BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

IBF世界ミドル級タイトルマッチ アルツール・アブラハムVSウェイン・エルコック

2008-01-28 22:26:12 | Boxing
アブラハム 5ラウンドTKO勝利

なんかアメリカ進出に先駆けての顔見世興行だったな。
随一のパンチ力を誇るが、攻撃力という面では、さてどうか。
手数もコンビネーションも無いボクシングで、
豪腕だけで勝ってきた(それはそれで凄いが)ボクサーで、
現代ボクシングの潮流などどこ吹く風。
テイラーとパブリックのリマッチの勝者へ挑戦状を出すというが、
パブリックとなら被弾上等、殴り合い大歓迎の試合になりそうだが、
テイラーがのらりくらりで来た場合に果たして対応できるのか。
底が見えそうでなかなか見えないボクサーだけに、
ある意味で非常に不気味。
ダルチニアンに次いでアメリカンリング進出なるか注目しよう。

WBA世界L・フライ級タイトルマッチ ファン・カルロス・レベコVSブライム・アスロウム

2008-01-28 22:13:33 | Boxing
アスロウム 判定勝ち

フランス国民の悲願成就。
ナルバエス戦では相手の手数と迫力に完全に飲み込まれていたが、
打ち終わりに打ち返すことで試合の主導権を握らせなかった。
試合を支配したかといわれるとそうでもないけど。
レベコはメリハリの効いた良いボクサー。
以前、アルセに判定負けしたフリオ・ロケ・レルをアグレッシブにした感じだ。
ボディブローを軸にしたコンビネーションが持ち味だが、
攻防が分かれすぎている。
いったんまとめ打ちするとreloadに時間を食うタイプで、
パンチの精度の高い相手には少々分が悪い。
しかし、この試合でもアスロウムに明確に敗れた訳ではなく、
ライトフライのトップ戦線には残るだろう。

IBO L・ヘビー級タイトルマッチ アントニオ・ターバーVSダニー・サンティアゴ

2008-01-28 22:02:27 | Boxing
ターバー 4ラウンドTKO勝利

ターバーは身長差とリーチ差、それだけで戦えてしまった感がある。
サウスポーの利点を活かしたというより、サウスポーの特徴を前面に押し出した戦い方で、
右フック、右アッパーをあまり多用せず、強弱をつけたジャブを丁寧に突いていた。
現実の爆撃機もスピードはそれほど出ないが、意を決して射程に飛び込んだら左ボディがカウンターでヒット。
エスコート無しの爆撃機が長距離空対空ミサイル持ちのボクサーに撃墜されたという感じ。

WBC世界S・ウェルター級タイトルマッチ バーノン・フォレストVSミケーレ・ピッチリッロ

2008-01-21 21:56:27 | Boxing
フォレスト 11ラウンドTKO勝利

テクニシャンには流れを渡さなければいい、ということを体現した試合だった。
とにかく中間距離では突き放す、近接戦では肘をたたんで強振するのが奏功した。
ただ単調なヘッドハンターという印象も拭えない。
カバジェロもそうだが、難攻不落に見えてあっさり陥落しそうな雰囲気を漂わせている。

ちなみにバーノン・フォレストはVernon Forrest。
森はForest。
今日は割りと面白いジョークだったかな?

IBF世界フライ級タイトルマッチ ノニト・ドネアVSルイス・マルドナド

2008-01-21 21:08:42 | Boxing
ドネア 8ラウンドTKO勝利

「左を制するものは世界を制す」と言うが、まさにドネアのボクシングだ。
左で試合を組み立てるというより、左で試合を支配するというところか。
4ラウンドに一瞬左にスイッチしたのは遊び心か。
マルドナドのスイッチに対抗したのか、単に練習したのか、それは分からないが、
相手の右だろうと左だろうと、お構いなし。
マルドナドも中盤以降はリードブローが全てチョップだった。
粟生に以前、KO欲しかったらマルケスをコピーすればいいと書いたけど、撤回。
ドネアをコピーすればいい。
最後にレフェリーのチャーリー・ドゥワイアに拍手。
マルドナドに反撃の力が残っているかを慎重に見極めつつ、
ドネアの左がヒットした瞬間にストップ宣告。
最高のタイミングでの試合終了だった。

蛇足

どれも実現には相当高いハードルがあるけれど、
頭の中で日本人絡みのフライ級団体統一をシミュレートしてみた。

坂田VSドネア 

坂田がドネアの左をどのラウンドでかいくぐれるかどうかがポイントになる。
どんなに遅くとも5ラウンドまでに自分の距離に詰められなければ坂田の負け。
再戦で真価を発揮する坂田だけに再戦すれば分からないが、
一発勝負では7:3でドネアか。

内藤VSドネア

ドネアの当初のターゲットとされた内藤だが、相性という面では坂田より分がいいと見る。
内藤の場合、フェイントが上手いということそれ自体が相手に対するフェイントになるが、
ドネアが内藤をどれぐらい分析しているのか、先入観の有無が勝負を分ける。
両者のリーチに差はない。
右腕でボディからアゴをカバーするドネアだが、
内藤の左ボディで飛び込んでからワンテンポ遅らせた右が顔面にヒットするかどうか。
ドネアの左の弾幕と内藤の長い変則右ストレートの勝負。
五分五分もしくは5.5:4.5でドネアと見る。

亀田VSドネア

ランダエタ2で見せたボクサースタイルでは左右の差し合いで圧倒される。
亀田ガードは自分よりパワーないしは体格に優る相手には通用しない。
9:1でドネア。

WBC世界S・フライ級タイトルマッチ クリスチャン・ミハレスVSフランク・ゴルジュ

2008-01-21 20:22:21 | Boxing
ミハレス 1ラウンドTKO勝利

川嶋連破、アルセ撃破、菊井をきっちり仕留めてのからの安全牌第2弾。
軽快なパンチを矢継ぎ早に繰り出す印象が強かったが、
バランスを崩すほど力を込めて打つことも覚えたんだね。
安パイ路線はここで終わり。
リングアナが"He is considered the top superfly weight boxer in the entire world"と
紹介してたが、いよいよ団体統一路線に乗り出すようだ。
ナバーロ、キリロフに快勝すればバンタム転級で長谷川がターゲットか。

WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ アレクサンデル・ムニョスVS川嶋勝重

2008-01-15 00:22:12 | Boxing
115-114 115-113 117-111のユナニマスディシジョンでムニョス防衛

9ラウンドに押し切れなかったのが全てと言っても過言ではない。
そこから12ラウンドまで全部ポイントを取れる展開に持っていけたはずだ。
ひょっとしたらムニョスをKOできていたかもしれない。
しかし川嶋、スタミナ切れだったのか、サークリングに終始。
露骨にボディを嫌がるムニョスを休ませてしまった。
浜田さんではないが、「自分が苦しいときは相手も苦しい」のだから、
強引に行って欲しかったと思う。
ダメージングブローだけを比較すれば川嶋の勝利で間違いないが、
以前から言われているように手数が少なすぎた。
徳山、ミハレスと相性最悪の対戦相手を経て、
ようやく噛み合う相手と巡り合えた。
左ジャブ、アッパーをかわし、重いボディブローを幾度となく打ち込んだ。
100%の力を出したが、勝てなかった。
試合後にリング上で引退を表明した川嶋の言葉に心が揺さぶられた。

『ここまで生きてきて良かった』

川嶋勝重というボクサーの生き様、そして死に様を見届けた。
とことん不器用な選手だったが、フィジカルとメンタルを鍛え上げ、
一度は世界の頂点を掴み取った。
不器用という欠点をひたむきさ、愚直さという美徳に昇華し、戦い続けた。
2度目の世界戴冠は見果てぬ夢に終わったが、彼の戦いの足跡は我々の心に残る。
一ボクシングファンとして感謝したい。
12年間ありがとう、川嶋勝重。

WBO世界S・フェザー級タイトルマッチ ホアン・グスマンVSウンベルト・ソト

2008-01-11 04:50:59 | Boxing
グスマン 大差判定勝利で防衛

ハメドを思わせるスウェーに、瞬間的なダッキングとウィービング、前後左右に舞うように動くフットワーク、
ハイレベルなヘッドスリップにアームブロック、ロープ際のディフェンスはメイウェザーのようだ。
ボクシングの攻撃力はパンチそのものの威力に連打、コンビネーション、
パンチの軌道や角度、打ち込むタイミングなどを総合したものだ。
しかし、相手のディフェンスが自分の攻撃力を上回っていると、
「当たらなければどうということはない」ということになる。
おそらく、はじめの一歩の板垣を実写化すればグスマンかメイウェザーになるのだろう。
逆に言えば、軽いパンチでも、単発で終わっても、当て続ければいいわけだ。
もちろんKOはボクシングの華だが、攻防の妙味を堪能できるようになれば、
一気にボクシングが面白くなる。
このグスマンはハメド的でありウィッター的でありメイウェザー的でもある。
個人的にはこういうボクサーは大好きだ。
ソトはパッキャオ弟を一蹴したときにはタイトルを軽々奪取する予感がしたが、
誰にでも天敵がいるものだ、と教えられた。
ということはいつか誰かがグスマンを攻略するのか?
リナレスは・・・まだ時期尚早か。

IBF世界S・ミドル級タイトルマッチ アレハンドロ・ベリオVSルシアン・ビュテ

2008-01-11 03:49:55 | Boxing
ビュテ 11ラウンドTKO勝利

王者と挑戦者のボクシングスタイルは反対だが、イブラギモフVSホリフィールドを髣髴させる展開だ。
ベリオは捨てパンチを撃たないのは結構だが、もう少しフェイントを織り交ぜるか、
パンチに強弱・緩急をつけるべきだ。
すべてのパンチをフルスイングしながら、バランスを保つのはそれはそれで凄いが、
呼び込みたい相手に工夫もなしにまともに接近しすぎる。
乱打戦に巻き込めれば持ち前の攻撃力で押し切れるのだが。
いくら相手がサウスポーとはいえ、あまりにも右で入りすぎだ。
右グローブを下げ、半身で待ち構える相手の術中に見事にはまってしまった。
一方でS・ミドルらしからぬボディワークを見せる挑戦者ビュテ。
呼び込む姿勢でいながら、伸びる左ストレートにショートアッパーも備えている。
さらにクリンチの上手さに無理をしない試合運び、どうしても徳山昌守を思い出してしまう。
11ラウンドの右カウンターから一気に攻略したのには鳥肌が立った。
オーレドン同様、世界タイトル奪取で自信をつければ、怖い存在になりそうだ。
ベリオは最後、立ったまま気絶してたんじゃないか?

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 長谷川穂積VSシモーネ・マルドロット

2008-01-10 21:18:49 | Boxing
ユナニマスディシジョンで長谷川勝利

長谷川はサウスポーにとっての一つのセオリーともなった
左ストレート→右フックのコンビネーションをマスターしたようだ。
ディフェンスも上手い。多彩なボディワークから肩を支点に綺麗なパンチをいくらでも繰り出せる。
特に見所は右足だ。右足首から右肩を結ぶ一本の線を回すように放つ右フックは実に美しい。
また、ダックした状態から右足を軸にピボットしながら相手の懐から抜け出すのは巧みの技と言える。
一年後のノニート・ドネーアを鏡に映すとこういうボクサーになるんだろうな。
ベチェカ戦の調子で徳山戦をやれば塩漬けにされて中差判定負けしただろうが、
今夜の出来なら僅差判定まで持っていけるだろうね。勝てるかどうかは別だけど。
一つ気懸かりなのはカット癖。
血が目に入ると視界がふさがれると同時に、
気持ちが身体にGOサインを出し難くなる。
思い切りが悪くなるというのかな。
ミハレスと対戦して早いラウンドでカットした場合、
手数の差でずるずるポイントを失ってしまう可能性がある。
徳山のような出入りが出来れば完璧なのだが・・・
マルドロットにはずるさが足りない。
スイッチするなら左ストレートをもっと伸ばせるようにするか、ショートアッパーでも身に付けてはどうか。
強引さが無く、きれいな展開で相手をコントロールしようとする傾向を持つ典型的ヨーロピアンボクサーだ。
長谷川の試合で毎試合思うのは「KOなど狙わなくてもいい」ということ。
もともとKOパンチャーではないのだから。
亀田なども意識しなくていい。
観客・視聴者を感動させる必要性など無い。それは後からついてくるもの。
長谷川のようなテクニシャンに求められるのは見ている者を感心させること。
「うわ、今のパンチ速い」「フットワークが凄くスムーズだ」「相手のパンチを華麗によけてるなあ」
こういう感想を持つ人間の数を少しでいいので増やすことが長谷川に求められているように思う。
KO決着でなくてもボクシングは楽しめるし、見る側も目を養わなくてはならない。
ボクシングは大晦日のKー1じゃない、れっきとしたスポーツなんだから。