BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界バンタム級タイトルマッチ

2012-04-04 23:06:01 | Boxing
王者 亀田興毅 VS 挑戦者 ノルディー・マナカネ

興毅 判定勝利?

考察 ~亀田~

取ったラウンドとしては2、3、5、7、8、12と見たが……
ジャッジのスコアはある意味で予定調和。
次戦はアルセ?それともH・ルイス?
そんなものは実現しない。
バンタムは体に馴染まないという文句のつけようのない返上理由ができたし、
この試合を観る限り、そのことに異議申し立てを行いうるファン・関係者もいない。
これで興毅はバンタム返上を決意しただろう。

それにしてもこれはボクシングに密接不可分のホームタウンディシジョンなのか、
それとも亀田兄弟の試合で頻発する疑惑の判定なのか。
神ならぬ身の私には分からない。

技術、戦術レベルで語るべきポイントに乏しいことも寂しいが、
それ以上に終了ゴング直後のガッツポーズと安堵の表情に
もはや一掬の男泣きを禁じ得ない。
興毅のこういうアクションは、対戦相手とは違うなにかと戦っているように映る。
当ブログでは亀田興毅の試合面だけに極力注目し、
その器用さ(≠技術)も高く評価してきたが、
そろそろ興毅については見限ってもいいかもしれない。
どう考えてもフィリピンやメキシコの関係者に鍛えられているとは思えない。
あの親父が横から要らぬ嘴を入れていることは容易に想像できるが、
興毅自身もそのアドバイスが耳に心地よいのだろうか。
かつて我が父は「あの親父は興毅らの反抗期を潰した」と喝破したが、
男は反抗期を経ないと精神的なpatricideを達成できないのかもしれない。
心理学に詳しいブログ訪問者がいれば、反抗期とその後の心理的発達について
ぜひご教授をお願いしたいところだ。

当ブログは年間最低試合のノミネートはしていないが、
これは4月にして2012年最低試合に決定した。
(年末に受賞はさせない方向で考えてはいるが……)


考察 ~マナカネ~

おいおい、大学生相手にダウンを喫した負け役ではなかったのかい?
ジャッジのスコアで大差はついたが、世界王者を追い詰める実力の
持ち主であることは日本のファンが知った(褒めているわけではない)。
風貌やファイトスタイル、試合の拮抗ぶり(褒めてない)から
ファンマ・ロペス VS ロジャース・ムタガを連想した。

初回の大振り右フックの直撃に味をしめたか、
恐ろしいほど単調に右フックを振り回す序盤。
王者が余りにも慎重な立ち上がりを見せるところから
右のパンチだけはメガトン級なのかとも推測したが、
それなら初回のあの一発で打たれ弱い王者をノックアウトしているはず。

結論としてパンチは無いが、積極性があり、手数も豊富で、
王者が1発打つたびに3発を放っていた。
このaggressivenessとring generalshipは間違いなく「買い」だ(褒めてる)。
実際のpunch statsはとても映像を見返す気分になれないので、
感覚的に測るしかないが、昨今の世界戦のジャッジ基準で考えるならば、
何よりも手数が優先されている。
これは互いに有効打がある場合も無い場合も、だ。
また感覚的に90%の局面で挑戦者が先にパンチをガードの上とはいえ当てており、
ジャッジへのアピール度でも圧勝していた。
してみると挑戦者の僅差勝ちが妥当とも思えるが、
近年よくある疑惑の判定で片付けられるかもね。
再戦は別に不要だろう。
やるとするならインドネシアで開催すべきだ。
ムタガと同じく、この選手も次の試合を世界ランカーと戦えば
あっさり負けるものと予想される。
その理由はこんなブログを読む皆さんなら、
試合を見てきたままに分かるはず。

WBA世界Sフライ級王座統一戦

2012-04-04 22:31:10 | Boxing
休養王者 清水智信 VS 正規王者 テーパリット・ゴーキャットジム

テーパリット 9ラウンドTKO勝利

考察 ~テーパリット~

初回から自信に満ち溢れており、その内面はスタイルにも如実に顕れていた。
清水のジャブに対してガードを置くことは一切せず、
ウィービングもしくはスリッピングから左フックのカウンターを狙っていくのは
亀田大毅戦では見せなかった一面で、額と額を擦り合わせての打ち合いだけでなく、
ミドルレンジでの予想以上の上手さも披露した。
相手の右ストレートのカウンターに小半径の左フックのクリスクロスを数発放っており、
リーチの長さも効果的に使えていた。
また大毅戦でも要所で見せたアッパーはこの試合でも冴え、
清水の脚が止まって連打のチャンスが生まれる一瞬前には
必ずアッパーが相手の顔面にコツンとヒットしていた。
5~6ラウンドには敢えて休むラウンドを作っていたようにも見え、
その余裕の試合ぶりには20代前半ながら老獪さも垣間見える。
最後となった9ラウンド、相手が効いた瞬間に
これでもかとパンチを叩き込む様を見て、
休むラウンドを作ることの意義があらためてよくわかった。
これは長谷川バンタム政権の初期に時々見られた光景だ。

この調子なら大毅とのリマッチが実現しても、
結果・内容ともに第一戦と同じく問題なく撃退できそうだ。

考察 ~清水~

この結果、そして内容は完全に予想の範囲内で、
コアなファンにはどこか醒めた気持ちすらあるだろうと思う。
王者としては残念ながらあらゆる面から酷評せざるを得ない。

まずパンチが決定的に足りない。
Sフライというウェートに完全に馴染んでいないせいもあるが、
とにかくパンチに威力が乗っていない。
そのことはファーストコンタクトから明らかで、
タイ人王者は清水のジャブをもらいながらもアゴが微動だにせず、
逆に休養王者は小突かれたようなジャブで後頭部が前後に大きく動いてしまった。
ガードを固めるとかアゴを引くという話ではなく、
フィジカル面で優る部分が皆無で、4ラウンドのピンチを迎える前から
中盤以降のKO負けを予想したマニアは相当数に上ると考えられる。
何度でも書くが、出てくる相手を止めるパターンは

1.ジャブ連打で止める
2.ワン・ツーで止める
3.カウンターで止める

に大別することができ、清水はこれを主に上から順に試み、
その全てに成功を収めることができなかった。
大毅ならこの王者ほどの器用さはないので、
テクニック(≠スキル)で逃げ切ることも可能と思えるが、
一歩間違えれば内藤戦さながらにKO負けしそうだ。

フライ級にリターンするか、それとも引退も視野に入っているか。
いずれにせよ文字通りの意味で休養が必要だ。
あと2秒ストップが早ければ、ダメージ回復に要する日数が2日短くなり、
あと4秒早ければ(これがベストタイミング)さらに4日は回復が早くなったはず。
日本のリングでもメキシコ並みに早いストップが見たい。
我々ボクシングファンが渇望しているのはボクサーがバタンと倒れる光景ではなく、
「勝負あり!」と言える瞬間なのだ。