BOXING観戦日記

WOWOWエキサイトマッチなどの観戦記

リング禍

2009-03-25 19:37:10 | Boxing
まずは辻昌建選手の冥福を心より祈る。
こうなってしまってはファンにできることはそれだけしかない。
「あの死を無駄にするな」と戦争や交通事故、医療ミスなどで言うが、
ボクシングにおいてもこれは当てはまる。

辻選手が亡くなる原因となった試合のレフェリングやコミッションの体制、
現行のルール、管理者・責任者の医療知識や技術、選手とのコミュニケーションなど、
考えるべきことは山積しているが、それらの検討や批判は他サイト・ブログに任せる。

ここで考えてみたいのは我々ボクシングファンはボクシングに何を求めているのか、だ。
1.内なる暴力衝動を昇華・発散させてくれる手段、いわゆるストレス解消。
2.純粋な競技性に注目して体力・知力・技術・戦術の競い合いを堪能する。
大別すればこの2つになるだろうと思われる。
1.の場合は余程のsadomasochisticな人間でない限り、
一方的な展開でなくともボクシング観戦は楽しめる。
むしろ接戦、熱戦の方がストレス解消につながる。
2.に関してはさらにそうで、試合や選手に特別な思い入れ・感情
(たとえば自分の嫌いなボクサーを自分の好きなボクサーがたこ殴りしてほしい、など)
がない限り、なぶり殺し的な展開は興醒めを通り越してさっさと止めろと思う。
私は寝ている人間を殴る・蹴るする総合格闘技には反吐が出る。
芸能人や高校生をリングに上げるK-1にも虫唾が走る。
(これは個人の好悪の問題で対象の優劣の話ではない、念のため)

21日の日本ミニマム級王座決定戦を私は観ていない。
だが伝聞によると素晴らしい試合だったようだ。
このような試合を途中で止めるのは難しい。
どの時点で止めるか判断するのが難しいのではなく、止めること自体が難しいと思う。
コミッションの体制やレフェリーの判断、陣営の決断の遅れを責めるのはたやすいが、
そのような、ずさんとも呼べるプロスポーツの存立が容認されているのは 
ボクシングと暴力を明確に区別せず、過度の減量や死闘を美徳と捉えるファンが
現代日本にも相当数いるからではないかと考える。

ドイツのボクシングをやれ地味だ、やれ退屈だと我々は往々にして揶揄するが、
ドイツを拠点にするボクサーたちのファイトスタイル、
そしてドイツの観客のバイオレンスを楽しむというよりテクニックを鑑賞するという
あの姿勢は、ボクシング観戦の一つの規範を示しているのではないか。

昨年10月の観戦記から再度引いてみたい。


我々は往々にして激戦を「死闘」などと表現するが、
ボクシングファンは誰一人としてリング禍など望んでいない。
今年も韓国やフィリピンの選手がリング禍で世を去ったというニュースがあったが、
このような試合は常に観るものに問いを投げかけてくる。
「これぞボクシング」なのか「これがボクシング」なのか、
「これもボクシング」なのか、それとも「これはボクシングではない」のか。


それでも私はボクシングファンであることをやめない。
言葉そのままの意味で命懸けで闘うボクサーたちを、
誰かが見、聞き、語らなくてはならないのだ。

WBC世界ヘビー級タイトルマッチ ビタリ・クリチコVSファン・カルロス・ゴメス

2009-03-25 18:49:27 | Boxing
クリチコ 9ラウンドTKO勝利

絶対に実現しないだろうが、兄弟直接対決を観たくなるビタリの出来だった。
というか多分ビタリの方が弟よりも強い。
イブラギモフ戦で見せたように、弟のほうは相手によってはジャブのはたき落としや
バックステップに集中するところがある。
ウラディミール自らの体格やパワーを全面的に信頼しきれず、
精神的に最初からやや引いたところがあるのではないか。
兄貴の方はその逆で、自らのパワーや体格に信を置き、
スタミナには欠けるが、そこは呼吸とメンタルコントロールでカバー。
弟が前戦ラクマン相手に見せた領域のボクシングを
復帰2戦目で指名挑戦者相手にやってのけるところが素晴らしい。
相手の高く上げた右も、自身の強く的確な左で攻略。
弟は左で崩して機を見て右を相手の顔面に打ち落とすが、
兄は右をキャンバスと水平に保ちながら、相手のチェストから顔面まで打ち抜く。
まるで空手の正拳突きのようだった(空手家が見れば否定するかもしれないが)。

ワルーエフとの激突が待たれる。
現今のヘビー級戦線では最高のカードになるだろう。

指名挑戦者としてコンディションを作り、プランも立てていただろうが、
3ラウンド以降は歯が立たなかったゴメス。
ヘビーに増量して動きが鈍重になったというが、
クルーザーの体でクルーザーのスピードで動いても勝てなかっただろう。
強い左を打ちにくくさせんがための右グローブの位置だったが、
相手がお構いなしに打ってきたため、主導権を譲らざるを得なかった。
右目を打たれてから、自身の左をコネクトすることに集中し、
実際に踏み込んでストレート、ストレートとジャブの中間をダブルで、と
ビタリの顔面を的確に捉えてはいたが、
距離の違い、さらに耐久力の違いにより、勝機を見出すことはできなかった。
最後はくるりと背中を向けてしまったが、肉体の悲鳴ではなく、
精神の防御が崩されたということ。
あれは『もう降参させてくれ』という意思表示以外の何者でもなかった。

WBA世界ヘビー級タイトルマッチ ルスラン・チャガエフVSカール・デイビス・ドルモンド

2009-03-23 22:49:56 | Boxing
チャガエフ 6ラウンド終了負傷判定勝ち

前戦の防衛戦の相手は力士だったこともあり、
この試合でヘビー級のトップの一角の今後が占われると予想したが、
チャガエフに関して言えば、故障明けのブランクの問題は無かったと見る。
左ストレートのカウンターは肩までぶつけていくようなものではなく、
あくまで精度優先のものだが、右グローブを頬につけながら右下方へダック、
両肩を線に、背骨を軸にした状態からナチュラルかつスムーズに打てる。
パンチのバリエーションは少ないが、ボディワークに優れ、インサイドワークも長けている。
ワルーエフとの王座吸収(?)戦にも勝ちそうな雰囲気はあるが、
それを歓迎したいとは思わない。
この試合がヘビー級ではなくバンタム~ライトぐらいの世界戦ならば、
ハイレベルな技術戦として堪能でき、またそれに応じた評価もされるだろう。
だが、これはヘビー級の世界タイトルマッチであり、
そしてヘビー級とは最も重い階級ということだけでなく、
最もスリリングで、最もエキサイティングで、最もアツい階級であるべきだ。
正規王者や暫定王者が並立するというWBAの無軌道っぷりはもはやどうでもいいが、
ヘビー級の低迷・迷走は業界とファン、双方にとっての不幸だ。

ドルモンドにはコスタリカ初のヘビー級王者誕生を期待されていたようだが、
killer instinctの欠如甚だしく、見せ場はたったの2ヶ所だけ。
3ラウンドの右フックとロープへの詰め、6ラウンド冒頭の攻撃だけとは・・・
調子に乗ってなのか普段通りなのか判断できなかったが、
あのデトロイト・スタイルとスローなアリ・シャッフルに意味はあったのか?
非武装中立国から来たといっても、リングの中はある意味で殺戮も許される空間。
肩と腰で頭でラテンのリズムを刻むのもいいが、
ボクサーのノリはパンチを打つことで得るのが本当だと思う。
仮にも世界王者に対して「楽しませてくれよ?」というattitudeで戦うには完全に実力不足。
これはドルモンドだけでなく、現ヘビー級ランカーの相当数に当てはまる。

WBA世界バンタム級暫定王座決定戦 クリスチャン・ミハレスVSネオマール・セルメニョ

2009-03-17 23:35:08 | Boxing
セルメニョ スプリットでベルト獲得

セルメニョは安全牌だという情報をメキシコの友人から得ていたが、
実際はアマチュア経験豊富でステップワークにも長け、手数も多い良いボクサーだった。
がっちりとした筋肉をまとっていたが、テクニカルなボクシングもこなせる。
サウスポーに対する苦手意識もなく、時計回りに動きながら先手を打てた。
しかし、気になる点もあった。
まず腰がふわふわ軽いように見えたこと。
回転のいい連打は相手のお株を奪うようで見栄えは良かったが、
パンチの見栄えが威力に直結していないように思われる。
野球でも打者・投手ともに「スピードガンの表示よりも手元での伸びの方が重要」
と口をそろえて語るが、この選手のパンチは150km/hながら伸びのない棒球では?

ミハレスについては、ジョー小泉の指摘がかなり正鵠を射ていたと感じた。
個人的には、ミハレスのbest performanceは川嶋とのリマッチ。
踏み込んで打ってくる相手をコントロールしながら、
要所でパンチをまとめるという、勝つことよりも負けないことに特化したスタイルだ。
ミハレスは浜田氏が言うようなカウンターパンチャーではない。
打ってくるところで同時に打つのではなく、打ってこない時に打ちまくるスタイルだ。
陣営も本人もそのことを忘れてしまったのか。
ムニョスに勝利したことで妙な自信をつけたのか、
アップライトで打ち合いに応じる展開が増えた。
バンタムにとどまるもSフライに戻るのも良いが、
川嶋、アルセを連破したあの頃の自分の持ち味、
すなわち「ハチドリのように舞い、キツツキのように打つボクシング」
を思い出してほしい。

管理人と誕生日が同じで、川嶋戦の頃から応援していたが、
この敗北はスーパースターになる契機を逸したこと以上に痛い。
ダルチニャンに敗れたのはしょうがない。
問題はトップ戦線への復帰の方法で、結果論だが、性急に過ぎたと言える。

メキシコの友人は「Nacho Huizer(ナチョ・ウィサル)が元凶だ。
陣営からあいつを除かないとミハレスの再浮上はない」という。
デラホーヤにとってナチョ・ベリスタインが厄病神になったように、
ミハレスにとってはウィサルが厄病神なのか。
巷間囁かれる某ファミリーの呪いがまだミハレスについてまわっているのだろうか。

IBF・WBO世界ライト級タイトルマッチ ネート・キャンベルVSアリ・フネカ

2009-03-17 00:28:14 | Boxing
キャンベル マジョリティーディシジョンで勝利

ウェートを作れないなど言語道断だ。
ベルトは商売道具で、到達点を表してはいても頂点を表してはいない。
それは事実だが、ベルトが懸けられてこそ試合にも箔が付き、見る側も心構えができる。
ボクシングがメジャー4団体制で動くようになってから観客や視聴者は統一王者を求めている。
4団体統一まであとベルト一本のところまでこぎつけながら、
3本のベルトを散逸させたキャンベルの罪は重いと言わざるを得ない。

拳は相変わらず硬質で、ナックルパートが相手ガードに衝突した時には
画面越しでもパァーンという音が響いていたのが分かった。
相手の長身とリーチに左肩を上げ過ぎる姿勢になったが、
肩を入れて打つ右は威力・角度ともにダメージングブローとして申し分ない。
序盤と終盤にノックダウンを奪い、序盤はその後様子見に終始。
終盤は立ち上がってきたところでコーナー、ロープへ押し込んで
連打をまとめればストップを呼び込める状態は作ったが、
スタミナ切れのため潜り込んでボディに渾身のパンチを叩き込むのが精一杯。
最終ラウンドは呼吸するのも辛かっただろう。
観ているこっちもラウンドカットでストレスが溜まった。

「ラッシュ・アワー」という異名よりも、単純に「タワー」とでも名付けた方が
カッコイイと思われるアリ・フネカ。
南アと言えばドネアに負傷判定で敗れたムタラネ、長谷川が瞬殺したマリンガなど、
世界を制してはいないが、その一歩手前まで確実に迫っているという印象。
この試合と結果によりフネカも上のlikesに含まれた。

身長とリーチに恵まれており、通常ならばアウトボクサーとして育てたいところ。
しかし、長いジャブを持ってはいるものの、それで弾幕を張るでもなく、
コンビネーションをまとめるタイプで、基本的な距離は中から近。
それを可能にしているのは足腰の強さと腰の安定、そして上体の柔らかさ。
肩から二の腕、肘から手首とナックルへのcoordinationに優れているので、
近い距離でも自身の腕の長さに振り回されることなくコンパクトに連打が出る
試合の大半でペースを掌握していたと思われるが、一発で眠らされることもあるのがボクシング。
フルで堪能したいと思わされた試合だった。

WBC世界バンタム級タイトルマッチ 長谷川穂積VSブシ・マリンガ

2009-03-12 22:13:49 | Boxing
長谷川 1ラウンド2分37秒テクニカルノックアウトで防衛成功

ウィービングやヘッドスリップで相手のパンチを避けるのはいいが、
ダッキングしたところにドンピシャでアッパーが飛んできたらという不安で
初回ゴングから怖気が立ちっぱなしだったが、
結局アッパーが飛んでくる前に試合が終わってしまった。
心臓に悪いぜ・・・

しかし、「粟生よ、これが仕留め方( = how to close the show )だ」、
と偉そうに説教したくなるほどのフィニッシュだった。
やはり長谷川のボクシングにガチャガチャなど不要、無価値だ。
仕留めるべきところで仕留めるのが最高のボクシングだ。
2ラウンドKOだと「もっと見せろ」という不満が募るばかりだったが、
初回KOだとなぜこれほど胸が躍るのだろうか?
ファンとはいい加減なものだと実感する。
最後の左のクロスカウンターはBeatutifulの一語に尽きる。
The Japanese ACE knows how to shoot with precision. だ。
まだ3月だが、2009年のKnockout of the Yearを長谷川に贈る。

験担ぎ、そして希望も含めて今後も長谷川の試合に関しては、
12ラウンド判定勝利を唱え続けることにしよう。

初の国外試合をタイ、ウィラポン相手に圧勝した勢い、精神的な強さ、
南アフリカ勢の著しい台頭、長谷川が苦戦したS・ペチェカなど、
長谷川ファン・関係者にとってかつてない苦しい展開が予想されたと思われる。
裏を返せば、マリンガ陣営は手応えと自信に満ちていたとも言える。
南アフリカから神戸への移動となると、マリンガ陣営の人数や予算にもよるだろうが、
おそらく南ア → トルコ → (ソウル) → 関空 → 神戸となり、
24時間前後を要する移動となるはずだが、3分足らずで完敗では、
母国への手土産は絶望でしかない。
勝てば帰りの機内で文字通り「空飛ぶ心地」だっただろうが、
この結果では二度と日本には試合目的では来れないだろう。

WBC世界フェザー級タイトルマッチ オスカー・ラリオスVS粟生隆寛

2009-03-12 21:50:29 | Boxing
粟生 ユナニマスディシジョンで王座奪取

まずはベルト獲得おめでとう。
そして的外れな予想をして申し訳ない。

実況はしきりに粟生のことを「天才」と連呼していたが、
前回と今回の両方を観た人はそうではないことに気付いただろう。
センスはある。素質もある。才能もある。
ならば天才ではないか?と思う向きもあろうが、
天才とは想像(人物・事象を内的に構想する)を超える人間を指すわけで、
ボクサー粟生はまだまだ理解の範囲内にあるというのが管理人の印象。

前回はダウンを奪って以降、ラリオスの逃げ切りを許したが、
これは詰めが甘かったのではなく、詰め方を知らなかったからだ。
前回の反省からパンチを強く早くコンパクトに打つための体作りをしてきたことが
背筋の細かな割れ具合から察せられ、事実、それを実践できた。
だが元来のカウンターパンチャーの気質と練習の成果ゆえに、
まとめるべきところでパンチをまとめられなかった。
詰め方を覚えたたが、仕留め方は知らないままで、天才の看板は重すぎることがここから分かる。
結局は仕留め方を覚えられるだけのキャリアを築いていないということ。
ならば、KO以外にボクシングの華を咲かせればいい。
それにしても打たれ弱さが少し気にかかる。
実況と解説は気付かなかったか、あるいは意図的に伝えなかったかのかもしれないが、
9、10、11ラウンドはそれぞれ中盤と終わり際にかなり効かされた。
どれほど優勢でも10カウント以内で立てなければ終わりなのがボクシング。
スコアの上では完勝だが、前途洋々と評するには早い。
粟生は今後、徳山的なチャンピオンロードを歩むことが予想される。
つまり、危うさを漂わせながらも、渋く淡々と防衛を重ね、
ハードパンチャーにあっさりとKO負け・・・までは真似しなくていいからね。

KO負けこそ免れたが、内容では完敗したラリオス。
フックを打つ際に両肩を結ぶラインは通常、地面と水平に保たれるが、
その軸を微妙に傾けることでパンチの角度とタイミングにアクセントをつけているが、
粟生のインサイドからのジャブとストレートがスピードに優り、
弧を描く軌道と直線軌道の差もあり、中間距離では歯が立たなかった。
唯一の見せ場は10ラウンド終了直前、右で粟生をぐらつかせた場面のみだった。
おそらく5ラウンドあたりで勝機は薄いということを肌で感じ取っていたのでは?
にもかかわらず、玉砕を選ばなかったのは、asikawaさんの表現を拝借するならば
ラリオスにも「衰え=パンチが出ない」状態が訪れたということ。
おそらく引退も視野に入っているだろうが、試合中はかなりイライラしたと思われる。
「なんで決めに来ないんだ、このハポネスは?」みたいな感じで。
なんにせよ、日本人キラーが日本人に敗れたことで、キャリアの区切りはついた。
パッキャオ、リナレスと戦った頃、または後からフィジカルはボロボロ2歩手前だったろうが、
この男の雄姿はメキシコのみならず日本でも永く記憶されるに違いない。

ワールドプレミアムボクシング予想

2009-03-11 22:20:39 | Boxing
WBC世界フェザー級タイトルマッチ 
王者 オスカー・ラリオス VS 挑戦者 粟生隆寛

予想:ラリオス 僅差判定で防衛成功

メキシコの老雄に期待する(非国民と呼ばれても構わない)。
粟生に期待できないというわけではない。
ラリオスの方が勝利への意志が強いように感じられる。
前回の戦いでは、若造を軽く叩き潰すはずだったが、
徳俵まで押し込まれた末のスプリット防衛。
それでも試合の主導権を握ったのは明白にラリオスだった。
ボクサーのプライドは勝利することによって保たれる。
前回ラリオスが見せたアウトボクシングは、
リカバリーやポイント稼ぎ以上に、勝利するためのゲームプランの変更だった。
これができるボクサーは強い。
今回の粟生にも十分に勝機があるとは思うが、
このタイミングでのダイレクトリマッチは粟生にとってはbackfireとなりそうだ。


WBC世界バンタム級タイトルマッチ
王者 長谷川穂積 VS ブシ・マリンガ

予想:長谷川 僅差判定で防衛成功

挑戦者のアフリカンはウィラポン戦をyoutubeで観ただけだが、
なんと不気味で獰猛なファイターであることか。
階級、体格、リーチ、攻撃スタイルからC・カバジェロを連想するが、
長谷川がモリターのように散ることは考えにくい。
具体的な根拠や展望は抜きにして、長谷川の防衛成功を予想、というか希望する。
日本人絡みだと木村、新井田、河野をはずしたし、
長谷川についても「KOはない」と断言して、KO防衛だったりと、
あまり的中率はよろしくないのだが、そんなこと気にしない。
長谷川は115-113×3で防衛する!!!

世界Sフライ級3団体(WBA・WBC・IBF)統一戦 ビック・ダルチニャンVSホルヘ・アルセ

2009-03-10 21:05:29 | Boxing
ダルチニャン 11ラウンド終了TKOで防衛

軽量級とは思えない迫力の持ち主だ。
もちろんダルチニャンのことだ。
ミハレス戦でも見せていたが、右を無造作に伸ばすスタイルは
通常ならば攻撃の選択肢を狭めるのだが、
威圧感とパンチ力が頭抜けているため、相手は左を振るえない。
その上で自身の左を効果的に打ち込む角度とタイミングを常に測っており、
隙あらば撃ち込むことを常に念頭に置いている。
条件反射的にパンチを打つというよりも、思考の瞬発力が優れているので、
打ちたいと思ったと同時に打ち込めるわけだ。
それを可能にするフィジカルも健在で、アルセより年長であるにもかかわらず、
アルセよりもずいぶんとファイトが若々しい。
中盤以降、アルセに対しては「気持ちよく眠らせてやるよ」というよりは
「まだまだ痛めつけてやるぜ」という心理状態だったと思われる。
カウンターの左フック・アッパーは引きながらも常に撃てる雰囲気(≠体勢)を持っており、
随所で変則強打だけでなく基礎的なボクシング技術も持っていることを見せた。
次はモンティエルか?それともドネアとリマッチ?
もしもバンタム進出を狙うならベガスで長谷川と激突だ!!

アルセにとっては第2ラウンドでもう胸突き八丁という感じではなかったか。
額をこすりつけあっての打ち合いの中でサウスポーのレバーから顔面へつなぐ
左フックを軸に戦うプランだったと思われるが、
間合いとタイミングをつかみきれず、被弾を繰り返してしまった。
くっついて根性勝負に持ち込めそうな展開もあるにはあったが、
いかんせん相手の方がパンチもフィジカルも強すぎた。
肉弾戦で同階級の相手に弾き飛ばされるなど想像もしていなかっただろう。
ミハレスが沈められた左アッパーは警戒はしていたものの、
練習で対策を立てることもできず、アップライトでは右フックと左ストが飛んできた。
アウトボクシングを追い切れなかったのはダメージ以上に投げやりになっていたからにも見えた。
「やんちゃ坊主」のキャリアが斜陽から落日になった試合だった。

それにしてもこのダルチニャンをセンセーショナルにノックアウトしたドネアが試合枯れとは・・・