BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

WBA世界フライ級タイトルマッチ

2009-05-28 22:28:17 | Boxing
王者 デンカオセーン・シンワンチャー VS 挑戦者 久高寛之

デンカオセーン スプリットディシジョンで防衛成功

考察 ~デンカオセーン~

硬質なパンチは健在だったが、坂田との再戦が鮮やか過ぎたのか、
久高が成長していたのか、あの有無を言わせぬ攻撃は鳴りを潜めていた。
下半身がついてこなかったのは、鍛錬不足か慢心か。
クリンチからでも強引に打ちにいった坂田Ⅱとは別人のようだった。
この日は相手がカウンターパンチャーなので救われたが、
好戦的なメキシカンにはすこぶる相性が悪そうな出来だった。
ウィラポンもそうだったが、アッパーを連続でぶち込まれそうな
スタイルで戦うのは、見ていて結構ひやひやする。

デンカオよ、君はもう世界王者なのだ。
アジア圏を中心に世界を視野に入れたファイトをしたいのだろう?
マイミー・ペンライ・スピリットはこれで終わりにしよう。
カリビアンにありがちな金遣いの粗さはアジア人にはないはずだし、
なにより寒い12月の日本であれだけ心も体も仕上げられたのだから、
地元でならもっと上げられるはずだ。
初防衛戦は確かに難しいものだが、ベルトの商品価値は落としてはならない。
それにはビジネスを健全に遂行し続けていくしかない。


考察 ~久高~

残念ながらスリップと裁定されてしまったが、
5ラウンドのあれはクリーンなフラッシュダウンだった。
スタイリッシュなボクシングは相変わらず絵になるが、
Roy Jones の mock はまだ3年早いかな。
ジャブ、カウンター、フットワークに長けており、
ボクシングIQも高い、要するにセンスも勘もある。
それゆえ、ちょっとしたトラブルや読み違いで軽いパニックに陥る。
逆にノったときには無類の強さを発揮するだろうが、
メンタルのコントロール方法が分かっていないようだ。
我々は坂田や川嶋のように泥臭く必死に戦うファイターをして、
勇敢、折れない心、精神面の強さなどをついつい称える傾向にあるが、
これは体力あるいは技術の限界にまで到達した選手のみに許される賛辞。
今回の久高の戦いに寄せるべきはそのような美辞麗句ではない。
この男に必要なのは格上相手の敗北でもアウェーの地での洗礼でもない。
そんなものはすでに経験済みだ。
久高よ、真似るならロイ・ジョーンズではなくセルヒオ・マルチネスにするんだ。
「ボクシングですか?まあ、趣味の延長っすかね」ぐらいのスタンスで取り組むのが
君には似合う(ような気がする)。
技術を支えるのはメンタルで、技術を構築するのもメンタル。
ハートの強さではなく、自身のイズムを手に入れてほしい。

PS.
”バンコクから愛を込めないで”のバンコク愚連隊様に感謝。
氏の現地録画なくしてこの観戦記は綴れませんでした。

WBC世界フライ級タイトルマッチ

2009-05-26 22:17:36 | Boxing
王者 内藤大助 VS 挑戦者 熊 朝忠

内藤 ユナニマスディシジョンで防衛成功

考察 ~内藤~

強く速いジャブでコントロールするプランはなかったのか?
単発で組み立てるのもいいが、現代ボクシングの主流である
的確なコンビネーションは出さなかったのか、出せなかったのか。
フットワーク、ボディワークともに普段通りキレていたが、
すっ転ばされそうなスタンスで相手の正面に立つのは勘弁してもらいたい。
打ってダック、ウィーブしてバックステップはスタイルとしてハマっているが、
全てのパンチをそれだけでかわせるはずはなく、
事実、序盤から相手のブンブンフックをもらい続けた。
3ラウンド残り10秒の拍子木で背を向けた相手の攻撃に出たのは
追い詰められた精神状態の表れだった。
6ラウンドの被ノックダウンで自身の戦い方の誤りを悟っただろう。
しかし、プライドなのかファンへの義理なのか、
ファイトプランの”根本的”な修正は見られなかった。
6、8、11ラウンド(へろへろ&フラフラだったな)に仕留められることなく
逃げ切ったのはキャリアの賜物だが、相手の詰めの甘さにも助けられた。
順調にいけば次戦は暫定王者のポンサクレックと王座吸収戦か。
両まぶたの上のカットに実質2度のダウンによる肉体と精神へのダメージ。
ビジネスに走りすぎた宮田会長のツケを内藤が支払う日も目前だ。


考察 ~熊~

中国版のルイス・コンセプシオンか、この男は・・・
V・オガノフのようでもあり、(未見だが)4回戦の川嶋勝重のようでもある。
防御に関して言うべきことはない。
というか言い出したら何千文字に達することやら。
守りの見所は「凄い」を通り越して「異常」なそのアゴと首の強さだ。
全体的に見てそのボクシングはまったくBoxingではなく、
むしろ Slugfest もしくは Prizefighting と呼ぶのがふさわしい。
というか、アマ大会や五輪で躍進した中国はどこに行った?
と思ったら奥地の少数民族出身者か。
ライトフライでアスロウムとやれば99%勝てるよ。
リトル・タイソンというよりリトル・メガロドンだ、こりゃ。
清水あるいは久高あたりとやればフルマークで敗れるだろうけどね。
亀田史郎は内藤を興毅のターゲットにすることはあっても、
興毅の前哨戦(何回やる気だ・・・)で熊を呼ぶことはないだろう。

WBC世界Sバンタム級 王者 西岡利晃 VS 挑戦者 ジョニー・ゴンサレス

2009-05-25 22:28:53 | Boxing
西岡 3ラウンドTKO勝利

考察 ~西岡~

見えないパンチとよく言うが、それには二通りある。
死角から放たれるパンチと視界の中から放たれるパンチだ。
西岡がダウンを喰ったパンチは前者だったように思う。
左右のジャブの差し合いで思うように主導権を握れず、
相手の左のキレにナーバスになった瞬間に、一番警戒すべき右をもらった。
フラッシュ気味だったせいか、逆にこれでほぐれた感がある。
2ラウンド終了間際に相手のラッシュを冷静にいなしていたが、
「こいつ、そんなに俺が怖いのか?」ぐらいに思っていたことだろう。
その直前から右を頻繁に上下動させることをやめ、自身の距離にしていたからね。
フェザー、Sフェザー級あたりのパッキャオの左ストレートは、
伸ばした右で空間を掴み、それを引き寄せるかのような反動で左を突き刺していたが、
この日の西岡の左は右足の踏み込みと左足の蹴り、背骨を軸とした回転が決まったもの。
教科書に載せるならパッキャオよりも西岡の左ストレートだと思わせるほどだった。
徳山、リナレス以来の日本ジム所属ボクサーの敵地防衛で、
世界王者から Campeon Del Mundo にレベルアップしたと言える。
次にこれに続くのは長谷川か、粟生か。


考察 ~ゴンサレス~

初回にダウンを奪ったことで気分的には乗っただろうが、
ペニャロサ戦の10カウントKO負けを今でも引きずっていることは
2ラウンド目から明らか。
西岡のボディへの一連のパンチの被弾が伏線になっており、
左ボディストレートを警戒していたが、西岡が打つ直前に肘から前腕を顔の高さまで上げ、
そこから放たれた稲妻のごとき左が顔面に着弾!
グローブは見えていても、パンチの軌道は見えなかったに違いない。
西岡をダウンさせたパンチと似たようなパンチをもらったが、
パンチの性質としては両者はまったく異なる。
前者は時に失神KOを演出するが、意外なほどダメージが小さいこともある。
後者は歯を食いしばれば結構耐えられるが、vulnerableな選手にとっては致命傷となりうる。
メンタルと打たれ強さ(弱さとも言える)の差が結果に如実に表れた試合だった。

PS.
それにしても西岡よ、よくやった。
レフェリーのK・ベイリスを見て、決定戦の雰囲気を思い出したか、
それとも自身の海外の戦績・ジンクスに自信があったのか。
あのFACE・OFFの時のニヤリとした笑顔には根拠があったわけだ。
いずれにせよ、これは近年の日本ボクシング界の快挙だ。
ウィラポンの功績、ひいてはアジアボクシングも海外で見直されるだろうし、
アメリカ、メキシコの興行にもいっそう帝拳の力が及ぶだろう。
なによりもこれでようやくビッグマウスとの揶揄からも逃れられる。
卑近なことだが、近い年齢、同じ兵庫出身者としてもこの防衛成功は嬉しい限りだ。
ところでレノンJrが尼崎出身だと言ってたが本当か?
奇遇なことに「涼しい木星」も尼崎出身だ。

フェザー級10回戦 ラファエル・マルケスVSホセ・フランシスコ・メンドサ

2009-05-25 22:28:26 | Boxing
マルケス 3ラウンドKO勝利

考察 ~マルケス~

まず見るべきはダメージはどれだけ抜けたのか、残っているのか。
そしてトレーニングでどれだけ錆が落ちたのか、残っているのか。
残念ながら以前のマルケス弟ではなかった。
ダメージが染み着いたことによるものか、ブランクによるものかの判断は難しい。
ただし、パンチの質はほぼ生まれつきのもので、年齢による衰えは少ない。
当たれば倒せるパンチはボクシングにおいて大きな魅力。
だが、それだけでは今のSバンタム級トップ戦線は生き残れない。

考察 ~メンドサ~

コロンビアと言えばスラッガーのイメージがあるが、
このパナマ人のようなボクシングは何なのだ?
やたら脇を開いて両腕をふわふわさせるが、
ストレートとアッパーの瞬間はビシッと締まる。
しかし次の瞬間にはまたふわふわとパーリング体勢。
相手を煙に巻くタイプなのか、相手の名前に怖じたのか。
日本で下田あたりと戦わせてみると意外に噛み合うかもしれない。
下田が空回りさせられるかもしれないけど。

WBO世界バンタム級暫定王座決定戦

2009-05-25 22:27:08 | Boxing
フェルナンド・モンティエル VS ディエゴ・シルバ

モンティエル 3ラウンドTKO勝利

考察 ~モンティエル~

勝つのは最初から分かっていたこと。
この試合で見極めたかったのは近い将来に激突が予想される
ダルチニャンまたはドネアとの相性だ。
サウスポーには強いモンティエルだが、この自信満々のスタイルで
Raging Bullに相対して大丈夫か?
ただでさえ不用意に被弾する傾向があるというのに、
バンタムまで上がってしまって・・・
ただ、ダルチニャンも同様の欠点を持っているので、
当て勘に優れるモンティエルか威力に優るダルチニャンかという予想は立てやすい。
これは管理人の勝手な想像だが、ドネアと戦えば一方的な展開で敗れるような気がする。
スリリングな左の差し合いになる予感がするが、全体的にスピードが違い過ぎる。
ドネアの閃光のごとき左がモンティエルの童顔を砕くだろう。

考察 ~シルバ~

シルバじゃなくてシウバじゃないの?
という下らん突っ込みは置いといて、
この後背筋は素晴らしい、いっそ美味しそうだ。
厚みといい、柔らかさといい、焼肉にたとえるなら特上ロース。
コテルニクと激闘を繰り広げたマイダナもそうだったし、
管理人の大のお気に入り、セルヒオ・マルチネスも上質の筋肉の持ち主。
アルゼンチン人ボクサーの肉体には惚れ惚れさせられる。
日本人のバンタム級ランカーの世界前哨戦にうってつけの選手か。
打った感触が良さそうなボクサーだ。
(はじめの一歩の沢村じゃないよ。実家が焼肉屋だっただけです)
日本人が喰われてしまう可能性もあるが。

注目タイトルマッチを勝手に大予想

2009-05-22 21:53:46 | Boxing
WBC世界Sバンタム級タイトルマッチ 
王者 西岡利晃 VS 挑戦者 ジョニー・ゴンザレス

予想:西岡 防衛成功

ゴンザレスの強さは認めるが、西岡がさらに一皮むけたと勝手に解釈して
西岡の僅差判定勝ちを予想する。
メキシカンは総じてサウスポーを得意としていない。
ジョー小泉の指摘ではないが、アゴもボディも打たれ強いわけではない。
攻撃力などのフィジカル面では劣るが、メンタルでは互角以上だろう。
佐藤の不甲斐ない敗戦もあり、業界の雄たる帝拳の面目もかかった試合になる。
ここまでチャンスをつかみ切れず、ようやく得たベルトをここで手放すわけにはいかない。
まさかミハレス戦の時の菊井のように委縮することもなかろう。
多分に願望込みだが、西岡が勝つ!


WBC世界フライ級タイトルマッチ 
王者 内藤大助 VS 挑戦者 熊朝忠

予想:内藤 防衛成功

いくらなんでもこの相手に敗れることは許されない。
指名試合を回避したおかげで比較的安全牌だったミランダがポンサクレックに撃破されてしまったが、
おかげで5度目の対決もありうる状況となってしまった。
坂田の陥落と亀田のリスク回避のせいで国内から挑戦者を募る路線はもはや使えない。
となれば自身の商品価値を上げる、ないしは保つことが必要となる。
すなわちノックアウト勝利が求められる。
中国という敵地での防衛戦となるが、観客は挑戦者を応援するというよりも
内藤にブーイングを浴びせる方に眼目を置くのではないか?
敵地での戦いは1分足らずとはいえ経験済み。
残り少ないキャリアのハイライトを作ることが期待される。


WBA世界フライ級タイトルマッチ
王者 デンカオセーン・クラティンデーンジム VS 挑戦者 久高寛之

予想:デンカオセーン 防衛成功

久高のポテンシャルは誰しもが認めるところ。
だが潜在能力だけで勝てるほどボクシング(に限らずプロスポーツ)は甘くはない。
ましてイーグルですら陥落した敵地タイでの挑戦なのだ。
ボクシングにおいて三段論法はご法度だが、初戦で坂田と互角、再戦で圧倒した王者に、
同じ坂田に中盤以降押されっぱなしだった久高が勝つ絵が浮かんでこない。
海外を転戦した経験を活かしてほしいが、まだまだ若さの方が目についてしまう。
デンカオセーンの王者としての精神的充実を得意のカウンターで斬って落としてほしいが、
おそらく王者の迫力と威圧感とパンチ力に屈することとなろう。
デンカオセーンが中差から大差の判定で初防衛に成功すると見る。

Quit Complaining About Alphabets, Just Ignore Them

2009-05-21 18:45:31 | Translated Boxing News
かなり衝撃的な内容の記事です。
熱心なファンならすでに勘付いていたことでしょうけれども、
ここまであけすけに書かれてはこちらも認めざるを得なくなります。
ビッグネームによるメガマッチが主流のアメリカならでは、という気もしますが、
世界王座の権威を守るためという題目でIBFとWBOに加盟しようとしない
どこかの島国の方針は正しいのか、それとも間違っているのか。
それは個々人が判断すべきなのでしょう。

原文は以下のURLを参照ください。

http://www.boxingscene.com/?m=show&id=19592

アルファベット団体に文句を言うのはやめよう、無視すればいい
Quit Complaining About Alphabets, Just Ignore Them

By Jake Donovan
ジェイク・ドノヴァン氏による記事

いつもこうだ。承認団体がプロモーターの「これこれの試合にタイトルを懸けてほしい」という要求を
呑んだ瞬間に、マスコミの誰かがすぐにそれを嗅ぎつけ、アルファベット団体がどれだけ我々の愛する
このスポーツを駄目にしているかについて怒り心頭に発して書き立てるのだ。

プロモーター、ボクサー、マネージャー、PR担当はなぜかそういう記事では批判の対象とはならない。
少なくとも記者の怒りの焦点ではない。

最近の承認団体がタイトルに対して重要性を付与しているどうか疑わしいが、ともかくタイトルには意味があり、
それをもてはやし、プロモートしているという点では実際は上に挙げた者たち全員も等しく有罪なのだ。だが、
もしも銃殺が執行されるなら、照準はメジャー四団体のトップの頭部となろう。

理論的に言えば、人であふれかえる部屋にチンパンジーが発砲しても、責められるべきはチンパンジーではなく、
そもそもチンパンジーに銃火器を与えた人間ということになるのと同じことである。

承認されたイベントにおいてさえボクサーおよび陣営が犠牲者として描かれることが多いのは、こうした理由
による。

もしもメディアに書かれたあらゆる言葉を信じるならば、ボクサーの周辺がタイトルが懸けられるようにロビー
活動に精を出すのも、そのようなタイトル戦のために承認料を支払うのも、あるいは正当な世界王者という呼称
を得ても、それらは何ら責められるべきことではない。たとえ同一階級に複数の他団体の世界王者が存在
(最近では同一団体内で複数の世界王者がいるが)し、自分たちの方が上だという主張はしないまでも、
同じような世界王者という肩書を主張するにしても、だ。

全ての批難はそもそも承認団体なるものが存在することそれ自体の根底にあるのである。

ことほどさように承認団体にまつわる問題の根は深く、メディアのルーティンワークである試合後の総括も、
有害なAだかBだかCだかの団体の最新の動向に焦点が行ってしまい、試合の最も重要な面、つまりボクサー
自身に費やされる時間はこれに比して断然短いのだ。ユリオルキス・ガンボアがホセ・ロハスに勝利したが、
手に入れたのは張り子のタイトルに過ぎない、と繰り返し報じた記事は2、3かそれより少し多いぐらいしか
見かけなかった。真に焦点を当てるべきは、ガンボアがプロキャリアの中で本物のフェザー級エリートになる
ためまた一歩前進したということなのだ。

全て、とまではいかずともほとんどのアルファベット団体はモラルに欠けている。言うまでもないことだ。
だからここから先はそのことを指摘せずに論を進めていくことにしよう。

物書きならば様々な暫定ベルトやスーパー王者や正規王者についてへとへとになるまで書き続けることができる。
最近のボクサーが「正当な理由無し」にタイトルを剥奪されること、あるいは凡庸なボクサーが勝ち取ったわけ
でもないのに高すぎるランクを与えられることに立腹し不平不満をを述べる。

だが我々ジャーナリストの啓蒙対象は誰なのだ?

ボクサーたちは最近の傾向についてすでによく知っている。馬鹿馬鹿しい政治的な駆け引きに囚われた者も2、3
いないわけではないが、その数は少ない。どんなタイトルでも挑戦者決定戦でもいい、それらを戦ったことがある
者ならば誰でもファイトマネーから3%(統一戦ならもっと)引かれていることに気付いたことだろう。

お分かりいただけただろうか?彼らは今でも承認料を支払っているのだ。少なくとも陣営の関係者を集めて勘定を
しているというわけだ。彼らは文字通り支払うべき額を知っているし、夜の終わりに安物細工のベルトを頭上に
高々と掲げるチャンスが得られるならば、諾々と支払いに応じるのだ。

ファンも最近の傾向についてはよく知っている。わざわざ各種アルファベット団体の動向を追跡している好事家
ならずともランキング見直しのタイミングは知っているだろうし、一階級あたりに複数の王者が存在することも
周知の事実だ。

我々メディアは複数王者制と統一戦の少なさがボクシング界にダメージを与えているとの声を上げ続けている。
だが、このことを証明する材料はほとんどない。1990年代のウェルター級はタレントの宝庫で、多くの
ボクシングファンの関心を刺激した。しかし、実現した統一戦は一試合だけ。フェリックス・トリニダードが
僅差の、疑惑を呼ぶ判定勝ちでオスカー・デラホーヤを下した試合だけだった。

この試合はヘビー級ではないメインイベントの当時としての最高のペイパービューの購買件数記録を樹立した。
このイベントを購入した140万人のファン、そして友人宅やバーで、あるいは無料の再放送で観戦した数百万
の人々のうち、一体どれほどの人数が2つの世界タイトル(世界でなくとも)が懸かっていることにこだわった
ていたのだろうか。

同じ観客のうち、もうひとつの世界のベルトがどこかにあって、フェリックス・トリニダードはジェームズ・ペイジ
(当時のメジャー団体のベルト保持者)を倒して世界最高のウェルター級との認知されなくてはならない、と
考えたファンがはたしてどれだけいたのだろうか。

翻って現代、同じ観客のうち、疑問の残る採点や判定読み上げまでのアクションに乏しい12ラウンドに、いったい
どれだけの人間が気分を害されているのだろうか。

ああ、なんとなく話の結論が見えてきたようだ。

プロモーターも最近の傾向についてはよく知っている。彼らの二枚舌に騙されてはいけない。彼らは言葉巧みに
自分のところのボクサーがいつの日かABC・XYZ世界チャンピオンになると言い、その次の日にはリング・
マガジンのベルトこそが偉大さの真の基準で、唯一の価値ある王座だと言うからだ。彼らの言葉が気まぐれで、
そこには自らのプロモート業を推進する以外の目的などありはしないのだ。

信じられないと?両方のグループに直接関与している個人を例に挙げよう。

ネート・キャンベルがもはや135lbを作れないと決断した瞬間に、ペンディングとなっていたファン・マヌエル・
マルケスとファン・ディアスの試合は公式に地球上で最高の2人のライト級選手による試合となった。マルケスはすでに
リニアル(前海外記事の註参照)なライト級王者だったが、マルケスVSディアスの勝者はどう考えても疑問の余地なく
地球上で最凶(baddest)のライト級ボクサーとして認知されるはずだった。

この試合ではタイトルが懸けられる必要などなかった。ファンはすでにこのイベントをありのままに認識していた―
つまり、とても良い試合(a damn good fight)だと捉えていたからで、事実とても素晴らしい試合(a damn great fight)
になったわけで、現時点では2009年の最高試合だと言える。ファンの関心は最初から高く、テキサス州ヒューストン
のトヨタセンターには15000人を超えるファンが、すでに死んだと思われていたボクシング景気の最中に押し寄せた
のだ。

では何故ゴールデン・ボーイ・プロモーションはこの試合に一本ではなく二本のベルトが懸けられるように働きかける
必要があると感じたのか?

これは2007年の後半にリング・マガジンを買収したあの同じゴールデン・ボーイ・プロモーション、リング・マガジン
の製品をあらゆる興行で安売りし、ここ10年の最初の5年で再生し、改革された世界王者の認定方針を支えていくと主張
したあの同じゴールデン・ボーイ・プロモーションのなのである。

にもかかわらず、この特定のイベントでリング・マガジンは驚いたことにWBA、WBO、IBOに次ぐ4番目として
この夜のタイトル認定の列に名を連ねたのだ。

どういうわけか批判されたのは複数タイトルを懸けられるようにした承認団体に落ち着いた。なかにはゴールデン・ボーイも
乗り遅れまいとリング・マガジンを使って一枚かむべきではなかったという者もいた。

ゴールデン・ボーイも?端的に言ってあの会社こそが責められるべきだったのだ。彼らは手に帽子(と現金)を携え、対戦
者同士の名前だけでチケットが売れる試合に承認料を支払うことで喜々としてベルトをもう一本懸けたのだ。

ここでは何も一プロモーション会社だけを取り上げようとしているのではない。全てのプロモーターを批判の対象としている
のである。というのも、ある試合にベルトを懸けることで実際以上に偽装し、興行が売れるというのなら、空位のタイトルを
つかみ取りにいこうとしないプロモーターなど一人としていないからである。

良心の何たるかを知っているプロモーターを紹介してほしい。そうすれば、私は水面下でスクープを追跡しないマスコミを
紹介しよう。

プロモーターはしばしば密室で不特定の団体幹部に明細不明の現金を叩きつけているのだ。その狙いは自らのプロモートする
試合に何がしかの金物ベルトを懸けること。安手の装飾品がそこに手配されれば、後は広報担当、ボクサー、そして往々にして
プロモーター自身の口から世間に対して欺瞞が語られる。

ミートボールの早食い王者か何か程度としか思われない2人のコンテンダーの間で戦われる試合の、一対どこにセックスアピール
があるというのか?

単に手元にある資金を有効活用しているだけだと考えて彼らにゴーサインを出すのはやめよう。もしも承認団体が試合を
承認しなければ(彼らも良心をもって試合を承認しないこともある)、その時は紛い物の州タイトルが懸けられるのだ。

あるジャーナリストが2人の地方出身ボクサーによって争われたニューヨーク州タイトルマッチの舞台裏について語ったこと
がある。読者はそのようなタイトルがどのようにして懸けられるかご存知だろうか?文字通り自費でベルトを購入するのだ。
そうすればタイトルマッチの出来上がりというわけだ。わいろを贈る人間などいない。承認料が徴収されることもない。
買ってきたベルトを持っていけばそれで即席タイトルマッチが行えるのである。

なぜこのようなことがまかり通るのか?なぜなら2人のボクサーをリングに呼び込むにはこの方法しかない場合が多いからだ。

メディアは現行タイトルの削減と一階級一王者制度への回帰を推進し続けている。これを推進すること自体に間違いはない。
しかし業界のキーマンたち(ボクサー、マネージャー、プロモーター)がこれに着手する気がなければ、この推進運動は
労多くして実り少ないものとなる。

一方で、承認団体が旧来のやり方を踏襲するたびに警告を発するのは、業界における団体の存在そのものと影響力を認めることに
つながる行為である。団体の欠点ばかりをあげつらい、長所について目をつぶるばかりでは、言動に均衡を欠くとの誹りを
免れないだろう。

誰もがすでにこのような様々なアルファベット団体と不可分のナンセンスを知っているのだから、彼らのカネ集めに協力するのは
そろそろやめようではないか。自らの説くところを実践し、既存のベルトは正当なボクサーまたは試合によって証明されない限り、
無価値なものだという事実に目を向けようではないか。

そうすれば、真にして唯一の対象、つまりリングの中のアクションに我々の視点は回帰するはずだ。

*アルファベット団体:言わずと知れたメジャー四団体のWBA、WBC、IBF、WBO。
WBAを筆頭とする近年の無軌道ぶりにA、C、F、Oなどと区別せず、
単にアルファベットと表記することで四団体どれもたいして差はないと揶揄している。

ミドル級12回戦 ポール・ウィリアムスVSロナルド・ライト

2009-05-18 22:33:01 | Boxing
ウィリアムス ユナニマスディシジョンで勝利

考察 ~ウィリアムス~

リアルタイムで観てはいなかったが、こいつはやっぱりハーンズより強い。
これだけの身長とリーチでインファイトまでこなすのは、
boxing abilityの高さを物語る。
ポンポンと手数を出すことでリズムを構築しているが、
フットワークとボディワークも巧みで、単発は被弾するが、
相手の打ち終わりを常に観察し、虚(フェイント)と実(パンチ)を織り交ぜたボクシングは
川嶋I~ムニョスあたりのミハレスを彷彿させる(現ミハレスはあの頃とは別人)。
というかこれだけの手数であれだけフェイント交えるか?
通常これほどのリーチなら、ショートの左右連打はナックルが返らないslapになるが、
この男には当てはまらず脇、肘、手首、ナックルまでのcoordinationの良さを証明する。
下半身に着目すれば右膝と左足首の合理的な使い方が目を引く。
右フックとダックしながらのピボット、ジャブ・ジャブ・ストレートは
ボクサーのボディメカニクスのひとつの到達点を表わしているようにすら思える。
この男がミドルで4団体統一をぶちあげればファンも乗るしかない。
シュトルム、パブリック、アブラハムの3人の牙城すら危ういかもしれない。

考察 ~ライト~

spoiler(最近ではネタばれの意味で使われるが)と辞書で引けば、
ロナルド・ライトの挿絵が出てくるのではないかという時期もあったが、
さすがにホプキンス戦以来のリターンでこの相手はきつかったか。
もともとブロッキングの技術でのし上がってきた選手だけに、
そのメンタルは常にディフェンシブ。
それではこの懐の深いのに好戦的なボクサーの勢いを殺ぐことはできない。
芯に来るようなパンチはそれほどもらわなかっただろうが、
自身のガードの隙間に次々に放り込まれるパンチには面食らっただろう。
予期しないパンチのaccumulationは肉体にガーンと来るというより
精神をじわじわと蝕む。
ライトも終盤には新旧交代(といっても最近の旧は新に対して妙に強いが)
の時期が到来したことを肌で感じたのではなかろうか。

WBA世界Sバンタム級 リカルド・コルドバVSバーナード・ダン

2009-05-18 22:23:01 | Boxing
ダン 11ラウンドTKO勝利

考察 ~ダン~

タフネスに自信があるのだろうが、あまりにも危険なファイトスタイルだ。
左ガードの置き所に一貫性が欠けており(そう見えた)、
サウスポーの右フックを次々に浴びた。
ボディへのダメージの蓄積から頭部への被弾でダウンさせられたが、
しかし、その闘志はいささかも衰えることを知らず、
サウスポーの右フックにオーソドックスの左フックで対抗。
結果オーライに近いが、この選択が奏功した。
くにゃくにゃ柔らかく、slickなボクサーを捕えるのは誰にとっても難しい。
ならば肉体ではなく精神にダメージを与えるべきだが、
それには互いのサンデーパンチをぶつけ合い、明確に上回ることが求められる。
それを実行できるだけの精神力は称賛に値する。
長く防衛する雰囲気は感じられないが、体さえ壊れなければ、
Irish Warriorとして今後も名勝負を生み出せる。

考察 ~コルドバ~

パナマ人ボクサーというのは見れば見るほど
自らのフィジカルを理解していると感服する。
柔軟性と反射神経に優れ、ディフェンスは距離感とボディワークで構築。
攻撃はジャブを基軸に脇を開いてスイング気味に振り回す右フックと
脇を閉めて小さく振り抜く左フックが持ち駒のコンビネーションで、
どれもサウスポーの定石だが、独特なのはパンチの引きの軌道だ。
伸びる右ジャブで顕著だが、高く掲げた肘から放たれながら、
引きの軌道は大きく下方に弧を描く。
フリッカーの打ち出しを逆回しに見るようだ。
3ラウンドに喫したダウンはそこに左フックを合わされたもの。
典型的なdelayed actionだったが、リズミカルなムーブと呼吸により、
そのダメージも短時間で回復できた。
だが相手のresilienceが予想以上で、泥沼の根性勝負に巻き込まれた結果、
大逆転負けを喫することとなった。

PS.
今日のレフェリーの試合裁きは見事だった。
後楽園や府立体育館でもこれぐらいのレフェリングが見たい。
もちろん試合内容もこれぐらい熱ければ文句はない。

Heavy Around the (Young) Middle

2009-05-16 20:40:19 | Translated Boxing News
以下はboxingscene.comの記者Cliff Rold氏の記事です。
個人的にボクシング界の現状と将来に関する示唆に富むと思われたので
氏の許可のもと翻訳しました。
原文はhttp://www.boxingscene.com/?m=show&id=19795にあります。
不自然に思われる表現や誤訳があれば、その文責は「涼しい木星」に帰します。

(若き)ミドル級周辺はヘビー級並みの盛り上がりだ
Heavy Around the (Young) Middle

最近ではあまり話題にのぼらなくなったが、ミドル級(純粋な160lbで親戚であるSミドル級は含まない)
関連の議論の種といえば大体は王者ケリー・パブリック(35勝1敗31KO)とIBFのタイトルホルダー、
アルツール・アブラハム(29勝無敗23KO)の一大対決の可能性だった。

先週末のパッキャオVSハットンの前座には少しばかりボニー・レイットらしさがあったかもしれない。
というのも現代のパウンド・フォー・パウンド論争の範囲をはみ出したところで話題を提供してくれたからだ。

前座の最初の3試合に登場した3人のミドル級周辺のボクサーたちが今後は168lbかそれ以上の階級で
戦っていくとするならば、両階級の若手層に不満があるにしても、ミドル級の将来のマーケットは投資に
値すると思われる。

前座を飾った3人のボクサーたちは元世界アマチュア選手権優勝者にしてキューバからの亡命者エリスランディ・
ララ(5勝無敗3KO)、世界アマチュア選手権優勝二度の実績を持つロシアのマット・コロボフ(5勝無敗5KO)、
そして元全米ゴールデングローブ大会二度の優勝を誇るダニエル・ジェイコブス(16勝無敗14KO)である。

ララとコロボフが昨年後半にプロ転向した一方で、ジェイコブスは2007年12月にプロとなっており、
今回はキャリアで最もタフな相手との対戦となり、3人の中では唯一判定勝利となった。

だが、彼らはまだ氷山の一角に過ぎないのである。

直近の数カ月の間にボクシングファンは2004年の五輪メダリストアンドレ・ウォード(金メダル獲得 18勝
無敗12KO)とアンドレ・ダーレル(銅メダル獲得 18勝無敗13KO)の二人がじっくりとした育成過程を
経て遂にその真価を発揮し始めたのを目の当たりにした。

メリーランドでは、元全米アマチュア選手権優勝者フェルナンド・ゲレロ(13勝無敗11KO)は将来性を
感じさせるスピードとパワー、そして最も重要な集客力を見せた。今週金曜日、スコットランドのクレイグ・
マックイーワン(14勝無敗9KO)は、相手の長所を消すのに長けたコンテンダー参加者ブライアン・ヴェラ
(16勝2敗10KO)とESPN2で打ち合い勝負に臨む。そしてヴェラが前戦で長所を消したアイルランド
のアンディ・リー(17勝1敗13KO)もまた戦線への名乗りを上げそうだ。

これら若手選手が秘めている才能を考えれば、少なくともこのうち2~3人がメジャー団体のタイトルを勝ち取る
という予感を抱くのは難しくない。残りの数名は壊されるかもしれないが。

それがボクシングの在り方なのだ。

重要なことは、しかし、こういった選手たちの存在がある時点でほぼ一斉に出現したということで、これは
近年のボクシングの力強い流れがすぐにでも弱まってしまうのではないかと恐れる必要はないということの
サインでもある。我々は今、この20年間で最高の若手ミドル級選手を収穫しつつあるのかもしれない。
彼らのほとんどは自分たちが20代半ばになった頃、どれほどの人生を享受しているのかを夢想している
段階にあるのだ。

現在は上述の期間で最高の収穫期だと述べたところで思い出されるのは、1988年、89年のミドル級が
どんなものだったかということだ。マイケル・ナン、ナイジェル・ベン、クリス・ユーバンク、スティーブ・
コリンズらを始めとする若くして自己を確立した若武者たちの群れに、プロになりたてのロイ・ジョーンズ、
バーナード・ホプキンス、そしてジェームズ・トニーが加わっていった時期だった。それから数年を経ずして
ジョー・カルザゲがそこに参戦し、彼らの時代が過ぎゆくなか、大勢の観客が動員され、名勝負が生まれ、
防衛記録が塗り替えられ、殿堂入り選手も誕生したのだ。

現代に戻ろう。現時点のラインナップに第二のジョーンズやホプキンスが存在するとは誰にも言えない。
そう判断するのは時期尚早だ。だがその可能性を探るのは時期尚早ではない。

この世代の選手たちは、生身の眼に映る何かを持っている。その点でウィリアム・ジョッピーやキース・ホームズが
ランキングを駆け上がっていった頃とは異なっている。ジョッピーやホームズに含むところがあるわけではない。
彼らは素晴らしいボクサーだった。しかし、彼らはテレビ画面から飛び出してくることはなかった。

今の若手の迫力はテレビ画面越しにも伝わってくる。

コロボフのパワー、ゲレロの閃光のごときスピード、ジェイコブスのパンチの多彩さと柔軟性・・・ これらは
ボクシングの無意識に「目をそらすな」と囁きかけるのだ。どこの階級でも普通、こういう囁きを生み出す若手
ボクサーは一人や二人は現れる。彼らが真の実力者なら、いつの日か自分の名前ひとつでメインを張れるか、
無二のライバルを生み出すかのどちらかにつながることだろう。

これは良いことだ。今という時代には複数のライバル関係とスリルあふれる試合が健全な期間にわたって提供される
だろうと予感させるだけの深みがある。

現在のスター選手たちの時代、パッキャオ時代、メイウェザー時代、マルケス時代が始まった日々を彷彿とさせる時代、
それが今なのだ。上に挙げた3人がボクシング界の頂上でこれまでに互いに対して積み上げてきた、そして今後
積み上げていくだろう様々な数字は考えただけで興奮を覚える。

同じぐらい興奮を覚えるのは、「死につつある」(2~3年前にはそう噂する人間も少しはいたのだ)ボクシングという
甘美な科学が、そのような噂を聞きながらもたくましい土台を築いていたのだと知った瞬間である。

クリフの覚え書き...

エドウィン・バレロ、フリオ・セサール・チャベスJr、シェーン・モズリー・・・ マニー・パッキャオに対戦を
要求する選手の名前を挙げていけばきりがない。だが、ここで重要なのはマネーなのだ。カウントダウンを聞きながら、
マルケスがひとつの時代を打ち壊せるかどうか見守るとしよう。チャド・ドーソンとアントニオ・ターバーの再戦に
興奮しているファンはいるのか?誰もいない?心配しないでいい。真の興奮がもたらされるのは数週間後に予定されて
いるルスラン・チャガエフとニコライ・ワルーエフの再戦なのだから・・・というのはもちろん冗談だ。ラファエル・
マルケスがP4Pリストから漏れたのなら、11位にはノニト・ドネアをエントリすべきだったか。USAトゥデイや
ESPN、LAタイムズ、スポーツ・イラストレーテッドのような媒体がパッキャオの4階級目のリニアル王座(*)
獲得を特集しているのを見るのは素晴らしいことだったな。現時点でなぜか沈黙を保ったままなのがリング・マガジンだ。
もし同誌がその観点からパッキャオを特集するなら、かつて同誌が無理やり空位にしたフライ級の歴史を認めざるを
得なくなることに億しているのか。

注)* リニアル王座:これにぴたりと当てはまる日本語の単語は
なかなか見当たらない。かいつまんで言えばメジャー・マイナーを問わず、
『その階級で最強と目されるボクサーに与えられる称号』のこと。
ハットンはSライト級最強と考えられていたが、
今はパッキャオがその地位にいるというわけだ。
いかにメジャー団体のベルトの権威が落ちているか、
このlineal championshipという概念から窺える。