なのだろうか。
両足のスタンスは広く、パンチを打ちながらでも左右に動け、
動きながらのパンチにも固さが感じられる。
長谷川戦では呼び込まれるままに打ちに行って衝突したが、
モンティエルには攻防のつなぎ目を瞬間的に狙われた。
ボクシングに三段論法は通用しないが、
A・ペレスを通じて長谷川とモンティエルの現時点の実際の力関係を見た気がする。

WBA世界Lフライ級タイトルマッチ

2011-10-10 21:44:20 | Boxing
王者 ローマン・ゴンサレス VS 挑戦者 オマール・ソト

ゴンサレス 2ラウンドKO勝利

考察 ~ゴンサレス~

メイウェザーやパッキャオとは異なる意味での宇宙人っぷりを感じさせる。
ラッシュ時に見せる異様なまでのヒット率の高さは何なのだ?
肘の屈曲自由自在、肩の回転も自由自在。
そういう選手ならラテン系には多かろうが、
動く的を捉える力というか、瞬間的に相手の顔面がどこにあるのかを察知しているのか。
ハヤブサさながらの動体視力の為せる技なのだろうか。

階級に比して大きく見えるのは、それだけ均整のとれた肉体をしているからだ。
Sフライ級ぐらいまでは違和感なく上がりそうな予感がする。


考察 ~ソト~

E・ソーサのワン・ツーで吹っ飛ばされた印象しかなく、
日本の観客、視聴者の大部分も同じだと推測する。
キャリアの無い選手ではないが、
この王者と相対したとき、打つスペースが見当たらず、
また打たれるに際して防御できなかった。
この選手の瞬間的な反射や動体視力を標準的なボクサーと仮定すると、
王者のそれらは野生の動物的なものがある。
蛇に見込まれた蛙のような状態だったとしか言いようがない。

ウェルター級10回戦

2011-10-03 22:54:35 | Boxing
亀海喜寛 VS ヘクター・ムニョス

亀海 6ラウンドTKO勝ち

考察 ~亀海~

対戦相手の突然の変更にはがっかりした。
亀海の罪ではないのだが……
ディフェンスに一家言あるそのスタイルは確かにハイレベルだが、
それは結果よりもスタイルのバリエーションそのものにあると言うべきか。
L字で敢えて相手の攻め手を受けた上で封じ込めようという意図は
日本東洋レベルでは、それこそ赤子の手をねじるがごとく(は大袈裟か)
打たせながら打たれずに勝ってきたが、
カウンターというよりも打ち終わりを狙うオフェンスは
ともすれば後手を引いているようにも見える。
減量苦からの階級アップは歓迎すべき決断だが、
ウェルター級での世界戦線に食い込むためには
力の差を見せたいみたいな妙なこだわりを捨てられれば
成長が加速しそうだ。
しかし、こだわりの無いボクサーというのも魅力に欠けてしまう。


考察 ~ムニョス~

late sub ということで準備不足ありあり。
多分もう観ることはないのだろうな。

WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ

2011-10-02 15:46:28 | Boxing
王者 西岡利晃 VS 挑戦者 ラファエル・マルケス

西岡 判定勝利

考察 ~西岡~

初回は両者も観客もfeeling out time。
インタビューでも語っていたようにジャブの伸びには面食らった。
ただし裏返せば、王者の左に最大限の敬意を払っていることの証明。
なればclean effective punchを競うのみ。
脚を使うという予想は反時計回りの意だったが、
時計回りを基軸にスポットごとに左フックと左ストレートのバリエーションを
当てられたことが大きかった。
また防御については冴えを見せたというよりも
予想外の相手の攻撃オプションが自身の特性にある程度ハマったという
嬉しい誤算(?)というかツキもあった。
ジャブに対してはフットワーク主体で距離を作り、
ストレート系のパンチに対してはスリップ、パリー、
左の打ち込み後の相手の返しの左フックはダッキングで尽く空を切らせた。
そして相手の消耗に合わせて左が当たり、それが小さな右の返しにつながる好循環。
最高の誕生日プレゼントを貰った気分だ。

今後の予定としてアルセ、ドネア大歓迎。
R・ラモスとの統一戦で下田のリベンジ?
またまたセニョール本田、ご冗談を。
ところで次戦で引退ってマジですか?


考察 ~マルケス~

豪快に倒すか豪快に散るかの二択かと思い込んでいたが、
陣営の選んだ戦略は、早い段階で微差を奪って守り抜くこと。
そしてリーチ差と柔軟性を活かした左ジャブによって最初の3ラウンドは
ポイント奪取に成功したものの、それによりスキル、スタミナを争う展開となった。
結果として取れたラウンドは1、2、5、6、12(管理人採点)となった。
現地の公式採点は fair and firm なものと評価したい。

ジャブによる牽制に主眼を置いたプランは正直予想外だったが、
決定的な一発だけはもらうまいというdeterminationは本物だった。
ジョニゴンを吹っ飛ばした左の一撃の秘訣が右足の2段階の踏み込みにあることを
事前に研究済みで、足踏みのいくつかは故意だろう。
互いに右と左の溜め合いで、リアルタイム観戦中には心拍上がりっぱなしだったが、
見返してみるとラファエルの主導権はラウンド開始直後がほとんど。
挑戦者の目に見える形のプレッシャーは、王者の目に見えないプレッシャーに
飲み込まれた形になってしまった。
単発の威力は挑戦者の方があるかなと感じていたが、実際は互角か、やや落ちるか。
全盛期なら……という声もあちらでは聞こえてくるが、
それこそ Styles make fights. で冒頭述べたような、
倒すか倒されるかのエキサイティングな試合になっただろう。
ただこの日は力がどうこうではなく、技術、駆け引き、メンタルで敗れた。